追究

2024年09月27日

教志会「第10回総会・講演会・情報交換会」

2024年8月10日(土) 星が丘キャンパス 記念会堂、交流ラウンジEAST

教職をめざす学生や教職に就く卒業生が集まり、
よりよい学校現場のあり方について考えを深めました。

 1975年の開学当初から教職課程を設置する本学は、これまでに2,000人を超える卒業生を教育現場に輩出してきました。大学の理念「違いを共に生きる」のもと、本学では児童・生徒一人ひとりに寄り添うことのできる豊かな人間性や専門性、実践力を備えた教員を育てています。そうした教員養成教育を支える組織として、2015年8月に発足したのが「教育に志す者の会(略称:教志会)」です。本学の教職課程履修者と教職に就く卒業生をつなぐコミュニティ・ネットワークとして、重要な役割を果たしています。そして、「教員になれるように」「教員を続けていけるように」を合言葉に互いに学び合い、支え合う場として、研究会や講演会、交流会などを定期的に開催しています。

 8月10日(土)には「教志会 第10回総会・講演会・情報交換会」が星が丘キャンパスにて開催され、卒業生・在学生・教職員が約100名参加しました。まず記念会堂でおこなわれた総会では、令和6年度の教志会役員や事業計画などの議案を審議。すべて賛成の挙手多数により速やかに承認されました。

 続いて、名古屋大学教育学部教授 内田良先生による講演会が開催されました。内田先生は教育社会学を専門とし、スポーツ事故や教員の長時間労働などのさまざまな学校リスクの調査・研究に力を注がれています。
 今回の演題は「教員の働き方を見える化する ー授業中心の学校づくりをめざしてー」。近年、教員に課せられる業務の多さや長時間労働などが問題視され、教員の働き方改革が進められています。内田先生はこれまでの調査・研究についてふれながら、保護者や世間が学校に対して子どもの管理を過度に求める「学校依存社会」となっている日本の現状に言及。労働環境として学校現場が厳しい状況にあることを“見える化”して、同じ労働者として保護者や地域社会の人々が共に考えること、変えていくことが大切だと話されました。
 また、「教員の基本業務は『授業づくり』。いじめ・不登校における子どものケア、部活の指導などは、教員だけ・学校だけが抱え込むのではなく、他の専門職へつなげばよいのです。ある小学校では、教員の負担軽減に取り組み、先生方が授業づくりに集中できるようになった結果、子どもたちが楽しく学べる授業になり、不登校やトラブルが減るなど子どもたちにとっても良い状況になったそうです」と具体的な例を入れながらのお話は、参加者からとてもよかったと好評でした。
 教員が本来の職務を全うできる学校づくりを社会全体で進めていくことが、子どもたちのためにも重要であるといった示唆に富んだ、今回の講演会。参加した学生や卒業生にとって、気づきや学びに満ちた貴重な時間となったことでしょう。

 講演会終了後は、会場を交流ラウンジEASTに移して情報交換会を実施。卒業生や教職員だけでなく、内田先生、愛知県内の4自治体の教育委員会の方々もご参加くださり、学生たちが各テーブルをローテーションでまわり交流を深めました。各自治体の教育、教職志望者向けボランティア活動、在学中に取り組むべきこと、教員採用試験対策の方法など、話題は実にさまざま。教育をテーマに和やかに語り合いながら、互いに高め合う、教志会ならではの光景が広がっていました。
 今後も教志会は、学生や卒業生がそれぞれの目標に向かい、よりよい教育を実践できるよう、学び合いや交流の機会を提供していきます。