追究

2026年08月28日

ビジネス学部 チャレンジプログラムB (ものづくり)

2026年5月22日(金) 、7月3日(金)、24日(金) 星が丘キャンパス 5号館55C教室

産学連携プロジェクトで鶴田工業所様と商品企画・試作に挑戦。
-学生のアイデアを、企業の技術で試作品へ-

 「チャレンジプログラムB(ものづくり)」は、企業から示された課題に対し、商品企画に加え、価格・販路、製造のしやすさなどを検討し、試作品につなげる実践型授業です。2026年度は、板金加工・溶接を手がける鶴田工業所様の協力のもと、3年生が5チームに分かれて商品づくりに挑戦しました。

 今回、鶴田工業所様から示された課題は、「ステンレス、鉄、アルミの板を使い、板金加工と溶接を生かした商品を提案してください。」というものです。学生たちは5つのチームに分かれ、ブレインストーミングや市場調査を重ね、企画案を絞り込んだうえで、販路・価格の検討、既存製品との比較、寸法入りスケッチの作成などを進めてきました。

 第6回の授業となる5月22日(金)には、チームごとに商品コンセプトを発表し、鶴田社長様から、製造方法やコスト、実現可能性などについて助言をいただきました。

5月22日 コンセプトプレゼン

 チームAは、インバウンド観光客向けに、日本での思い出となるアクセサリースタンドを企画しました。富士山と鳥居をモチーフにした2種類のデザインを提案し、インバウンド観光客のニーズをはじめ、商品の価値や販路についてまとめました。鶴田社長様からは、まず「つくりやすい商品ですね」との評価がありました。そのうえで、形状について「溶接すると変色につながるので、購入した人が自分で組み立てるスタイルにしても良いかもしれない」、デザインについて「色もステッカーやシールで、自分でデザインする楽しさがあっても良い」といったアドバイスをいただきました。

 チームBは、ステンレスとガルバリウムを用いた二重構造により、保温・保冷ができるストロー付きタンブラーを提案しました。鶴田社長様からは、「二重構造で真空にすれば保温・保冷は可能になるが、製造原価が高くなり、販売価格も高額になる」「伸縮ストローを付けることはできなくはないが、コストの問題がある」との指摘がありました。課題を解決する方法について意見を交わしましたが、チームBは商品案をいったん見直すことになりました。

 チームCは、夜間に光を反射する、防犯性とファッション性を兼ね備えたヘアピンを企画しました。夜間の安全対策へのニーズを踏まえ、子ども向け、シンプルタイプ、シニア向けのデザインを提案しました。鶴田社長様からは、「アルミでどこまで光を反射させることができるか」と懸念が示されました。また、製造コストを考えると、バネ材を使用するかどうかなど、形状にも検討の余地があるとの指摘がありました。帽子に挟めるクリップ式のゴルフマーカーを例に挙げ、商品形状を考えるヒントも示してくださいました。

 チームDは、氷を使わずにビールを冷やせる、保冷ジェル入りの二重構造ステンレスコップを企画しました。チームBと同様、鶴田社長様からは二重構造を製造する難しさが指摘されました。意見を交わしたものの、コストや製造面の課題が大きいことから、次回までに別の商品案を検討することになりました。

 チームEは、握る力を緩めると物をつかみ、力を加えると先端が開く「逆作用」のトングを企画しました。同様の競合商品がほとんど見られないことから、商品の独自性をアピールしました。鶴田社長様からは、「ステンレスを使う場合の材料原価は販売価格の1/3~1/4程度に抑えるのが良い」とのアドバイスがあり、そのうえで「どのような形状にするのか」について、さらなる改良が求められました。実現可能性についても前向きな評価をいただき、チームEは企画をさらに具体化していくことになりました。

7月3日 最終報告会

 5月22日のコンセプトプレゼンでいただいたコメントをもとに、各チームはその後2週間をかけて企画の改良点を整理し、追加のリサーチを行いました。安全性、使いやすさ、製造のしやすさなどの観点から、商品案を見直し、6月12日以降は、外形サイズ(縦・横・高さ)、形状(カーブの角度や寸法など)、使用する材料と板厚、安全面への配慮(角・端面の処理、表面処理の方法)まで、より具体的に検討しました。さらに、厚さ0.5mmの方眼紙を使って実寸大の模型を製作し、Zoomで鶴田社長様に質問・相談しながら改良を重ねました。こうして具体化した商品案を、7月3日の最終報告会で各チームが発表しました。

 インバウンド観光客向けのアクセサリースタンドを考案したチームAは、桜の木をモチーフにしたスタンドへと改良し、購入者が帰国後に自分で組み立てられる仕様としました。インバウンド観光客一人当たりの買い物支出額が約6.6万円であることを踏まえ、販売価格はその1割以下となる6,000円に設定。さらに、初期費用や製造コストをもとに原価、卸売価格、粗利益などを試算し、1,000個の販売で初期費用を回収でき、その後は安定した利益を見込めると発表しました。鶴田社長様からは、「観光客の予算を参考にした点はいいですね」「机などの接地面に(傷をつけないように)樹脂素材を使用すれば、原価をもう少し抑えることができるかもしれません」といったフィードバックがありました。

 チームBは、コンセプトプレゼン後にアイデアを一新しました。ステンレスにバリ取りやレーザー加工を施し、小皿と箸置きを一体化した商品を提案しました。韓国人観光客向けのお土産として、東京の新大久保や大阪のコリアタウンなどでの販売、韓国料理店への販売も提案しました。鶴田社長様からは、「観光客を相手に販売するなら、もう少し安くてもいいのでは」「事業者への販売であれば数を多く売る必要があるので、販売の仕方についてもう少し考えて欲しい」とのコメントがありました。

