高血圧の診断基準と降圧目標値
日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会は、2019年に「高血圧治療ガイドライン2019」を作成した。2014年の旧版と大きく異なるのは、家庭で測定された血圧値も診察室で測定した血圧値と並んで高血圧の診断基準としたことである。当然ながら、家庭で測定される血圧値は診察室内より低いという前提で作成されている。それによれば、正常血圧は115/75以下、高血圧症は135/85以上と、多くの方が考えているよりかなり低い。その理由は、種々の統計学的データが、誤解を恐れずに言えば、「血圧は低ければ低いほど良い」という結果を示しているからである。背景には、安全に副作用なく降圧できる多くの薬剤が開発されたことがある。自宅での血圧測定を積極的に進めて、高血圧が疑われた場合は、是非、医療機関への受診を躊躇しないでほしい。
(2022.1.31 記)