
国内外で注目される若き建築家2人の講演会を開催。
ヴェネツィア・ビエンナーレへのアート作品の出展も決定し、注目を集めている若き建築家・栗原健太郎氏と岩月美穂氏は、studio velocity一級建築士事務所を設立し、東海圏を拠点として活躍しています。このstudio velocityの世界観を伝える建築展が、7月21日(土)から8月5日(日)までの16日間、長久手キャンパスにて開催されました。この会場づくりや運営に力を注いだのが、都市環境デザインコースの3年生30人です。会期中は建築業界の方や建築を学ぶ学生、オープンキャンパスに来場した高校生、さらに栗原氏と岩月氏、あいちトリエンナーレ2013芸術監督の五十嵐太郎氏も訪れ、学生たちがつくり上げた空間をじっくりと鑑賞していました。

オープン初日の7月21日(土)には、関連イベントとして講演会「2006-2012」がおこなわれ、studio velocity設立当初の2006年から現在までの建築作品に関して、栗原氏と岩月氏がスライドを用いて解説していきました。また、五十嵐氏によるゲスト講演も開催されるとあって、定員192名の限定イベントはほぼ満席。本学の学生だけでなく、学外の方々も多数参加していました。
"環境のオリジナリティ"を形づくる、studio velocityの建築。

とんがり屋根が目を引く住宅「モンブランハウス」。透明なポリカーボネートの壁板から明るい自然光が射し込む「岡崎の住宅」。限られたスペースの中で広い空間を生み出した「曲線の小さなワンルーム」。まちに溶け込む真っ白なカラーと、個性あふれる姿が印象的なstudio velocityの建築。どれも同じ形ではなく、直線と曲線が機能的に組み合わさって、その建物ならではの空間がつくられています。
栗原氏は「なぜその場所にその建物をつくるのか。この問いを突き詰めて環境としっかり向き合い、"その環境のオリジナル"を見つけ出すことを重視して設計しています」と力強く説明しました。建築家のオリジナリティを追求するのではなく、その場所に本当に適した空間を真摯に求めるstudio velocity。現在進行中のプロジェクトでもその視点が生きています。そのひとつが「都市にひらいていく家」。住みやすさや心地のよさと、外部環境とのつながりや開放感を両立するために、敷地の奥に3階建ての住居、道路側にガラス張りのリビングを配置。「細長い敷地の全体を使って生活できないかということからプランを考えていきました。スロープを使って2つの建物を結び、中庭を立体的に楽しめるようになっています」と岩月氏が説明しました。デザイン性だけでなく機能性も追求され、しかも個性があふれる新しい住まいのかたちに、来場者の皆さんは引き込まれていました。



日本の建築に、新しい風を吹き込む。

続いて五十嵐氏によるゲスト講演が開催されました。五十嵐氏は、studio velocityの建築について、戦後日本の建築史に触れながら解説。「私が審査員を務めた建築賞にstudio velocityがたまたま出品していました。その作品が印象に残り、studio velocityについてさっそく検索。お二人とも石上純也建築設計事務所のご出身だと知り、なるほどなぁと思いました。その事務所は、日本の現代建築を牽引した建築家・菊竹清訓の流れを汲み、アバンギャルドな建築家の血統を受け継いでいるからです」と五十嵐氏は語り、これからの建築界を担っていく栗原氏と岩月氏に期待を寄せていました。
最後に栗原氏と五十嵐氏によるトークセッションもおこなわれました。あいちトリエンナーレ2013やヴェネツィア・ビエンナーレなどについて両名が気さくに語り合い、約2時間にわたる講演会がおだやかに締めくくられました。



既成概念にとらわれず、土地の特性やそこに住む人に適した空間を生み出し、新しい建築に挑み続けているstudio velocity。その信念に触れた都市環境デザインコースの学生たちは、建築の可能性を感じ、授業や制作活動などにより意欲的に取り組んでいくでしょう。