アドミッション・ポリシー

2024年度 研究科別 アドミッション・ポリシー

文化創造研究科
教育・研究目的

 科学技術の発展とともに人類の文明は長足の進歩を遂げたが、一方では精神文化の荒廃をも招く皮肉な事態を迎えている。そのような現代社会を生きる我々は、古人の精神的到達と蓄積された知恵とに学び、一方では文明の本質を見極めかつその成果としての利器を使いこなしながら、生活の規範ともいうべき新しい「文化」を創造していかなければならない。その方法を実践的に探求することが、本研究科の教育・研究目的である。
 そのために、本研究科は国文学、図書館情報学、情報デザイン・システム、創作表現、メディアプロデュースおよび建築・インテリアデザインという、「表象」という点で共通項を持つ異分野をあえて一つの専攻にまとめた。そして、この6専修のうちの一つを学びのホームグラウンドとして定め、そこを起点として他の専修にも幅を広げることのできる学際的な教育・研究活動を行う。
 その結果として、博士前期課程においては、専修の分野に関する高度の専門的知識および能力ならびに当該専修の分野における基礎的素養を身につける。また、博士後期課程においては、広い視野に立つ精深な学識を身につけるとともに、専修の分野における研究能力またはこれに加えて高度の専門性が求められる職業を担うための卓越した能力を培う。

学生に期待すること

 博士前期課程においては、各専修の専門的な研究の深化にとどまらず、他専修の学修を通じた学際的な視野をも身につけることにより、多角的あるいは複眼的な思考法および表現法を獲得することを期待する。
 博士後期課程においては、博士前期課程における学修・研究成果を踏まえて、社会、文化および人間相互の関わりをより広い視野に立って探究し、時代の要請に応え得る特に高度な専門的能力・識見を身につけることを期待する。

学生募集に際して重視すること

 博士前期課程においては、自らの研究課題が現代社会における文化創造にどのように寄与できるのか、という問題意識について自覚的であるかどうか、そしてそれを不断に持ち続けられるかどうかを重視する。
 博士後期課程においては、博士前期課程における学修・研究を踏まえて、独自性と普遍性を併せ持つさらに高度な研究成果を上げ得るかどうか、そしてそれが文化創造に具体的に寄与し得る提案としての可能性を有しているかどうかを重視する。

入学前学修として推奨すること

 博士前期課程においては、学びのホームグラウンドの確立、言い換えるなら現在在籍している学部・学科の専門分野(どんな分野であれ)の学修を可能な限り深めておくことを推奨する。
 博士後期課程においては、博士前期課程の成果に対する徹底的な検証と、今後の研究に関する精密な計画の立案を推奨する。

教育学研究科
教育・研究目的

 子どもたちや学校を取り巻く環境が大きく変化するなかで、教員に対してより高度な専門性が求められている。本研究科では、広い視野に立った精深な学識を有するとともに、卓越した実践能力を併せ持つ、小学校教員をはじめとする教育界の指導的人材を育成することを目指している。その目的を実現するために、教育の主たる活動の場である学校における教科教育を中心に教育を考える教育学専修と、人間の発達の可能性とその促進という面から教育を捉える子ども発達専修の2つの専修を設け、それぞれに応じた深い学修・研究を行うとともに、各専修のどちらかに偏ることなく、それぞれを有機的に関連づけることでより幅広く対応できるように「教育研究科目」「教育科学科目」「教科教育科目」「子ども発達科目」「実践展開科目」から構成される体系的なカリキュラムを編成している。
 また、本研究科では、教育目的に沿って、学生のニーズに応じて学生が学部で取得した教員免許状とは異なる校種の教員免許状取得を認めている。とくに文学部教育学科と連携して、在学中に小学校教諭一種免許状、特別支援学校教諭一種免許状の取得が可能である。
 研究においては、入学時から修了まで、学生各自の研究テーマに沿って指導教員によるきめ細かな指導を行う。

学生に期待すること

 人間の教育や発達に関する問題を論理的に捉え、分析・考察することを通して、新しい時代の教育に対応できる高度な専門的知識と確かな実践力を兼ね備えた教員や教育界での指導者となることを期待している。

