遺伝子レベルで実装される体内時計
前回は人間が身につけた不自然な習慣が体内時計に背いている、という話をした。食物の吸収や代謝機能の調節という観点では、日中(活動期)に消化吸収・物質合成などを行い、夜間(休息期)に脂肪合成を行うことが定められたプログラムである。だから、日中の食事摂取後には熱産生(エネルギーの消費)が大きくなり、夜間の食事摂取後にはそれが約半分になる、そして、その残余エネルギーは皮下脂肪として蓄積される。深夜のラーメンや湯上がりのアイスクリームをやめられない人がダイエットできないのは当然なのである。そして、この体内時計というのは遺伝子レベルで実装されている。つまり、習慣性などによってはその針を動かせないということを意味する。だから、「長年深夜に仕事することが続いて、体もそれに慣れている」というのは誤りで、人為的な日内リズムに慣れたように感じていても、実は体は悲鳴を上げ続けているのである。次回のコラムでも、もう少しこの話を続けよう。