追究

2023年03月06日

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ ゲームデザイナー講演会「Let’s play Our games」

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ   ゲームデザイナー講演会「Let’s play Our games」

2023年1月13日(金)長久手キャンパス 826教室

ボードゲーム制作についての講演会が開催。
学生の自作ゲームをプロが試遊し、創作意欲が刺激されました。

 創造表現学部 メディアプロデュース専攻の村上ゼミでは、VRやプログラミングなどのデジタル技術を活用したメディア・アートを専門的に学んでいます。専門テーマは幅広く、プロジェクションマッピングやユニバーサルデザイン、動画コンテンツなどさまざまです。なかにはボードゲームを専門とする学生もおり、独創的なオリジナルゲームを開発しています。2023年1月13日(金)、そんなゲームの制作に勤しむ学生が主体となって講演会を開催しました。プロのゲームデザイナーの方をお招きし、ゲームの制作についてのお話や、学生が作ったゲーム作品の講評をしていただきました。

 今回講演していただいたのは、ボードゲームを中心に多くのゲームを手がけている株式会社オインクゲームズの〜代表を務める佐々木隼氏。オインクゲームズで制作したゲームを例に、ボードゲーム制作の流れなどを紹介していただきました。今回の講演会では、村上ゼミの学生以外にも多くの学生が参加。佐々木氏に講評してもらえる絶好の機会ということで、他大学の学生も自作ゲームを持参し披露し、クリエイティブな空気に包まれた講演会となりました。

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ   ゲームデザイナー講演会「Let’s play Our games」

創造表現学部

 まずはゲーム制作の流れを説明されました。ゲーム制作は、大きく分けて「世界(ストーリー)」か「ルール」のどちらかから始まります。佐々木氏はルールからつくることが多く、ルールを決めていくには、ゲーム性などの骨組みを探すのが大変なため、日常のちょっとしたことにも注目してヒントを得ています。また佐々木氏は「ゲーム制作ではルールやストーリー性、コンセプトなどだけでなく、ゲームにかかるさまざまなコストを意識することも大切」と語られました。ゲームの販売価格だけでなく、ゲームを遊ぶためにかかる時間や、ルールを理解するための時間、ゲームを外へ持っていくための労力などもすべてコストとして捉え、ゲームの面白さがそれらのコストを乗り越えるようにした方が良いと、学生たちにアドバイスを送られました。

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ   ゲームデザイナー講演会「Let’s play Our games」

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 中盤には学生たちからの質問タイムを用意。ルールが複雑なゲームにおいて、説明書をどのように表記すればよいかという質問では、「ボードゲームにおいて説明書はとても重要。どれだけゲームが面白くても、それを理解してもらわなければ意味がない」としたうえで、「できるだけ多くの人に読んでもらうしかない」と回答。佐々木氏もルールを知らないスタッフの方に説明書を読んでもらって、適宜修正を繰り返しているそうで、説明書制作はプロでも一筋縄ではいかないようです。他にも、「説明書のサイズや印刷をどうすればよいか」「機能性とコストのバランスはどうすべきか」「広報活動はどこに力を入れているか」など、ゲームマーケットへの出展をめざす学生ならでの質問が多く寄せられました。それらの質問に佐々木氏は自身の経験をもとに答え、学生たちがゲームを制作・販売する上で抱えている疑問や悩みを解決する糸口を示しました。

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ   ゲームデザイナー講演会「Let’s play Our games」

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 後半は学生たちが制作したオリジナルゲームを試遊し、佐々木氏に講評していただきました。最初に村上ゼミの学生が卒業制作として自作したゲームを展開。トランプの神経衰弱をベースに、さまざまな特殊効果があるカードを使って駆け引きを楽しむゲームで、佐々木氏と講演会に参加した学生たちの計4人でプレイしました。村上ゼミの学生からルール説明を受けながらゲームは進行し、15分ほどで終了。佐々木氏からは「ゲーム自体は手軽で誰でも遊べる」と遊びやすさについては好評をいただきました。しかしゲームの肝となる特殊効果があるカードについて「特殊効果によって盛り上がりがリセットされると、神経衰弱の良さを消してしまうかもしれない」と鋭い指摘がありました。ゲームは一番盛り上がった状態で終わるのがベストだとして、「ゲームのメカニクスは足し算ではなく、引き算で考えた方が良い」とルールの考え方についてご指導いただきました。

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ   ゲームデザイナー講演会「Let’s play Our games」

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 その後もババ抜きをベースにした1対1の心理戦ゲームや、子ども向けのデジタルクイズゲームなど、学生たちの考案したゲームを体験され、一つひとつの良い点と改善点を講評していただきました。ゲームデザイナーの率直な意見を学生たちは真摯に受け止め、ゲームのブラッシュアップに繋げることができそうです。

 今回の講演会で、ゲームデザイナーがゲーム制作するときに意識している点やポイントを学んだ学生たち。自作したゲームをプレイしていただき、プロの視点からアドバイスをもらえたことは、より良い作品を仕上げるための糧となり、モチベーションも高まったことでしょう。今後も学生が関心を向けるテーマの専門家のお話を伺う機会を提供し、学生たちの創作に対する意欲を高めていきます。