躍動
2026年08月28日
DBEW Award 2026 受賞者インタビュー

vol.120

建築学部の学生たちがつくり上げた展覧会の内容をまとめた作品が、国際的なデザインコンペティションで佳作を受賞しました。
本学の建築学部では毎年、学部の3年生を対象とする「デザインワークショップ」を開講しています。日本を代表する建築家を招き、その建築家の作品や思想を反映した展覧会を、学生が協働して会場計画、施工、運営までおこなうというものです。
昨年度は、建築家の能作文徳さん、常山未央さんと連携し、TOTO株式会社が運営する「TOTOギャラリー・間」で開かれた展覧会「都市菌(きのこ) ―複数種の網目としての建築」を、学生たちが愛知巡回展として再構成しました。
その展覧会の内容をまとめたポートフォリオ作品が、国際的なデザインコンペティション「DBEW Award 2026」でHonorable Mention(佳作)を受賞しました。
「DBEW Award 2026」は、イタリアのADIデザインミュージアムと韓国の国民大学校が共同で主催。今回が第1回目となる、新しいデザインコンペティションです。「Design Beyond East and West(東西を超えたデザイン)」を掲げ、東洋と西洋の価値観が共存する持続可能な未来のデザインや美学を追求しています。対象となるのは、世界中の大学・大学院のデザイン専攻の学生、卒業生、および指導教員です。サステナビリティ(持続可能性)、文化的バランスと多様性、創造的な実験、グローバルなデザインリーダーシップなどを評価基準に審査されます。


デザインワークショップに参加した学生は50人。その中から、総合リーダーを務めた創造表現学部(現:建築学部) 建築・インテリアデザイン専攻 4年の棚橋美咲さん、現場で施工を主に担った山田陽人さん、グラフィックを担った松澤凜さんの3人が代表して展覧会内容をまとめあげ、作品として提出しました。
展覧会の内容は、化学的なものは極力使わず、自然に還るものを空間づくりの素材に使い、会場を構成。合板やビスを使わず、木の格子に藍と柿渋で染めた布をあしらい、数多くの模型と200枚のパネルが一堂に並ぶ展示空間をデザインしました。




受賞を受けて3人はイタリア・ミラノで4月21日に行われた授賞式に参加。英語でスピーチをしたり、受賞した海外の学生たちとの討論会にも参加したりと、貴重な経験を得ることができたようです。受賞の感想や、デザインワークショップから作品としてまとめあげるまでに苦労したこと、今回の経験を通して得た気づきや学びについて伺いました。

棚橋美咲さん
棚橋さんは、サスティナブルな素材で展覧会を作り上げたことについて、「デザインワークショップを経験する前は、見た目だけにフォーカスして素材のことまで考えられていなかったと思います。今回の取り組みを通して、サスティナブルな素材に注目して活用することで、既存の枠に捉われない、新たなデザインの可能性に気づけました」と話し、今後のデザインにつながる学びが得られたようです。また、作品としてまとめる上で特に注力した点は、「展覧会をつくり上げるまでの工程をしっかり見せたこと」。「素材の調達から仕上げまでは約半年かかりました。素材を提供してくださる地域の人とやりとりをしながら、予算・工程期間内に施工することはとても大変で、50人が連携できていないと達成できなかった。審査コメントで『協働性が見えたことが特に素晴らしい』と言っていただけて、とても嬉しかったです」と、リーダーとしての喜びも語りました。

山田陽人さん
山田さんは、サスティナブルな素材を使って施工したことで「地場産の建材の強みに気づけた」と言います。「昨今、建築業界では建材の高騰により、材料調達やコスト面で課題が生じています。今回、素材集めから経験したことで、地場産の素材を使うことで材料費が抑えられるだけでなく地域性を活かしたデザインにつながることを学べた点は大きかったです」と述べました。また、授賞式に参加した際の気づきとして、「AIの使い方」を挙げた山田さん。「受賞作品の中には、AIを活用して制作された作品も多く、審査員の方と議論が交わされました。使い方次第である一方、創造性という視点においてAIとどのように向き合うべきかを、改めて考えるきっかけになりました」と、今後のキャリアにも生かせる気づきが得られたようです。

松澤凜さん
松澤さんは、展覧会の内容をまとめて作品の形に落とし込むための、すべてのグラフィックを担当しました。「国際的なデザインコンペティションであるため、今までの授業課題などで作ったプレゼンテーションのような見せ方ではいけないと思いました。建築雑誌などを読み込んで、配置やレイアウトを参考にしながら、洗練された雰囲気を意識してプレゼン資料を作成しました。また、資料作成者として授賞式での英語のスピーチも担当しました。本番に向けた練習や、授賞式後の英語でのディスカッションを通して、英語力の必要性を実感。今後こうした機会に備えて、さらに学びを深めたいです」と、苦労から得られた学びを語りました。授賞式に参加した際の気づきには、「日本の伝統的素材の可能性」を挙げました。「木や竹など、日本の素材を生かしたものづくりは、海外でもアピールできる強みだと気づけました」と、海外に実際に足を運んだからこそ、日本の良さにも気づけたとのことです。
受賞作品は、2026年10月にソウルデザインウィークで開催される展示会への出展も予定されています。今回で得た学びが今後のキャリアに活きていくことが期待されます。











