
暮らす人の日常を見つめて、空間を形づくる。
プロフェッショナルたちが家づくりへの思いを語りました。
株式会社ワーク・キューブは、名古屋に拠点を置く一級建築士事務所であり、「INAXデザインコンテスト」「グッドデザイン賞」「中部建築賞」など多数の受賞歴を誇ります。その近作を一堂に集めた「ワーク○キューブ展」が、長久手キャンパス8号棟5階ミニギャラリーにて6月19日(火)から7月5日(木)まで開催されました。会場にはワーク・キューブが設計した住宅の模型やパネル、ポートフォリオなどが展示され、建築を専攻する学内外の学生たちが多数訪れました。




会期中の6月25日(月)には、関連イベントとして講演会を開催し、ワーク・キューブから桑原雅明氏、吉元学氏、平野恵津泰氏の3名をお迎えして、「暮らしのつくり方」というテーマで語っていただきました。講演の冒頭で平野氏が「家づくりはクライアントの思いを形にすること。私たちはそう考えて住宅の設計に取り組んでいます。理想の暮らしの実現、つまり、"日常をつくること"が、ワーク・キューブの仕事です」と言明。近年手がけた住宅の設計図や写真などをスクリーンに映しながら、それぞれの家の"日常"をどう形にしていったのか、3名が順に解説していきました。
数ある作品の中から取り上げられたのは、「翠の家」「母の家」「土間の家」。どの住宅も複数の賞に輝いています。クライアントの要望を軸としたコンセプトのもと、ワーク・キューブのアイデアや技術によってそれぞれの家が形づくられていく過程が紹介されました。
たとえば「翠の家」の場合、クライアントがその街の空気感を気に入り、家を建てることを決意したというエピソードから、コンセプトを固めていったそうです。平野氏は「提案したのは、室内にいても街の雰囲気を感じることができる家。家を囲む木々の影が室内に入り込むよう設計し、2階の四面を半透明のガラス張りにするなど工夫を凝らしました。もちろん、外からの視線を遮るなど暮らしやすさにも配慮しました」と語りました。
講演会の最後の質疑応答では、学生が「住宅の設計で模型を大切にされている理由を教えてください」と質問を投げかけました。桑原氏は「"この家に住んだらどんな生活ができるだろう"というイメージを、クライアントと私たちつくり手が共有するためのツールとして、模型を重要視しています。だからこそ、正確さだけを追求した無機質な模型ではいけないと思っています」と回答。続けて「建築を学ぶ学生の皆さんも、住宅の模型をつくる際、"理想"だけではなく"暮らし方"や"生活感"も反映させてみてはいかがでしょう」とアドバイスもくださいました。




また、ワーク・キューブで働く本学の卒業生・野々垣依里さんも学生からの質問に答え、先輩としてのメッセージも送ってくださいました。「何事も、まずは自ら行動することが大切です。できないと思っていることにも果敢に挑戦して"体験"や"経験"を増やしてください」。
住宅を設計することは、ただ空間を形づくるだけではなく、住む人の"暮らし"や"日常"をつくることにつながる。そうした、設計や造形デザイン、都市計画などを多面的に深めていく、気づきにあふれた講演会となりました。