追究

2025年11月14日

食健康科学部 食創造科学科 高校生のための食創造科学入門講座

2025年8月21日(木)長久手キャンパス134教室

食材の魅力発見!「食品開発の世界」
高校生に向けて、学科での学びや食品開発の魅力、
食創造科学科の充実した施設を紹介しました。

 本学の食健康科学部 食創造科学科は、食に関して幅広い分野を学べる学科です。2024年4月に設立された新しい学科であり、食品学、栄養学、調理学、健康学、食文化、食創生の6領域に関する知識を修得するだけでなく、食品分析・加工・開発などを実践的に学ぶことで、食産業や食文化の創造、そして人々が健康的に暮らせる社会の実現に貢献できる人材の育成を目指しています。

 今回は高校生の皆さんに、本学科でどのような学びができるのかを体験してもらう「1日体験講座」を開催しました。前半では食品開発に関する3つの講義を実施し、後半では施設見学を通じて、本学の専門的な学びを間近で感じてもらいました。

 最初に登壇されたのは菅野友美先生です。講義の冒頭では、本学科での学びについて詳しく説明がありました。多彩な講義を通じて知識を深め、実践的な学びを重視したカリキュラムが紹介され、参加した高校生たちは先生の話にじっくり耳を傾けていました。

 その後、講義は本題へと進みました。テーマは「味噌を使った食品開発の取り組み」。昨年度、本学科では食品メーカーのイチビキ株式会社様とタイアップし、オリジナルのレトルト食品を開発した事例を紹介しました。このプロジェクトでは、まず演習授業(ゼミ)にて、イチビキの味噌を活用したレトルト食品のレシピを学生が考案。数あるアイデアの中から、乳酸菌を活用した「和風ポトフ」が商品化されることになりました。その後、実習科目にて試作を重ねて商品化へと進み、さらにパッケージデザインも学生が考案しました。
 このように、本学科の学びでは、企画・開発から店頭に並ぶまでの一連の流れを実習科目や演習科目などの授業の中で実践的に学ぶことができる点が紹介され、参加者にとっても食創造科学科の魅力が伝わる講義となりました。

 2つ目の講義は、三宅義明先生による「レモンの食品開発」です。三宅先生は、過去に食品企業でレモン果汁を用いた加工食品の開発に携わった経験を持ち、その実績をもとに、レモンを活用した機能性食品の開発について話されました。
 レモンは「酸っぱい」「爽やかな香り」といった特徴を持つ果実で、ビタミンCが豊富なことで知られていますが、実はそれ以外にも多様な成分を含んでいます。食品開発においては、まずレモンに含まれる成分を調査し、それらが健康にどのように寄与するかを検討した上で、機能性食品としての開発が進められます。
 三宅先生が関わった食品開発では、レモンの抗酸化作用に着目。講義では、食品開発における企業間の競争や、開発者としてのやりがいについても触れ、実際の開発現場のリアルな様子を知ることができました。

 3つ目の講義は、小松一先生による「薬用植物の商品開発」でした。薬剤師で、かつては薬学部で教鞭をとっていた小松先生は、日常の食卓に並ぶ野菜や調味料の中には、漢方薬の処方に用いられる食品が多く含まれていることを説明し、七味唐辛子は江戸時代における薬草を用いた商品開発の一例である、という話をしました。七味唐辛子は唐辛子をベースに、山椒、みかんの皮、ごま、麻の実などがブレンドされています。講義では、教室に7種の薬味が用意され、高校生たちはそれぞれの瓶を手に取り、色や香りを体感しました。先生からは各薬味についての解説があり、多くの効能・効果があることを学ぶ機会となりました。

 すべての講義が終了した後は、1号館の4階と5階にある施設の見学ツアーがおこなわれました。
 4階の実習フロアでは、テーブルコーディネート室や食品加工実習室など、実習に使用される教室を見学しました。続いて、5階の実験フロアでは、食品衛生実験室や食品分析実験室など、実験で使用される教室を見学しました。高校生たちは、評価機材や実験装置などの本格的な設備を初めて目にし、驚きと興味をもって見学していました。
 今回の講義と施設見学を通じて、食創造科学科での学びをより具体的に感じてもらえたことと思います。本学では、現役学生はもちろん、これから入学を目指す未来の学生とのつながりを大切にし、その活動や学びを力強く支えていきます。