報告
2013年09月30日
「studio point講演会|キッカケのデザイン」

コミュニケーションの"キッカケ"となるデザイン。
その具現化に挑み続ける、クリエイターが語った90分。
人や社会が求める建築、インテリアなどを生み出すには、造形力はもちろん、文字、映像、音楽などさまざまなメディア表現に及ぶ企画力や表現力も必要になります。そこでメディアプロデュース学部の都市環境デザインコースでは、社会の動きや時代の流れに対応できる総合的な力、幅広い視野を培うために、第一線で活躍する建築士やクリエイターなどによる講演会や展示会などを定期的に開催しています。9月24日(木)から10月10日(木)までの一週間は「studio point展|キッカケのデザイン」が長久手キャンパス内で開かれました。
studio pointは、プロダクト、インテリア、グラフィックなど幅広いデザイン活動をおこなうデザイン事務所。手がけたさまざまなプロダクトがグッドデザイン賞など数々の賞に輝き、注目を集めています。展示会場には、生活に関わるモノやコト、空間デザインしたプロダクトやパネルなどが並び、studio pointのナチュラルでやさしい世界観が広がっていました。
会期中の9月30日(月)には、関連イベントとして「studio point講演会|キッカケのデザイン」を開催。studio pointの澤田剛秀氏と大山圭史氏をお招きし、実際の事例を紹介しながらデザインの仕事について語っていただきました。
人と人がコミュニケーションを深める"キッカケ"となるデザインを生み出したい――こうした思いのもと、デザインワークに取り組む澤田氏と大山氏。おふたりは学生時代の先輩・後輩の間柄であり、卒業制作・修了制作のときにコンセプトをシェアしたことから協働が始まったそうです。澤田氏は「"人と人のコミュニケーション"ってなんだろう? その疑問を起点に、制作に取り組みました。デザインには、コミュニケーションを強いる力はありませんが、"キッカケ"をつくる力はあります。その"キッカケのデザイン"を追究する姿勢は、10年以上経った今も変わりません」とデザインの軸となる考えを語りました。
その上で、澤田氏と大山氏はスクリーンを使いながら過去の事例を次々と解説しました。江戸時代から使われている日本の伝統的な道具「升」の魅力を現代風にアレンジしたプロダクト、岐阜の郡上おどりを応援するために開発された「郡上おどり文具」など、日本各地の地域に根付いた文化や産業を活性化する"キッカケ"にもなる商品も紹介。「仕事で大事にしているのは、クライアント自身も気づいていない"ほんとうにしたいこと"を聞き出し、共有し、コンセプトを定めること。そうすると、デザインの可能性が大きく広がるのです」と、学生たちの制作活動にも通じるデザインワークの重要ポイントを教えてくださいました。
講演会の締めくくりは、質問タイム。学生の「新しいアイデアを見つけるために何をしていますか?」という問いに、両氏は「めちゃくちゃ調べる!」と即答。卒業制作・修了制作では半年間もの時間をリサーチに費やしたというエピソードも披露し、幅広い知識や確固たる理論を学ぶことが創作・制作活動の基盤になることを強調しました。
新進気鋭のクリエイターの方々から"キッカケのデザイン"について学ぶことができた、今回の講演会。学生たちにとって、日々の学修や研究、制作にいっそう情熱を燃やし、社会にも通用するデザインの力を磨く"キッカケ"になったことでしょう。