追究

2013年02月22日

第1回 ビジネス学部 インナーゼミナール大会

第1回 ビジネス学部 インナーゼミナール大会

ゼミの枠を越え、学生たちが互いの「違い」を知りながら、
より広い視点でビジネスを学び合う機会となりました。

 実社会で活きる幅広い知識・スキル、思考力、コミュニケーション能力など「ぶれないチカラ」を持つビジネスパーソンの育成が、ビジネス学部の大きな目標です。2年次から始まるゼミでは、経営、会計、情報、国際ビジネス、マーケティングなどの各専門領域を追究している教員のもと、学生たちが研究や実践を重ねながら互いに学び合い、「ぶれないチカラ」を養っています。そうしたゼミでの専門的な学修の枠組みを越え「知識と視野を広げること」「研究に対するモチベーションの向上」をめざし、複数のゼミで合同開催する「インナーゼミナール大会」が2月22日(金)におこなわれました。

 第1回目となった今大会に参加したのは、流通やマーケティングを専門とする大塚ゼミ、コーポレートファイナンスを専門とする三矢ゼミ、マーケティングを専門とする傅ゼミ。開会式会場の大教室にはスーツを身にまとった2、3年生が集まる中、学生たちが主体的に会の運営・進行役を務めていました。
開会の挨拶の中で大塚英揮先生が「この会の最大の目的は、"違い"を知ることです。異なるゼミの学生同士でひとつのテーマについて討論し、自分が専攻している分野とは別の視点、新たな知識を学び合いましょう」と激励。傅行驄先生も、「昨年度の大塚ゼミ・三矢ゼミの合同ゼミをベースとするこの大会に、傅ゼミとしても初挑戦します。ぜひ最高の努力を尽くし、貴重な学びを得てください」とメッセージを送りました。学生たちはいっそう表情が引き締められ、準備した資料の最終確認をおこない、分科会会場となる教室へ向かいました。

 今回のインナーゼミナール大会の研究テーマは「企業の比較」。各ゼミの2年生は3~6名のチームにわかれ、およそ半年間かけて段階的に進めていた企業研究、中間レジメや質問書・回答書の交換などをもとに、「ビール業界」「ソーシャルゲーム業界」「アパレル業界」それぞれの企業2社を多角的な視点で比較していきました。
3つの分科会が開かれ、まず両チームが自分たちの専攻分野の観点に基づき、企業比較・分析結果をプレゼンテーション。マーケティング戦略、製品戦略、流通戦略、主要事業、環境活動、大株主の状況、経営スタイルなど、同じ2社を両チームが異なる角度から比べることにより、その企業だけでなく業界全体の課題や社会の変化などに関する理解も互いに深まったようでした。

 続く討論会では、プレゼンテーションで共有した情報や知識をもとに、同業2社をさらに細かく比較・検討。どの分科会においても、学生たちが日頃からビジネス学部で鍛えている思考力や分析力、発言力などを発揮し、活発な議論を展開していました。そうした有意義なディスカッションを支えていたのが、会の運営・進行役「議長団」を務めた3年生の学生たち。両チームの意見のポイントを的確に掴んでホワイトボードにまとめ、論点を確認しながら、双方が納得する結論へと導いていきました。

第1分科会 三矢ゼミ、傅ゼミ

■比較企業:ビール業界「キリンビール」「アサヒビール」
20~30代のビール離れなど業界の課題を見据えながら、
両社がどのような戦略を立てていけばよいかを議論。

 ビール業界の大手2社、キリンビールとアサヒビールについて、三矢ゼミが財務の視点から成長性や収益性などを分析し、傅ゼミがマーケティングの視点から企業活動そのものを分析しました。両社の特色や強みなどの共通理解をもとに、若者をターゲットに絞った新たなアルコール飲料や高齢者にも好まれる健康志向のビールの開発、海外で販売するビールの味や価格設定などについて積極的に意見を交わし、経営者・消費者の両方の視点に立って経営戦略を立案していきました。

第2分科会 大塚ゼミ、三矢ゼミ

■比較企業:ソーシャルゲーム業界「グリー」「DeNA」
「優良企業」の判断基準を明確にした上で、
両社それぞれの課題改善・発展の取り組みを発案。

 携帯電話やスマートフォンなどで手軽に楽しめる「ソーシャルゲーム」を次々と打ち出すグリーとDeNA。よく似た両社の違いを、「どちらの方がより優良な企業か」という視点で詳細に分析しました。大塚ゼミはマーケティング目線、三矢ゼミはファイナンス目線で「優良企業」の判断基準を提示。その上で「グリーは海外でのソーシャルゲーム市場を広げてから新規事業に着手すべきでは」「DeNAは成長性を活かしてシェアを獲得するといい」といった案をまとめていました。

第3分科会 傅ゼミ、三矢ゼミ

■比較企業:アパレル業界「しまむら」「Honeys」
両社がどういった点で優れているのかを比較・分析し、
ファストファッションにおける企業経営について議論。

 しまむらとHoneys、若い女性を中心に多くの顧客の心を掴むファストファッションの人気ブランド2社を、傅ゼミはビジネスモデルや制度から、三矢ゼミはファイナンスから比較・分析。商品の仕分けや値札付けを中国でおこなうなど独自の流通システムを確立したしまむらは「収益性」に優れ、新たな商品の企画などに積極的に取り組み海外進出にも意欲的なHoneysは「成長性」に優れているという結論を導き、ファストファッションの将来性について理解を深めていました。

 長時間にわたった議論を通じて多くの気づきや視野の広がりを実感し、今後の学修や研究への意欲を高めていた学生たち。閉会式とともにおこなわれた「全体の統括」では、議長団の学生や教員3名からのコメントが寄せられ、より専門的、客観的な視点で自分たちの議論を振り返っていました。
閉会の挨拶として三矢幹根先生が「企業の価値を見るときは、今後どう発展していくか"未来"を考えることが重要です。そのためにも、関心の幅を広げてさまざまな情報やデータを収集し、分析してください。今回のインナーゼミナール大会が、皆さんのさらなる成長のきっかけになったら私たち教員もうれしく思います。来年はより多くのゼミの参加を募り、ビジネス学部全体で互いの力を高め合いましょう」と、学生たちの頑張りを称えながら次回への抱負を語りました。
切磋琢磨し合える仲間との絆を、ゼミを越えて強める機会にもなった、インナーゼミナール大会。ビジネスの専門性が深まっただけでなく、実社会やビジネスの現場で大切になる「"違い"を尊重し、理解し合う心」も大きく育まれ、「ぶれないチカラ」を持つビジネスパーソンへとまた一歩近づいたことでしょう。