追究

2026年08月06日

交流文化学部 特別講座「シルクロード文化とその復元」

2026年7月22日(水) 星が丘キャンパス 講堂

シルクロードの古代ロマンについて、当時の衣装や音色を交えて、ご講話いただきました。

 2026年7月22日(水)、交流文化学部主催の特別講座「シルクロード文化とその復元」が開催されました。
 講師としてお迎えしたのは、音楽人類学の研究者であり、中国琵琶演奏家でもある中部大学国際関係学部准教授の宗ティンティン先生です。当日は、約2000年前の中国・漢の時代の華やかな衣装を身にまとって登壇され、まるでタイムスリップしたかのような雰囲気の中で講座がスタートしました。

 宗先生はまず、東西文化交流の架け橋となったシルクロードの全貌について解説。時代や地域によって「西南」「陸」「草原」「海」という4つの主要ルートが存在し、それぞれが東洋と西洋の経済や文化を繋ぐ大動脈であったことを明かしました。
 中でも、日本に最も深い影響を与えたのが、約2000年前に栄えた「陸のシルクロード」です。広大な砂漠をラクダの背に揺られて運ばれたため、シルク(絹)や毛皮、香料といった「軽量で高価な交易品」を中心に、宗教や多様な西洋文化が東アジアへと持ち込まれました。現代の日本語で「胡」や「唐」という漢字が使われている物の多くは、このシルクロードを経由して日本へもたらされた文化の証であるという事実に、学生たちは興味深く頷いていました。

 本講座の最大の魅力は、宗先生のお話だけでなく、講話の合間に、緻密に復元された当時の衣装や芸術がその場で次々と披露された点です。
 ステージではまず、琵琶の演奏が行われました。厳しい環境の砂漠を渡る過酷な旅の中で、人々の孤独や疲労を癒やしたのが音楽でした。会場全体に響き渡る繊細で力強い琵琶の音色に、学生たちは深く聞き入っていました。
 続いて披露された「敦煌飛天(とんこうひてん)」の踊りでは、壁画から抜け出したかのような色彩豊かな衣装を身にまとった優美な舞が登場。まったく古さを感じさせない洗練された美しさは、現代のアートや表現の原点を感じさせる圧倒的な存在感を放っていました。
 また、壁画に描かれた容姿をそのまま再現した当時のメイクや、男女の衣装も紹介されました。当時の流行だけでなく、朝晩の激しい寒暖差を調整するための服装の工夫など、古代の人々の知恵とトレンドに触れる貴重な機会となりました。
 そして講座の締めくくりには、復元された中国古箏(こそう)の美しい調べが披露され、会場全体が再現芸術の幻想的な雰囲気に包まれました。

 意外なことに、シルクロードを渡った数々の宝物は、その終着点である日本の奈良「正倉院」に数多く保存されています。琵琶のほか、ペルシャやササン朝、ソグド人など西域文化の影響を受けたガラス器や金銀器、染織品などが今も大切に残されています。
 宗先生は「シルクロード文化は日本文化の形成に極めて大きな影響を与え、その息吹は今もなお私たちの日常の中に溶け込んでいます」と語り、講座を締めくくりました。

 教科書の文字を追うだけでは味わえない、本物の音色や衣装の美しさ。まさに五感で受け取る「異文化理解」として、1600〜2000年前の風を感じ取ったこの体験は、交流文化学部で多様な文化を学ぶ学生たちにとって、世界と日本の繋がりをよりリアルに捉える大きなきっかけとなったはずです。