人間情報学部 人間情報学科 髙原 美和

髙原 美和

人間情報学部
人間情報学科

高齢者の安全運転にどう貢献できるか。新たな道を探り続ける。

プロフィール

学歴
  • 1998年3月:東京都立大学経済学部経済学科卒業
  • 2001年3月:甲南大学文学部人間科学科卒業
  • 2004年3月:大阪大学大学院人間科学研究科博士前期課程修了
  • 2007年3月:大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了
職歴
  • 2007年4月:大阪大学大学院人間科学研究科特任研究員
  • 2007年11月:東京工業大学大学院総合理工学研究科産学官連携研究員
  • 2008年9月:株式会社豊田中央研究所客員研究員
  • 2011年4月現在:愛知淑徳大学人間情報学部講師

企業の研究所で高齢者の認知機能や行動特性などを研究し、安全運転のためのシステム開発に貢献してきた髙原先生。近年は安全教育にも関心を高め、視野を広げて次代の交通社会を見据えています。「私は興味のあることに次々と飛び込み、研究者の道を拓いてきました。学生たちにも自分の可能性に自信を持ち、力を出しきってほしい」と期待を寄せています。

高齢ドライバに必要な運転支援とは。

“人間の行動特性を明らかにして、モノづくりやサービスに応用する”ということが、私の大まかな研究の方向性です。具体的には、高齢ドライバによる事故が多い場面から、行動の問題点を明確化し、その環境にふさわしい行動を起こせるような運転支援を提案するというものです。
以前、自動車関係の研究所に所属していた時は、出会い頭事故という観点から、閉鎖コース内に信号のない交差点を設置し、運転行動を観察しました。結果、“標識の見落とし”、“停止が不十分”、“確認回数が少ない”、といった高齢ドライバの特徴が示されました。支援としては、この全てに対する音声ガイドを提案しました。

偏った見方をするのではなく、現実を多角的に捉えたい。

このように書くと、「やっぱり高齢ドライバは危ない!」とか「免許返納だ!」といった意見が聞こえそうですが、長らく実験や調査で高齢者の方と接していると、“高齢者”とひとくくりにできない現実が見えてきます。実際に前述の実験でも、特に危険な“標識の見落とし”は、ごく一部が繰り返していることがわかりました。つまり、個人差が大きいのです。
今後としては、高齢者の個人差、特に日常生活は健常なのに危険な運転をしてしまう人をどうやって見分けるか、という点に興味を持っています。何か簡単なテストで見つけられれば、危険な高齢ドライバへの個別の対策が考えられるはずです。人はいずれみんな高齢者になるわけですから、自分が高齢者になった時に、単に高齢だからではなく、根拠を以て運転の可否を判断してもらえる社会になるといいなと思っています。

主要著作

  • IATSS Review Vol.36 No.1

    IATSS Review Vol.36 No.1

    IATSS(国際交通安全学会)(2011年)
    共著
    (「高齢ドライバにおける一時停止支援システムの研究」PP6-13)

  • 情報福祉の基礎知識

    情報福祉の基礎知識

    ―障害者・高齢者が使いやすいインタフェース―
    情報福祉の基礎研究会 編著 ジアース教育新社(2008年)
    共著
    (「加齢に伴う注意・認知機能とメンタルワークロード」)

(2015年7月 取材)