
若手建築家ユニットのオリジナル建築展を、30人の学生がつくり上げました。
都市環境デザインコースでは、毎年、学生が主体となって建築展の企画・会場づくりに取り組んでいます。これまでは、建築とインテリアデザインの専門ギャラリー「TOTOギャラリー・間」(東京・乃木坂)で開催された展覧会を「愛知巡回展」として再現していましたが、13回目となる今年は特別にオリジナルの展示会を企画しました。

7月21日(土)から8月5日(日)までの16日間、学内で開催された「栗原健太郎+岩月美穂/studio velocity『植物の生態系が環境によって形をかえるように建築をつくる』」。studio velocity一級建築士事務所を立ち上げた若手建築家ユニット、栗原氏と岩月氏のご協力のもと、会場プランの考案、施工、宣伝活動、展示会の運営などに3年生30人が力を注ぎました。
会期中は建築業界の方や建築を学ぶ学生、オープンキャンパスに来場した高校生、さらに栗原氏と岩月氏、あいちトリエンナーレ2013芸術監督の五十嵐太郎氏も訪れ、学生たちにあたたかな称賛を送っていました。
ここでは、その建築展がどのようにつくり上げられたのか、ダイジェストでご紹介します。
1st Stage 事前研修

4月、学生たちは愛知県岡崎市にあるstudio velocityの事務所を訪れ、また、学内で栗原氏、岩月氏による作品解説を聴講。建築模型や設計図を見せていただきながら、建築に対する考えなどを直接伺いました。
2nd Stage 作家研究

学生30人が6チームに分かれて作家研究に取り組みました。事前研修で学んだことや建築の専門書などを参考にしてstudio velocityの作品を分析。研究内容を共有するプレゼンテーションもおこなわれました。
3rd Stage 会場プランの考案

作家研究をもとにチームごとに会場プランの考案、模型制作をおこない、栗原氏と岩月氏を招いてプレゼンテーション。学生たちは先生方からの厳しい指摘やアドバイスもしっかり受け止め、プランを練っていきました。
4th Stage 全体像の決定

各チームのプランを組み合わせ、studio velocityの世界観を魅力的に伝える展示方法、観覧しやすい空間づくりなどについて再度考案。学生同士で何度も話し合いを重ね、6月末に会場プランの全体像を決定しました。
5th Stage 設営準備

7月初旬から設営の準備に取り掛かり、チームごとに役割分担をして作業に尽力。愛知淑徳大学の非常勤講師でもあるプロの建築デザイナーの指導のもと、材料の組み立てや塗装、模型修復などに力を注ぎました。
6th Stage 宣伝活動

ポストカードの配布、Webサイトやブログの立ち上げなどをおこない、学内外に展覧会の開催をPR。また、宣伝活動や会場設営、巡回展などで身につけるオリジナルTシャツも学生がデザインしました。
7th Stage 構内アプローチ

長久手キャンパスの正門から見える11号棟の壁面、8号棟前の壁面に大きな看板を取り付け、さらにstudio velocityの建築作品をモチーフにした「モンブラン看板」も設置。人の目を引くアプローチを考案しました。
8th Stage 会場設営

開催日の1週間前、会場設営が本格的にスタート。大判パネルや300枚もの小パネルの設置、模型配置、集中力を要する細かな壁面装飾などに協力し、納得できるまで根気よく仕上げていきました。
9th Stage 開催日

ついに展覧会の開催を迎えた、7月21日(土)。学生たちは晴れやかな笑顔を浮かべ、約4か月間の努力を互いに称え合いました。この日は関連イベントとして栗原氏と岩月氏による講演会「2006-2012」も開催。両氏は、ゲストスピーカーとしてお招きした五十嵐太郎氏(東北大学教授/あいちトリエンナーレ2013芸術監督)とともに会場を見学しました。岩月氏は「学生の皆さんがさまざまなアイデアを出し、私たちとの話し合いも重ねて、展示会を形にしてくれました。とてもうれしいですね」とニッコリ。さらに、オープンキャンパスが開催された7月28日(土)、29日(日)には高校生や保護者の方も訪れ、学生たちがつくり上げた展示空間に感嘆の声を上げていました。






Topics studio velocity"らしさ"を伝え、建築の新たな可能性を発信する展覧会。
栗原氏と岩月氏はstudio velocity一級建築士事務所を設立し、東海圏を拠点として活躍しています。ヴェネツィア・ビエンナーレへのアート作品の出展も決定し、国内外から注目を集める若手建築家ユニットです。そんなstudio velocityが生み出す空間の魅力は、「植物の生態系が環境によって形をかえるように建築をつくる」という展覧会のタイトルそのもの。それぞれの敷地の状態をよく観察して可能な限り多くのプランを考案し、他にはない空間を形づくっています。
今回の展覧会では、その独自の世界観がパネルや建築模型などによって伝えられました。300枚ものパネルが飾られた通路を抜けると、広い空間に20点以上の模型が並び、ひとつひとつをじっくりと鑑賞できるゆるやかな時間も広がっていました。ドールハウスのように精巧につくり込まれたstudio velocityの建築模型は、見る人のイメージをかき立てていたようです。また、会場外の廊下には学生制作のstudio velocityの建築研究パネルを展示。さまざまな角度から建築の新たな可能性に触れられる展覧会でした。
●300枚のパネルで彩られた「studio velocity回廊」
施工過程や完成した建物の写真、設計図、手描きのアイデアスケッチなど、studio velocityの世界観を形づくるさまざまなものを300枚のパネルで展示。細い回廊がさまざまなパネルで彩られ、醸し出される独特な世界が来場者をその先にある扉へと導いていました。
●内外の空間のつながりを感じる「光庭」
プレゼンテーションルームの横にあるテラス「光庭」に天然芝を敷き、studio velocityの進行中のプロジェクト「公園のような建築」を再現。室内と室外のつながりを感じる空間に、訪れた人々も不思議な居心地のよさを感じていました。
Interview 第一線で活躍する建築家の方々から多くのことを学び、刺激を受けました。

普段、授業や課題制作などで使っている8号棟5階のスペースに、自分たちの手で建築展をつくり上げる。そんな貴重な学びに、30人の仲間と共に力を注ぎました。この取り組みは、都市環境デザインコースの伝統のひとつです。13回目を迎えた今年はstudio velocityの展覧会を開催し、建築業界の第一線で活躍している栗原さんと岩月さんにご協力いただきました。今回は初の試みとして、企画段階から建築家の方々を交えた話し合いやプレゼンテーションを実施。栗原さん、岩月さんの意見を直接お聞きしながら先生方や仲間と意見を交わし、会場プランをまとめました。この経験は、建築を学ぶ私たちとって刺激にあふれるものでした。
今回の会場づくりを通して、建築デザインを体験的に学び、会場設営の仕事の魅力を知って、さらに建築に関するより多くの知識や技術を吸収したいと感じました。そして、都市環境デザインコースの仲間と共に達成感や感動をわかち合うことができ、より絆が深まったと思っています。こうした経験や実感を、今後の学修・研究や卒業後の進路実現に活かしていきます。