 チームCもコンセプトプレゼン後に企画を変更し、ステンレス製のファイルボックスを考案しました。紙製やプラスチック製のファイルボックスに見られる、紫外線による劣化や長期間の使用による破損などを課題として挙げ、高耐久・長寿命をめざしたステンレス製品を提案しました。使用時に手を切ることがないよう、ヘミング加工(折り返し加工)も提案しました。また、ステンレスの耐久性を付加価値として中~高価格帯での販売を想定し、価格は約3,000円に設定。さらに、マグネットが付く機能を加え、既存の事業者向け販路を活用した提案です。鶴田社長様からは、「ペーパーレスが進む中で需要があるのかが疑問」「接合箇所の溶接代も含めると、販売価格はさらに高くなる」とのコメントがありました。

 チームDもコンセプトプレゼン後に企画を変更し、高齢者向けカトラリー「カッティ」「スクーティー」を考案しました。高齢者が抱える「力が入りにくく食材を切れない」「食べ物をうまくすくえない」「手首をひねる動作がつらい」といった課題に着目。使いやすさを高めるために持ち手の角度を調整し、研磨処理や、角を丸くするR加工を施すことで、安全性にも配慮しました。販路は福祉用具専門店に絞り、販売価格は1,480円に設定しました。鶴田社長様からは、「これまで介護分野に目を向けたことがなかったため、発想に至った背景を知りたい」「商品化できれば、十分に利益が見込めるのでは」といったコメントがありました。

 チームEは、力を加えると先端が開く「逆作用」のトングの案をさらにブラッシュアップしました。焼肉店への販売を想定し、店舗では家族連れや三世代で来店する利用者への貸し出し用として活用する案を提案しました。市場には子ども向けのトングはあるものの、逆作用のトングはほとんど見られないことから、差別化ができると発表しました。価格は一般的な製品よりやや高めの4,000円に設定しました。鶴田社長様からは、「実際に試作したので、ぜひ触ってみてください」「コスト面もよく考えられており、うまく活用できる場があると良いですね」といったフィードバックがありました。

7月24日 試作品検討会

 7月24日の試作品検討会では、授業の冒頭、担当の浅井先生から「11月にメッセナゴヤの鶴田工業所様のブースで展示したいと考えています。商品化できるような試作品に改良していきましょう」との話がありました。自分たちが考案した商品が多くの人の目に触れる可能性に、学生たちの期待も高まります。鶴田工業所様は、各チームの商品案を実際の試作品として製作し、学生たちに披露してくださいました。

 チームAのアクセサリースタンドは、鶴田工業所様が学生が製作した模型をスキャンしてデータ化し、試作品を製作。桜の枝は、購入した人が自由に動かせる仕様になっています。鶴田社長様からは、「表面(枝の部分)を滑らかにして、アクセサリーに傷がつかないようにする工夫がさらに必要」との話がありました。学生からは、「枝を動かせるようにとは想定していなかったので、思わぬ機能が加わった」との感想のほか、「表面をコーティングすると指紋が付きにくくなりますか」との質問があり、鶴田社長様から「付きにくくなると思います」との回答がありました。

 チームBの小皿と一体型の箸置きは、手作業によるプレスの曲げ具合によって、一つひとつ形状が異なります。鶴田社長様からは、「均一性をどう持たせるか」という課題が示され、さらに「葉脈の模様をどう表現するか、もう少し追求していかなければならない」との話がありました。販売価格について学生は「2,000~3,000円を想定している」と説明し、鶴田社長様は「その1/3の原価でつくることはできると思う」と回答されました。

 チームCが考案したステンレス製のファイルボックスについては、光沢のあるタイプと、つや消しタイプの2種類を試作してくださいました。鶴田社長様から「どちらの表面処理がよいか」と問いかけがあり、学生たちは実物を手に取りながら検討しました。実際に持つと重量があるため、「現在は厚さ1.2mmの板でつくっているが、1mmぐらいにして、もう少し軽くしてもよい」との提案や、素材の使用量が多く原価が高くなることから、「紙製やプラスチック製の安価な商品がある中で、ステンレス製にする意味をどう見いだしていくかが課題」との指摘もありました。

 チームDの高齢者向けカトラリーについては、鶴田社長様から「口の中に入るものだから、エッジの処理をきれいに仕上げられるかが課題」とのコメントがありました。さらに、「ターゲットとなる層に実際に使ってもらい、率直な意見をもらうことで、より実用性の高い商品になるのでは」とのアドバイスがありました。学生からは、「高齢者の中には食事に時間がかかる方もいることを想定し、持ちやすさを改良し、もう少し軽くしたい。そのためにどのような方法があるか」との質問があり、鶴田社長様とともに方法を検討しました。

 チームEの逆作用のトングについては、鶴田社長様から「焼肉用だけでなく、かがまなくてもごみ拾いができる長いトングにも需要がありそう」との意見がありました。また、「重量も軽く、溶接もしていないので、50個ぐらいつくれば原価500円以下に抑えられそう。世の中にどのようなトングがあるか、いろいろ見て、アイデアを広げてみてください」とのアドバイスもいただきました。

 学生たちは、半年間にわたり「チャレンジプログラムB(ものづくり)」に取り組んできました。浅井先生からは、「コンセプトプレゼンの後、企画案を見直すチームもありましたが、あきらめずに検討を重ね、最終的にはどのチームも良いアイデアに仕上がりました」との言葉がありました。学生たちは、自分たちのアイデアが試作品として形になったことで成果を実感するとともに、商品化に向けた新たな課題も確認しました。

 授業はいったん区切りとなりましたが、11月のメッセナゴヤに向けて、有志の学生が引き続き試作品の改良に取り組む予定です。本学ビジネス学部では、今後も企業との連携を通じて、実践的な学びの機会を提供していきます。