追究
2025年11月25日
愛知淑徳大学開学50周年記念講演会「未来をつくる」仕事は楽しい
2025年度 展示会・講演会・発表会 教育学部(2025年4月開設)

2025年10月2日(木) 長久手キャンパス10号棟ラーニングスタジオ
子どもの本当の声に耳を傾け、一人ひとりが笑顔になれる居場所。
「みんなの学校」を築いた木村先生から教職の意義を学びました。
2025年4月、文学部 教育学科と総合英語学科の教育体制を発展させ、「教育学部」が誕生しました。教育現場が抱えるさまざまな課題や子どもを取り巻く社会の変化に対応できるよう、特色あるカリキュラムや充実した学修環境を用意。1975年の開学当初から続く教員養成の伝統を受け継ぎながら、教職を志す学生一人ひとりの学びと成長を丁寧に支えていくことを目指しています。
この教育学部が開設した2025年度、愛知淑徳大学は開学50周年という節目を迎えました。その記念として10月2日(木)、教職歴45年を誇る木村泰子先生を講師にお招きし、講演会「『未来をつくる』仕事は楽しい」を開催しました。当日は3・4年生を中心とした学生が大勢集まり、子どもたちのよりよい学びや成長を後押しする教職の意義や可能性について、改めて考える時間となりました。


木村先生は大阪市立大空小学校の初代校長を務め、「すべての子どもの学習権を保障する」という理念のもと、障がいの有無にかかわらず、みんなが笑顔になれる居場所となる学校づくりに力を注がれました。講演会では、大空小学校の1年に密着したドキュメンタリー映画「みんなの学校」で伝えられたメッセージ、これまでに出会った子どもたちとのエピソード、子どもを取り巻く社会課題、新しい時代の教育・教員像などについて、親しみやすい大阪弁を交えながら語ってくださいました。また、「対話」を大切にされている木村先生は、講演会の随所で学生に問いを投げかけ、学生たちが主体的に考えを深められる学びの時間をつくってくださいました。


講義の中では、不登校の小中学生は34万6482人(2023年度、文部科学省)、自殺した小中高生は527人(2024年、厚生労働省・警察庁)と、それぞれ過去最多となっている現状にも触れられました。これらの統計データを示しながら、これまで国を挙げて画一的に「与え続ける教育」をしてきた結果ではないかと木村先生は解説し、「これから教員をめざす皆さんには『子どものための先生』になってほしい」と期待を寄せられました。
「自分で考え、判断、決定し、行動する。失敗したらやり直す。人のせいにしない。他者と互いに学び合い、育ち合う。そんな『自律』の力を伸ばしていこう」「子どもたちの未来に必要なのは『人を大切にする力』『自分の考えを持つ力』『自分を表現する力』『チャレンジする力』という4つの見えない学力です」「教員が『自分一人ではできないことがある』と自覚することが重要。一人で抱え込むのではなく『誰の力を借りたらいい?』と考え、『人の力を活用する力』を持ってほしい」など、木村先生から教職志望の学生に伝えられたメッセージの数々は熱いパワーにあふれていました。


講演会の締めくくりに、木村先生は「教職は『未来をつくる』仕事です。対話や問いかけを大切にして、子どもと『学びのパートナー』になろう!」と笑顔で語りかけ、最後に「『流れる水のごとく流れるのは いともたやすい 流れに逆らって動くのは 困難をきわめる』あなたはどちらを選びますか?」という問いを学生たちに贈られました。
「子どもたちのために」という信念を貫き、困難にも立ち向かって挑戦を重ね、子どもたち一人ひとりの笑顔を見守る木村先生。届けられたお言葉の一つひとつが、教員をめざす学生たちの背中を押す力強さやあたたかさに満ちていました。約90分の講演会は、「未来をつくる」教育のあり方や、教員という仕事のやりがいや楽しさについて、多くの示唆を与えてくれる貴重な機会となりました。












