追究

2026年02月18日

2025年度司書課程講演会「組織体における文書情報管理の考え方と問題解決の着眼点」

2025年12月18日(木)長久手キャンパス824教室

企業や官公庁などの組織において、なぜ情報管理が必要なのか。
情報管理の流れや目的を学び、新たな視点を得ました。

 本学の司書・学芸員課程委員会では、司書や学芸員に関心のある学生に、司書課程科目・学芸員課程科目の履修を促すため、イベントや講演会を定期的に開催しています。2025年12月18日(木)には、情報資産管理のスペシャリストであり、近畿大学非常勤講師を務める山西芳幸様をお招きし、ご講演いただきました。
 講演テーマは「組織体における文書情報管理の考え方と問題解決の着眼点」です。講演の冒頭では、文書情報管理に関連する検定について紹介があり、その後、情報技術の発展を振り返りながら、インターネットやクラウドコンピューティングの普及といった時代の変化に触れました。また、それに伴い、個人情報保護法、会社法、公文書管理法など、文書情報管理に関する法整備も進んできたことが説明されました。

 紙の文書管理がメインだった時代は、日々増え続ける膨大な紙文書を箱に入れて保存する必要がありました。これは、法律で保存期間が義務づけられているためです。しかし、保存期間が過ぎた紙文書を廃棄する仕組みが整っていない組織も多く、そのまま紙文書は物流倉庫の片隅などに積み上げられていました。そういったことにならないよう、文書の「発生→伝達→活用→保管→保存→廃棄」という一連の流れを管理する手法や仕組み作りが「記録情報管理」です。これは、紙文書に限らず、電子文書も同じだと山西様は言います。
 そもそも、紙や電子などの記録情報をなぜ管理する必要があるのでしょうか。その目的はコンプライアンス、セキュリティ、コンテンジェンシー(事業活動の継続性促進)、生産性向上の4つです。記録管理というとコンプライアンスやセキュリティに着目されがちですが、山西様が最も重視するのは生産性の向上です。人口減少社会においては、一人当たりの生産性を上げなければ組織は立ち行かなくなります。では、どのようにして記録情報管理を適正化、効率化させていくのか。本学ではこの記録情報管理について司書課程科目の「図書館情報資源特論」で学んでいます。

 仕事はピラミッド構造に例えると、4つの種類があります。売上につながる「バリューワーク」、新しい価値を生み出す「ナレッジワーク」、会議などで情報共有を行う「コミュニケーションワーク」、そして情報収集や文書作成を行う「ドキュメントワーク」です。統計によると、人は業務時間のうち約54%をドキュメントワークに費やしており、生産性向上に最も必要なナレッジワークには、わずか20%程度しか割けていないとされています。記録情報管理は、このドキュメントワークやコミュニケーションワークを効率化し、ナレッジワークやバリューワークの時間を創出することを目指しています。

 生成AIが台頭する現在は、「非構造化データ」といわれるテキストや画像、音声、動画などの記録情報を適切に管理することも問われています。これらのデータを生成AIに取り込んで活用し、新たな価値を生み出す取り組みは、すでに多くの企業がはじめています。そして、記録情報管理の仕組みを構築する際には、PDCAサイクルを回すことが重要であるといいます。うまく機能しない場合には見直しを行い、再度計画を立てて実行する。そうやって記録情報管理の仕組みを最適化することで、新しい価値を創造する組織体をつくることができるのです。
 最後に山西様は、「より良い成果を上げるためには、どこをどのように改善したらいいのかを常に考え、会社のやり方だから仕方がないと諦めるのではなく、自ら組織に提案していくことが大切です。そうした問題意識をもち、自分の仕事に創造的に取り組んでください」と学生たちにメッセージを送りました。