追究
2025年03月19日
創造表現学部 創作表現専攻主催 卒業論文・卒業制作 成果発表会

2025年1月22日(水)長久手キャンパス814教室
小説や評論の執筆、漫画や詩歌の創作など
4年間の集大成となる卒業論文・卒業制作を発表しました。
本学の創造表現学部 創作表現専攻では、小説や評論、詩歌、児童文学、マンガ、シナリオ、演劇、ノンフィクション、編集など多岐にわたる文芸創作の方法を学んでいます。2年次以降はゼミナールが開講。自らの興味関心に合わせて一つの分野を掘り下げて学び、表現力や発想力、描写力、独創性をより深めていきます。
4年次では学びの集大成として卒業論文・卒業制作を完成させます。1月22日(水)には、全ゼミナールの学生を対象とした成果発表会が対面とオンラインのハイブリッド方式で実施されました。当日は13名の学生が、テーマを決めるまでに至った経緯や、工夫したポイント、自身の反省点もふまえた後輩たちへのメッセージなどを発表。本専攻の4年生や後輩たちは会場で熱心に耳を傾けました。
午後のトップバッターをつとめた中野蘭さんは、自身が創作した小説について解説。当初想定していたテーマがありましたが、執筆を進めるにつれて問題点が発生したことから、思い切って主題を変更し、作品の方向性を固めていったことを明かします。また、創作にあたっては「思いついたことをとにかくメモに書き出したり、レジュメのような形でまとめてみたりした」と話します。「見返すことができる形で文字に残すことを意識し、作品に乗せる自分自身の思考を連ねていった」との話は、後輩たちにとって創作のヒントになったのではないでしょうか。質疑応答では、中野さんが腐心したという二次創作感の払拭について「具体的にどのようなことをポイントにしたのか」という質問が上がり、詳しい解説を聞くことができました。
次に発表した石塚洋也さんは作家・伊藤計劃にフォーカスをあてた評論について解説。オリジナル長編小説を2作品、ゲームのノベライズ1作品を遺してこの世を去り、作家人生わずか2年の伊藤計劃ですが、後世に計り知れないほどの影響を残したことから、石塚さんは「死後」に着目。死後に、その人物を偉大な存在として遺すことは、いい意味で生き続けるということであり、その一方で呪いとして残ってしまうこともあるとし、伊藤計劃の作品やインタビューをはじめ、伊藤計劃の影響を受けた作家や、死後に影響を受けて生み出された作品などからも考察を述べました。専攻内ではイベントを企画したり、勉強会を開催したりと、学びの場づくりにも意欲的だった石塚さん。大学4年間について「苦労はありましたが、それ以上に幸せな毎日を過ごさせてもらいました」と話し、ゼミや専攻の先生や仲間に感謝の気持ちを伝えました。
次に発表した藪下瑠衣さんは、5つのテーマで十篇ずつ、合計五十篇の詩を創作したことについて解説。タイトルやテーマ構成、工夫したところや反省点などを話しました。過去に専攻の学生企画で講演された小説家・藤沢周さんの話に感銘を受け、「1日に1つは詩を書いていこう」と決意し、これまで実践してきたという薮下さん。詩の創作が好きでありながらも、難しさに何度も直面してきたことを明かし、「向き合っているものが大きく、不安になることがあるけれど、それでもやり続けることがその不安を取り除く一番の近道だと感じた」と、今後も創作を続けていく決意を語りました。質疑応答では、清水先生から「同時代で気になる詩人はいますか?」との問いがあり、「ぜひ同時代で伴走者を見つけてほしい」とのエールが送られました。
他にも、戯曲、児童文学、映画シナリオ、マンガ、論文など、様々な分野での発表が続き、計8時間近くの発表会は、幕を閉じました。
創作表現に興味を持ち、切磋琢磨してきた仲間たちが、どのように創作活動に向き合ったのかを知ることができた今回の成果発表会。これから社会に出て、新たなステージへと羽ばたく学生たちですが、創作にひたむきに取り組み、悩みながらも根気よく粘り続けた経験は、きっと自身の糧となっていくことでしょう。本専攻では、学生一人ひとりの創作意欲に寄り添い、納得のいく創作ができるよう全力で学生たちを支えていきます。