追究

2025年02月25日

2024年度学芸員課程講演会 「学芸員とは~地方公共団体の学芸員の役割とこれから~」

2024年12月16日(月) 長久手キャンパス 11号棟1階ミニシアター

愛知県一宮市博物館の館長をお招きし、
地方公共団体における学芸員の仕事を
リアルに語っていただきました。

 本学では公立図書館などで専門業務を担う司書や博物館、美術館などで資料の収集・保管・展示・調査研究などをおこなう学芸員を目指す学生のために、司書・学芸員課程を設けています。司書・学芸員課程委員会はそんな学生たちに向けて、定期的にイベントや講演会を開催。12月16日(月)は、長久手キャンパス ミニシアターにて愛知県一宮市博物館の館長 久保禎子氏をお招きし、学芸員の実際の仕事内容などについてご講演いただきました。

 久保氏は大学で考古学を専攻し、卒業後は愛知県の一宮博物館の民俗担当として採用されました。一宮市尾西歴史民俗資料館へ異動した後、再び一宮市博物館に戻り、現在は館長として館全体の統括をされています。
 講演会は講師のお人柄が醸し出すリラックスした雰囲気の中で始まりました。余談を挟みながら、企画展をおこなう際の手順や展示品の調達・予算・経費などについて赤裸々に話していただきました。また博物館の管理についても言及。たとえば施設を維持するための防水工事をはじめとした修繕費の検討など、学芸員とはいえ地方自治体の公務員として担わなければならない雑多な業務について、具体的なエピソードを披露してくださいました。その他にも博物館の展示内容の違いや展示物から資料化する流れ、資料を収蔵する際の着眼点、施設としての運営なども具体的に紹介していただきました。特に資料を収蔵することは、学芸員にとって非常に重要な仕事であるとし、温度や湿度の管理が収蔵品を長持ちさせるために大切なポイントであることを教えていただきました。また、施設運営においては、収入を増やすために入館料よりもミュージアムショップなどでの物販が重要であると説き、来館者をミュージアムショップへ誘導する建物のレイアウトがポイントであることも興味深いお話でした。

 現在、久保氏は、一宮博物館以外にも多くの博物館、資料館などの管理運営に携わっています。地方公共団体の学芸員は、さまざまな仕事をこなさなければいけないこと、しかしまたそのことによって地域との連携を深めていくことも可能であることを始終、強調されていました。また、地方公共団体によって学芸員の仕事内容が異なるため、自分がどのような仕事をしたいのかを見極め、自分にいちばん合っていると思えるステージを見つけることが大切だとアドバイスをいただきました。講演を聴く学生たちはリアルな仕事内容を理解し、学芸員として働くイメージをすることができたのではないでしょうか。
 本学ではこれからも学外の各分野の専門家による講演会を積極的に実施し、学生たちの視野を広げるきっかけを提供し続けていきます。