学生募集に際して重視すること

 これからの望ましい教育に対する強い関心と、それを実現しようとする熱い志を有するとともに、独りよがりにならずに客観的な視点から冷静に問題を捉えることができるかどうかを重視する。

入学前学修として推奨すること

 人間の教育や発達についての原理、指導法に関する基礎的な学力と知識をできるだけ身につけておくことを望む。

心理医療科学研究科
教育・研究目的

 私たちの生き方の基本原理は、経済性と効率のよさを追求する“ビジネスの原理”から、人間性を大切にこころ豊かな生活者であろうとする“いのちの原理”へと、大きな方向転換のときを迎えている。本研究科は、心と体の両面からいのちと人生と生活の質(QOL=Quality of Life)を捉え直し、それを高める方策を見直し、新たに得られた知見を社会に還元し地域貢献に生かすことのできる、高度な専門性と学際性を持った研究者、実践者の育成を目的としている。

学生に期待すること

 前期課程においては、大学卒業の水準に見合った科学的で論理的な思考力を有すること、および専門分野について、自立した研究者としての研究技能と知識を修得する意欲があり、独自の研究課題と問題意識が明確で、その課題に対して主体的に取り組む姿勢を有していることを、基本条件として考えている。
 後期課程においては、それに加えて、当該学問分野の学術的発展および教育に貢献しようという高い志を有していることが期待される。すなわち、専門分野における研究者としてだけではなく、将来にわたり研究者の指導と養成に携わる意欲と資質を持った入学者を、選抜することを想定している。

学生募集に際して重視すること

 すべての入試形態において、修学意欲が高くそれぞれの専門分野への志望動機が明確で、専門分野に関する基礎知識を有していることと、前期課程においては2年間の、後期課程においては3年間の研究計画が具体化されていることの2点を中心に、専門分野への適性を考慮して合否の判定を行う。

入学前学修として推奨すること

 自分の専修に偏らずに、近接する学問分野についても関心を寄せ、柔軟な思考力と発想力を培うような学習スキルの獲得が推奨される。それが、実践を通して学び、研究成果を実践の場に還元するための力になっていく。

健康栄養科学研究科
教育・研究目的

 少子高齢化が急速に進む我が国において、現在の医療・介護と栄養を取り巻く社会的要請としては、「高齢者が地域で自立した生活を営むために、栄養を含む医療や介護領域の多職種間の連携を強化してこれを支援する、そのことによって要介護状態に陥ることを防ぎ健康寿命を延伸する」ことにあると言える。本研究科は、このような背景の下で、「栄養を含む医療や介護領域において、高度かつ先進的な知識や技術に基づいて、地域が抱える諸問題を多職種連携の中でリーダーシップを発揮しながら解決していく高度専門職業人」を養成することを目的とする。

学生に期待すること

 本研究科の教育・研究目的を達成するために、入学生には以下の能力を期待する。
(1)栄養学を構成する人間、食物、環境、さらには栄養学に関連する生理学から臨床医学領域において学士課程修了相当の基礎的な知識・技能
(2)栄養学に関する問題を自ら発見し、問題解決に向け、科学的根拠に基づいて実証的に分析し、論理的に思考する能力
(3)高いコミュニケーション能力を用いて他職種と協働でき、積極的かつ主体的にチームを牽引する能力
 上述する能力に加えて、大学院における学修や研究に真摯に取り組む姿勢や意欲を有する者を求める。

学生募集に際して重視すること

 全ての入試形態において、栄養学とそれに関連する学問領域の基礎的知識を有していることが大前提である。それに加えて、2年間の学修・研究計画が具体化されていることを重視する。その上で、希望する専門分野への適性や当該学問分野の学術的発展や後進の育成に貢献しようという意欲と高い志を評価して合否判定を行う。

入学前学修として推奨すること

 栄養を含めた医療や介護領域にとどまらず、広い視野で人間社会を俯瞰するような視点を有することを心がけてほしい。人類学や社会学、行動科学や心理学などにも興味を示してその領域の学修を深めておいてほしい。

