創造表現学部 創造表現学科 創作表現専攻 小倉史

創造表現学部 創造表現学科 創作表現専攻 小倉史

小倉史

創造表現学部
創造表現学科 創作表現専攻

映画に描かれる社会や人々の想いと、深く向き合う。

プロフィール

学歴
  • 2003年3月:早稲田大学第一文学部卒業
  • 2005年3月:東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了 修士(学術)
  • 2010年3月:同上 博士課程満期退学
職歴
  • 2007年4月:愛知淑徳大学非常勤講師
  • 2010年4月:愛知淑徳大学メディアプロデュース学部助教
  • 2016年4月:愛知淑徳大学創造表現学部講師
  • 2020年4月:愛知淑徳大学創造表現学部准教授

 映像メディアである映画は、言葉で表せない事象を独自の映像言語によって伝え、映し出すことができます。小倉先生は「各時代の社会や人々の想いを掘り起こし、読み解いていきたい」という熱意のもと、日本の大衆映画を研究しています。ゼミではフィルム映画の上映やシナリオの創作など実践も活発。学生の豊かな表現力や思考力、広い視野を培っています。

日本の映画史の研究をしています。とりわけ、戦後日本(1950~1960年代)の大衆映画に関心があります。映画はある時代までは大衆の記憶の残像を写す鏡でもありました。1950年代というと、まだまだ大衆の心に戦争の記憶が鮮明だった時代です。一方で、そうした記憶に様々な形で「フィクション」が付与されていく時代でもあります。映画の世界では、黒澤明や小津安二郎といった巨匠が、世界的な映画祭で称賛される映画、歴史に名を遺す映画を撮っていますが、同時期に名も知れぬ職人監督たちが、プログラムピクチャーと呼ばれるB級映画を無数に生み出していました。こうした映画の多くは、長きにわたり、取るに足らないものとして扱われ、フィルムそのものが失われてしまっていることも少なくありません。しかしながら、現存しているものを精査していくと戦後の日本人が、どのように記憶と向き合ったのかということが刻印されている非常に面白い作品ばかりであることが判ってきます。調査の過程では制作当時の映画雑誌を漁ったり、シナリオを精読したりもします。シナリオは多岐にわたって改変され、最終的に「映画」として成立するものですので、その変遷をたどると、当時の制作陣がどのような制約の中で、大衆の想いを反映すべく、映画を撮影したのかが浮かび上がってきます。

メディアが多様化するなかで、普段接している学生の皆さんの「映画」の捉え方も随分と変わりました。学生とのやり取りは自身の研究にも様々な示唆を与えてくれています。近頃ではたとえば、映画に登場する女性イメージから当時のジェンダー規範を読み解くという研究や、「映画化とアダプテーション」というテーマにも関心が広がっていますが、これも学生との映画談義を通じて生まれたテーマと言えるでしょう。

主要著書・論文

  • The Bible in Motion:A Handbook of the Bible and Its Reception in Film

    The Bible in Motion:A Handbook of the Bible and Its Reception in Film

    (共著)De Gruyter社 2016年

  • ジェンダー・ダイバーシティと教育—横断研究の試み

    ジェンダー・ダイバーシティと教育—横断研究の試み

    (共著)「ゼロ年代的ヒロインの行方—少女の見る夢、目醒めるリアル」愛知淑徳大学ジェンダー・女性学研究所編 ユニテ 2020年

  • 〈ホームドラマ〉にみる日本の家族像‐囲むことと食べること

    〈ホームドラマ〉にみる日本の家族像‐囲むことと食べること

    韓国木浦大学日本文化研究8 23—36頁 2014年

  • 「彼女」たちの信仰―映画の中の統御不能な女性たち―

    早稲田大学演劇映像学会『演劇映像』第58号、1—17頁 2017年

(2020年10月 取材)