交流
2025年11月27日
ダイバーシティ共生センター学外体験学習会 第2回「多文化共生にふれてみよう!」
2025年度 国際交流・海外研修・留学 地域・ボランティア活動

2025年9月27日(土)豊田市 保見団地
豊田市の保見団地を訪問。
ブラジル文化や生活に触れ
"違いを共に生きる"を肌で感じました。
本学のダイバーシティ共生センターは、本学理念「違いを共に生きる」の実現を目的に、国籍・言語・文化・性別・年齢・障がいの有無など、学生が在学中のみではなく卒業後も、多様性(ダイバーシティ)を認め合い、尊重し合うことのできる力を身に付けることができるよう、2024年に長久手キャンパス11号棟1階に開設されました。
その取り組みとして、学生が体験を通してダイバーシティを実感し、学ぶことができるよう、今年度も学習会シリーズ「実感してみよう!"違いを共に生きる"」を開始しました。その一環として、2025年度は、第1回学外体験学習会「多文化共生にふれてみよう!」が2025年9月27日(土)に開催され、両キャンパスから、9つの学部・学科の1年次から3年次の計17名の学生が参加しました。今回は、外国籍住民が多く暮らしておられる愛知県豊田市の保見団地を訪問しました。


最初に訪れたのは、外国にルーツを持つ子どもたちに日本語教育を通じて居場所づくりをおこなう「NPO法人トルシーダ」の活動拠点・トルカーザです。開会の挨拶はトルシーダ代表の伊東浄江先生が務め、1日がスタートしました。続いて、ブラジル出身のスタッフ・サンドラさんから、ブラジルの文化や歴史、地理についてお話を伺いました。
学生たちへの説明は、あえてブラジルの言語であるポルトガル語でおこなわれました。これは、来日したばかりの外国籍の子どもたちが突然に日本語で学ばなければならなくなる大変さを、学生たちにも体感してもらうためです。


サンドラさんは、世界一長いアマゾン川や豊かな自然、多様な動物が生息するブラジルの魅力を紹介する一方で、物価の高さやスラム街など、日本とは異なる現実について語りました。さらに、ブラジルは日本の約42〜43倍の広さを誇り、世界で5番目に大きな国であるというお話に学生たちは驚きの声を上げました。また、先住民に加え、インド人やアフリカ人などさまざまな民族が暮らす多民族国家であることや、ブラジル社会の多様性や貧富の差の厳しさについても説明がありました。サンドラさんはポルトガル語に加え、英語や日本語、さらにジェスチャーも交えながら説明してくださり、学生たちは全体像をなんとなくではありますが理解できている様子でした。言葉だけでなく非言語のコミュニケーションの力を実感する時間となりました。


続いて、全校生徒の約7割が外国籍児童・生徒である豊田市立西保見小学校・保見中学校で7年間校長を務め、現在は豊田市外国人児童生徒等サポートセンターのアドバイザーを務める平吹洋子先生から、保見団地内の学校で実践されてきた外国人児童生徒教育についてお話を伺いました。平吹先生は、教育の現場で常に「誰一人取り残さない」という強い想いを抱きながら指導にあたってきたそうです。その根底にあるのは、単に言葉を教えるだけではなく、子どもたちの「心」を育てていくことこそが本質であるという信念です。日本に暮らす外国にルーツを持つ子どもたちが増える中、平吹先生は10年ほど前に「学習の基盤が日本語に偏りすぎているのではないか」と教育のあり方に対して違和感を抱きました。そこで重視したのが、日本語と母語の二つの軸で学ぶ視点です。たとえばブラジルにルーツを持つ子どもなら、日本語とポルトガル語の両方を使って思考し、学びを深めることで表現が豊かになるといいます。これは決して外国にルーツを持つ子どもだけではなく、日本人の子どもにも当てはまります。多様な言語や文化の経験は、思考力や感受性を育む大切な要素になると平吹先生は語ります。そうした実践の一つが、ユニバーサルデザインを取り入れた授業です。すべての子どもが安心して参加できる環境を整え、互いの違いを尊重しながら学ぶ場を築く。その中で特に重視するのが「読む力」です。読む力は単なる知識の獲得手段にとどまらず、世界を理解し、自分の考えを形づくる基盤になるといいます。 平吹先生の実践されてきた教育は、言葉を超えて、一人ひとりの可能性を広げるものであり、学生たちはお話に真剣に耳を傾けていました。




平吹先生のお話の後は、トルカーザの皆さんと一緒にブラジルのバーベキュー料理「シュハスコ(CHURRASCO)」を楽しみました。シュハスコはお祝いごとやイベントで欠かせないブラジルで日常的な食文化です。テーブルにはお肉やサラダ、デザートなど多彩な料理が並び、学生たちは本場の味を楽しみながらブラジルの方々との交流を深めました。普段なかなか口にする機会のない料理を味わい、同時にブラジルの文化に触れることで、日本との違いを肌で感じ取っている様子でした。


その後はブラジルにちなんだクイズ大会が開かれ、サンドラさんのお話に出てきた地理や歴史、文化に関する問題に学生たちはゲーム感覚で挑戦。ポイント制で進められ、上位者にはプレゼントも贈られるなど大いに盛り上がりました。


続いて、伊東先生やトルカーザの方々に案内され、保見団地内を散策しました。団地は扇状に建物が並び、行き交う人々の多くが外国籍の住民で、まるで日本ではないかのような雰囲気に学生たちは驚いていました。団地内にはスーパーマーケット「フォックスマート」や「コンビニヤ」があり、並ぶ食材や商品には日本のスーパーではあまり見かけないものが多く、学生たちは説明を受けながら珍しいお菓子やジュースなど買い物を楽しんでいました。




その後は、保見団地を舞台に多国籍住民とアーティストが地域の課題を探り、アート活動を通じてコミュニティの活性化を目指す「保見アートプロジェクト」の一環である「とよたデカスプロジェクト」のワークショップに参加。風船を使ったスクイーズや宇宙キーホルダーづくり、ペイント体験など、学生たちは興味のあるワークショップを選び、住民との交流を深めました。br>
最後は保見交流館に移動し、1日の振り返りがおこなわれました。学生からは「ポルトガル語が多く最初は戸惑ったが、ジェスチャーや英語、日本語を交えて話してくれたので非言語コミュニケーションの力を実感できた」「日本ではなかなか味わえない料理を通して食文化の違いを知ることができた」「将来教育に関わる仕事をしたいので、今日学んだことを今後に活かしたい」などの声が上がりました。
実際に外国籍住民の多い地域を訪れ、支援者の話を聞き、生活環境を体感し、ブラジルの食文化に触れた1日。学生たちは"ことばの壁"を超えた交流を通して、「違いを共に生きる」の本質を学ぶ、充実した体験となりました。












