追究

2022年01月21日

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ3年 展示企画「なんせんす」「せんせーしょん」

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ3年 展示企画「なんせんす」「せんせーしょん」

2021年12月4日(土)、5日(日)愛知県児童総合センター

 創造表現学部 メディアプロデュース専攻に所属する学生が合同で作品展示プロジェクト「僕らのセブンス・コード」を開催しました。4年生は卒業制作として、3年生は一年の成果発表として、テーマタイトルを決めて毎年おこなっています。
 今年のタイトルは「僕らのセブンス・コード」。“音楽を楽しむように、僕・私たちの7つ(セブンス)の展示(コード)を楽しんで欲しい”そんな想いを込めて、メディアプロデュース専攻での学びを表現しています。
 今回は、12月4日(土)5日(日)愛知県児童総合センターでおこなわれた、村上ゼミ3年のチーム小人猫企画「なんせんす」と、はーとっぐ!企画「せんせーション」を紹介します。

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ3年 展示企画「なんせんす」「せんせーしょん」

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ3年 展示企画「なんせんす」「せんせーしょん」

意味が分からない「なんせんす」がコンセプト

 意味は分からないけど、つい見入ってしまうもの。村上ゼミ3年の「チーム小人猫」の7名はそんな意味の分からないもの=ナンセンスをコンセプトに空間を構成しました。
 アイデアの源は、メンバー7名それぞれの個性を活かしたいという想いです。全員で話し合いを繰り返すなか、あえてコンセプトをひとつにまとめるのではなく、バラバラの個性を表現していく方向性を定めました。そこで3つの展示物を考案。1つめはスクリーンを短冊形に切断し、そこに映像を投影したもの。スクリーンを切るという大胆な発想により、隙間から顔を出したり、通り抜けたりする新しい体験を実現しました。2つめがブラウン管テレビを積み重ね、ナンセンスな映像を流すもの。子どもたちはブラウン管テレビを知らない世代。だからこそ、新鮮に感じてもらえるはずだと考え、そこに抽象的な動画をループさせました。3つめはセンサーが人を感知すると、それにリンクして映像が流れるもの。子どもたちはその空間に入るとなぜ映像が流れるのかが分からず、不思議がりながらも楽しんでいました。

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ3年 展示企画「なんせんす」「せんせーしょん」

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ3年 展示企画「なんせんす」「せんせーしょん」

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ3年 展示企画「なんせんす」「せんせーしょん」

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ3年 展示企画「なんせんす」「せんせーしょん」

 これらの展示物は、作り手が遊び方を限定しないように留意して作られました。子どもたちの創造力で自分たちだけの遊び方を見つけ欲しい。そんなメッセージが伝わってきました。

●学生コメント

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ3年 展示企画「なんせんす」「せんせーしょん」

創造表現学部 メディアプロデュース専攻3年 岩田真結子さん

 ゼミが始まった4月から企画をスタートしましたが、コンセプト決めやどんな展示物にするのかを固めるのに時間がかかり、実際に動き始めたのは9、10月くらいからです。ゼミで集まった7人は初対面なので、それぞれがどんな性格で、どんな個性があるのかも分かりません。話し合いをしていく中で、相互に理解を深め、内容を固めていく作業は難しくもやりがいがありました。

「せんせーしょん」は心音がコンセプトの異空間

 「はーとっぐ!」の7名が企画したのは「生きる」をテーマにした体験型の展示。生きていることの象徴である「心音」を可視化することで、当たり前のように生きていられる素晴らしさを再認識してもらおうと考えました。会場にはたくさんの不織布が天井から吊るされ、柔らかに空間を仕切っています。そこにプロジェクションマッピングで映像を投影。空間の奥の方からは心臓の音が「ドクドク」と聞こえ、ところどころに靴や写真、手紙など、人間の生活を感じさせるアイテムも飾られています。その空間に身を置くと、まるで母親の胎内にいるような不思議な感覚に陥ります。

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ3年 展示企画「なんせんす」「せんせーしょん」

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ3年 展示企画「なんせんす」「せんせーしょん」

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ3年 展示企画「なんせんす」「せんせーしょん」

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ3年 展示企画「なんせんす」「せんせーしょん」

 こちらの展示も「せんせーしょん」と同じく、遊び方を限定しないように留意しました。子どもたちはこの日常とは違う異空間の中で、鬼ごっこやかくれんぼをして無邪気に遊んでいます。学生たちは子どもたちがぶつからないように気を配っている様子。ケガのないように楽しんでほしいという安全への意識も感じられました。

●学生コメント

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ3年 展示企画「なんせんす」「せんせーしょん」

創造表現学部 メディアプロデュース専攻3年 髙木 碧さん

 制作にはテーマを決めてから半年くらいかけてつくり上げました。初めてのことなので、会場の規模感に対して不織布が何枚必要なのかなど、展示で使うアイテムの大きさ、量などの目安がつかず、苦労しました。来場者はほとんどがご家族で、小さなお子様を連れています。ご家族で楽しんでいただけたようで、私たちもほっとしています。

スペクトラムリアリティ:こどもの場合

 メディアテクノロジーとアートについて研究を進めている村上ゼミの村上泰介先生。近年、ご自身が研究されている自閉症スペクトラムの世界を追体験するメディアテクノロジーに関連し、今回は「聞こえ方の不思議」を体験してもらう展示をおこないました。

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ3年 展示企画「なんせんす」「せんせーしょん」

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ3年 展示企画「なんせんす」「せんせーしょん」

 通常、右から聞こえる声は、自身の右側にいる話者が発する声です。しかし、特殊な装置を使い、ヘッドホンをして会話をすると、声が右から聞こえるのに、話者が自分の左にいるという奇妙な体験ができます。自己定位(自分の立ち位置)を見つめ直すこと、あるいは自身の常識とは違う世界があることを認識する良い機会を与えてくれました。