
放送業界の第一線で活躍するアナウンサーが、
「伝えること」の奥深さを学生たちに熱く語りました。
メディアプロデュース学部では、ことば、映像、建築など、「メディア」を多面的に捉える学びを展開し、メディア社会の新たな担い手の育成をめざしています。すべてのメディアにおいて重要なのは、「何を表現し、いかに発信すべきか」という「伝えること」を追究する姿勢です。6月22日(金)に開催されたメディアプロデュース学会 講演会のテーマは、ストレートに「伝えるということ」。ゲストスピーカーには、NHK名古屋放送局編成部 アナウンス専任部長 近藤冨士雄氏をお迎えしました。
近藤氏は、情報番組のキャスターやスポーツの実況中継などを務め、アナウンサーとして20年以上のキャリアを重ねています。講演では、放送現場に立って情報を伝え続けてきた経験をもとに、地名に込められたメッセージ、社会の情報ツールの変化、時代による伝え方の違いなど、「伝えること」を深めるヒントとなるさまざまなお話をしてくださいました。
「たとえば名古屋市の地下鉄の駅名を見てみると、その沿線の地形に高低差があることがわかります。また東京の洪水ハザードマップでは、水に関連する地名のエリアが見事に危険地域に指定されています。地名は、昔の人が私たちに残してくれた、災害から身を守るためのメッセージかもしれませんね。このように、昔から伝えられてきた情報もありますが、"伝え方"は時代とともに著しく変化していくことを皆さんも感じていると思います。たとえば愛の告白の仕方は60代の方と20代の方では全く違います。その要因として、人間関係の変化や情報伝達ツールの進化が考えられるでしょう」。
身近で誰にも親しみやすい話題でありながらも、普段なかなか気づかない視点で切り込み、学生の関心を惹きつける近藤氏。そして、わかりやすい言葉で「伝えること」の深部に迫る講演に、メディアを学ぶ学生たちは真剣な表情で聞き入っていました。




さらに、話は日常会話やスピーチでの伝え方のコツにも及びました。「"選ぶ話題はその場にふさわしいものを""描写はできるだけ具体的に""あいづちは適切に使い分ける"など、コミュニケーションを円滑にするためのテクニックは実にさまざま。在学中にひとつでも多く身につけると、社会人としての強みになるでしょう」と近藤氏。実際に新人アナウンサーが経験する野球の実況などを例に挙げ、学生たちの興味を喚起しながら、学生生活や卒業後にも役立つプロのテクニックを教えてくださいました。
そして最後に近藤氏は「誰かに何かを伝えようとする場面には、いくつもの要素が複雑にからみ合っています。そのときに大切なのは、"伝えることは難しい"と知っていること。伝えることに慎重になるからこそ、言葉だけではなく、あらゆる表現手法を駆使してベストな伝え方を考えるようになるのです」と、約90分の講演の締めくくりにふさわしい、熱いメッセージを送りました。
今回の貴重な講演会をきっかけに、学生たちは「伝えること」を真摯に見つめ直し、メディア社会の担い手としてより力強く成長していくことでしょう。