グローバルカルチャー・コミュニケーション研究科
教育・研究目的

 急速な変容を遂げている現代国際社会は、国家間及び民族間の協調共存の維持と同時に、個人の活動を含め、信頼関係に立った実践的な貢献の必要性を各国の市民に問うている。本研究科が目指しているのは、異文化理解、市民交流の意識を持って社会に実践的に働きかける人材を育成することである。さらに「違いを共に生きる」を理念とし、社会人の再教育の場及び自己実現の場を提供している。
 本研究科は学生の研究テーマに基づき、言語文化コースと交流文化コースの2つに分かれている。言語文化コースは、日本語・日本語教育専修、総合英語専修、東アジア言語文化専修、そして交流文化コースは国際交流・観光専修及びグローバルスタディーズ専修に細分され、それぞれの学生の研究が深められるような授業が提供されている。

学生に期待すること

 博士前期課程では学部教育で培った専門領域に関する基礎知識を基に、自らの設定した特定課題を広い視野から批判的な目を持って追究し、意見を様々な言語で表現する能力を持つ者、また高めていきたい者を求めている。強い意志と意欲で研究し、その結果を人々の生活や社会の発展に貢献しようとする態度を持っていることが重要視される。博士後期課程では前期課程での学修等を基盤に、独自の視点と研究方法により研究テーマに対してあらたな発見をもたらし学問の発展や社会問題の解決に寄与することを目標としていることを期待する。

学生募集に際して重視すること

 博士前期課程では、人々の行動を社会、文化、ビジネス、そして言語やコミュニケーションなどの理論的視点からその現状を把握、分析することはもとより、さまざまな文化圏の人々がより豊かな生活を享受するために自分の研究を役立てたいと考えている学生の出願を歓迎する。また、博士後期課程へ出願をする者は、独自の研究テーマを一層専門的に研究し、将来は専門の研究領域に関する高度な知識と技術を必要とする業務に従事しようとする意欲を持つことが望まれる。

入学前学修として推奨すること

 本研究科博士前期課程にて実りある研究活動を行うために、英語をはじめとする外国語コミュニケーションスキル、人間の本質を理解しようとする好奇心、世界のさまざまな出来事・問題を分析する力、その結果を適切な言葉で表現、伝達する技術を所属学部・学科での学修を通して培うことを推奨する。一方、博士後期課程では、より意義深く精緻な研究を実施するため、関連分野の理論や研究法に関する知識を十分に身につけることにより、あらかじめ研究の基盤を構築しておくことを推奨する。

ビジネス研究科
教育・研究目的

 ビジネス研究科では、現代のビジネス社会に必要とされる国際感覚に富み、激動の時代に自ら考えるための専門的知識と問題解決能力を身につけた高度な専門的職業人や研究者を育成することを目指している。この目標を実現するため専門的職業人コース(ビジネスプロフェッショナルコース)と研究者養成コース(リサーチプロフェッショナルコース)という2つの修了要件を設けている。専門的職業人コースは修士論文を必須とはせず、課題研究レポートをもって代えられるものとしている。研究者養成コースは博士後期課程への進学を視野に研究能力を高めることを目指す。

学生に期待すること

 高度な知識とスキルを獲得する意欲、創造力と構想力のある財務・経営戦略と政策提言、システム的な思考の実践などをベースに、自分の関連する分野で真のプロフェッショナルとして活動することが求められる。
 特に博士後期課程の学生については、修了後も研究テーマに強い意欲を持ち続け、学術活動の進歩と発展に貢献する人材となることが期待されている。

学生募集に際して重視すること

 職業、年齢、性別、国籍などの違いを問わず、多様な学歴と経歴を持つ学生を受け入れるが、それぞれの分野で学修に必要な、十分な知識を持つことが求められる。論理的にものごとを分析、考察する能力と共に、研究テーマに強い意欲を持ち続けられる学生を歓迎する。
 博士後期課程の学生については、研究者としてさらなる学問的発展を目指す意欲を有するものが望ましいと考えている。

入学前学修として推奨すること

 経営学・商学・経済学など、ビジネスに関する学問分野についての基礎知識を修得するとともに、経済・政治・社会などのニュースにも積極的にアクセスし、幅広く関心を持つことが望まれる。また、自身が研究の中心とする分野やその近接領域については、学部での学修をさらに深めておくこと。