追究
2026年08月18日
講演会「建築業界で働く。2026」
2026年度 展示会・講演会・発表会 建築学部(2025年4月開設)

2026年8月2日(日) 中日ビル6階 カンファレンスルーム Room1
建築業界のさまざまな分野で活躍する4名をお招きし、
仕事内容やその仕事の魅力を語っていただきました。
2026年8月2日(日)、本学学生をはじめ、建築学部に関心を持つ高校生や保護者を対象とした講演会を開催しました。本講演会では、建築学部で学んだ先の進路やキャリアを描くためのきっかけづくりを目的に、建築業界で活躍する4名をゲストスピーカーとしてお招きし、仕事の内容や魅力、社会の中で果たす役割についてお話しいただきました。
講演会の冒頭では、本学教員から、「建築を学ぶ」と聞くと意匠設計やデザインを思い浮かべる学生が多い一方で、建築業界には多様な職種があり、それぞれが専門性を生かして建築を支えていること、そして大学ではそうした幅広い知識と技術を学ぶことが重要であることについて、本講演会の趣旨説明がありました。


最初のゲストスピーカーは、株式会社類設計室 東京設計部の前野様と平木様です。前野様は、設備設計の仕事の全体像や役割について紹介しました。「1つの建物を建てるためにさまざまな業種が関わる中で、設備設計が担うのは、人が快適・安全に過ごせる環境の仕組みづくり。地道な計算や図面の作成によって設計していきます」と、建築業界における設備設計の立ち位置について説明。特に、昨今の建築業界では省エネルギー計画の立案が重要視されていることから、設備設計のはたす役割が高まっているとのこと。前野様は事例をもとに仕事内容を具体的に紹介しました。まとめとして、「意匠設計は目で見えるデザインをつくることに重きを置きますが、私たちの仕事は自然・地域・人から複合的に考えて環境をデザインすること。かっこよく、かつ、環境にも人にも優しい設計を考えることは、面白いしやりがいにもつながっています」と、仕事の魅力を語りました。聴講者からは「意匠設計と設備設計、どちらに進むべきか」との質問があがりました。前野様は、「直感的なデザインを突き詰めるよりも、ロジカルにデザインを形づくっていきたい人は設備設計が向いている」と特性を伝えてくださいました。


平木様は、女性視点で見た建築業界の働き方について、類設計室で5年勤めてきたご自身の経験をもとにお話しされました。「4年目までは照明や電気設備設計に取り組み、5年目からは新たなステップとして機械設備や給排水、空調などの設計にも挑戦しています。また、一級建築士の資格取得のための勉強も始めました」と平木様。また、仕事とプライベートのバランスについて、「建築業界って大変そう、女性だけど働いていけるのかと不安に思う方もいらっしゃると思います。忙しくないとは言えませんし、勉強もプライベートの時間を削っている面はありますが、案件が落ち着く時期はゆとりが持てますし、自分のプライベートや趣味を楽しめる時間も確保できています」と、両立できていることを伝えました。聴講者からの「どんな人が設備設計に向いているか」という質問にも、女性目線で回答。「設備設計は感覚も大事。『この環境が心地いい』など女性的な感覚は大いに役に立ちます。だからこそ、最近私の所属する部署も女性が増えてきているのかな」と、女性が設備設計に携わるメリットを語られました。


2人目のゲストスピーカーは、本学の長久手キャンパス 建築ANNEX棟建設工事の現場監督を担当された佐藤工業株式会社の渡辺様よりゼネコンの仕事について紹介いただきました。ゼネコンとは、元請けとして土木や建築の工事を一式で請け負う総合建設業者のことで、国や県、地方自治体、民間など、さまざまなクライアントから仕事を受注します。まず、渡辺様はゼネコンの仕事の根幹である施工管理について、図を用いて業務や人の流れを体系的に説明されました。また施工管理の魅力について、「入社から35年経った今でも、知らない技術や技法が出てきます。年々新たな技術を学べる面白さがあります」と語りました。建設業の将来性についても述べられ、「昨今は建設現場のDX・ICT化で生成AIやロボットの普及が進み、技術力のある現場職の待遇を上げていく『ブルーカラー』の時代が来ると言われている」と、今後への期待が膨らむお話も。質疑応答では、聴講者から「多様な案件を担当できるようになるまで、どのように段階を踏んでいくのか」との質問があがりました。渡辺様は「最初の1~2年は、現場で職人さんから技術を教わったり、一緒に問題を解決したりしながら、基礎知識を身につけます。現場経験を積みながら職人さんの専門範囲を把握していき、5年後くらいにようやく直接指示が出せる力量が備わっていく。10年後には、図面作成や対外的な交渉など業務範囲が広がっているはず」と入社後のイメージを語られました。


最後のゲストスピーカーは、株式会社渡邊工務店の宜野座様です。株式会社渡邊工務店は、愛知県海部郡に本社を置く、明治40年創業の地元密着型の工務店です。住宅の新築のほか、リフォームやリノベーション、技術力を生かした古民家リノベーションや社寺建築などの事業を展開しています。宜野座様は、住宅営業、設計、施工管理など、役割ごとの仕事内容や、入社して数カ月~4、5年の社員3名へのインタビューによる社員の声を紹介しました。インタビューでは、「設計担当でも現場の研修が積めるので勉強になる」などのコメントがありました。また、現在の建築業界の働きやすさについて、「昔と労働環境が大きく変わり、残業時間や休日の取り決め、会議のオンライン化、AIの活用など、プライベートの時間を確保しやすくなっている」と紹介。続いて建築事例をもとに、「弊社の大工は鑿(ノミ)や鉋(カンナ)が使えることが必須で、人材を育てるところから注力している」と、強みを伝えました。質疑応答では、「地元工務店を志望する人はどんな動機か」という質問に、「転勤がないのが嬉しいという人。また、入社後に、設計から営業、営業から施工管理など、別部署に移るハードルが低いので、自分の向き・不向きを入社後に見定めたいという人にもおすすめです」と述べました。




最後に、「明日からやれること、興味を持った方がいいこと」をゲストスピーカーそれぞれが伝えました。前野様と渡辺様は、「体感してみないと、実際に聞いた話と埋まらない差があると思います。インターンシップなどに参加する機会を自らつくってみてほしい」「インターンシップで自分の向き・不向きを見つけてほしい」と、インターンシップの重要性を伝えました。平木様と宜野座様は、「さまざまな建築を見て感性を高めることも、学生のうちだからこそできること」「社会人になるとなかなか時間がとれないので、勉強もしつつ、遊ぶ時間も大切にしてほしい」と、机上の勉強だけでは得られない体験を学生のうちに経験してほしいことを伝え、講演会をしめくくりました。
建築を学んだ先には、多彩な活躍のフィールドが広がっています。大学で幅広い知識と技術を身に着け、自分に合った進路を見つけられるように、今後も様々な機会を提供していきます。











