追究

2017年02月21日

創造表現学会主催 吉村萬壱氏講演会「小説を書くとはどういうことか」

創造表現学会主催 吉村萬壱氏講演会「小説を書くとはどういうことか」

平成28年12月8日(木) 長久手キャンパス 511教室

芥川賞作家・吉村氏が「書く」ことへの信念を語り、
小説家をめざす学生たちにアドバイスを送りました。

 2016年度にメディアプロデュース学部から名称変更した創造表現学部は、「言語」「メディア」「建築・インテリア」を追究する3専攻で構成されています。その一つである創作表現専攻は、「言語」に特化。文芸・文学、批評、演劇・芸能、マンガの4分野について専門的に学び、創造的な表現活動に必要とされる知識や表現技術を身につけます。第一線で活躍する作家や評論家などのプロフェッショナルが教壇に立ち、ゼミで直接指導にあたるほか、外部講師による講演会なども実施しています。12月8日(金)には、作家・吉村萬壱氏による講演会「小説を書くとはどういうことか」が長久手キャンパスで開催されました。
 2003年に『ハリガネムシ』で第129回芥川賞を受賞した吉村氏。独特な発想から描かれる世界観、破壊的な作風によって、人間の根源に迫る小説を生み出し続けています。講演会では「僕は大学卒業後、高校や特別支援学校で教員として働き、小説家としてデビューしたのは40歳のときです。以来、教員と作家の二足のわらじを履き、3年ほど前から専業作家になりました」と自己紹介し、デビュー当時やスランプに陥ったときのエピソード、小説を書くことへの思いなどを語りました。

創造表現学会主催 吉村萬壱氏講演会「小説を書くとはどういうことか」

創造表現学会主催 吉村萬壱氏講演会「小説を書くとはどういうことか」

 吉村氏が作家としての柱にしているのは、「本当のことを書く」こと。「私たちなぜこの世に生まれて来たのだろう? 人間とは何なのだろう? そうした疑問と向き合った、『本当のこと』が書かれた小説をつくりたい。その『本当のこと』が何なのかが難しいのですが、この世界でリアルタイムに起きている出来事のすべてを大切にしながら作品を書きたいと考え続けています」と吉村氏。文芸を学ぶ学生たちに向けて、「僕は子どもの頃から本が好きで、学生時代から自分で書くことも楽しんでいました。20歳の頃から毎日、日記を書き、今も続けています。そして大学を卒業して約20年後に作家デビューも果たしました。続ければ、何とかなるんです。ただ、小説家になりたいとしても、小説だけでは視野が狭くなってしまいます。卒業したら就職して社会人として働こう。生活の基盤を固めると小説を書き続けられるし、すべての経験が小説の題材にもなりますから」とアドバイスを送りました。

 今回の講演会では、吉村氏は穏やかな関西弁で語り、ユーモアを交えながら「小説を書くとはどういうことか」の答えを考えるヒントを伝えました。その一つひとつの言葉を受け止めた学生たちは、自身の『書く』ことへの思いを深め、仲間と共に表現力を高め合って創作の幅を広げていくことでしょう。