成長

2019年03月26日

大学時代に得た相手を慮る(おもんぱかる)姿勢は、運転士として最も大切にしたいことのひとつ。

vol.55

心理学部 心理学科OG[2013年度卒業]

やりたいことは全部やろう。たくさんの人と出会ってみよう。
それが大学生の頃に掲げた目標。

 愛知淑徳大学の心理学部に入学するとき、掲げた目標がありました。それは「やりたいことは全部やろう」ということ。高校生まではスキーのクロスカントリーの選手として競技一色の生活だったので、大学では自分の経験や人間としての幅を広げたいと思ったのです。地元の手話サークル、他大学の盲導犬サークルに所属し、障がいのある方々や組織を運営する同世代の仲間と出会うことができました。アルバイトではスイミングスクールのコーチとして勤め、子どもたちと関わることもできました。

 幅広い年代、かつ、さまざまな個性を持つ方々と出会ってきた経験から、3年次からスタートするゼミは自然と「発達心理学」の分野に進むことに決めました。発達心理学と聞くと、子どもの成長をイメージするかもしれません。しかしそれだけではなく、発達心理学は人の一生を取り上げ、どのように能力を高め衰えていくのかを研究する分野です。子どもからお年寄り、さまざまな人と出会いたいという思いに一致し、坂田陽子先生のゼミで研究していくことを決めました。

大学時代に得た相手を慮る(おもんぱかる)姿勢は、運転士として最も大切にしたいことのひとつ。

仲間と友好な関係を築き、協力し合うことは
最高のパフォーマンスのための一歩。

 同学年のゼミの仲間は13人。その中で、ゼミ長を務めました。一人ひとり価値観や経験も違うので、話し合いをおこなうと少しずつ考え方や意見がずれてしまいます。しかし、それをNOと拒絶することなく、わだかまりを生むことなく、みんなが納得するように話を進めていくことを心がけました。そしてこの心がけはひいては「人の心を理解し、人の喜びに貢献する」という心理学の根幹に通ずると感じるようになりました。相手の発言の真意を掴まないと、思い込みから思わぬ誤解を生んでしまうということも知り、心理学の学びを通じて相手を理解しようと努力する姿勢を身につけられたと思います。

 愛知淑徳大学の心理学部で得た「相手を慮る姿勢」は、近畿日本鉄道株式会社の運転士として働く今でも役立っています。運転士は基本的に、車掌と二人一組のペアとなって、電車を運行します。お客様の乗降の際の安全確保も快適な車内を保つのも、運転士と車掌の連携がしっかりとなされていないと実現できません。強固な信頼関係を築くためには、円滑なコミュニケーション、スムーズな情報共有、互いを尊重する心構えなどが必要です。大学時代に学んだ「相手を慮る姿勢」の大切さを日々、痛感しています。

大学時代に得た相手を慮る(おもんぱかる)姿勢は、運転士として最も大切にしたいことのひとつ。

さまざまな個性と出会った経験を活かし、
すべてのお客様にとって快適な運行をめざしたい。

 「相手を慮る」とは、心のありようだけではありません。例えば、相手に誤解を与えない言い方をすることも、相手を慮ることの体現だと思います。もしかしたら乗り慣れていないお客様にはわかりづらいかもしれない。お年寄りには聞き取りづらいかもしれない。そうやって、いろんな人の立場になって物事を俯瞰的に検証する力を、今、最大限に発揮しています。
 私は「大学時代と同様に、これからもいろんな人と出会いたい」という思いで、鉄道会社への就職を決めました。愛知淑徳大学で学んだことを活かしながら、これからも次代を担う子どもたちから憧れを持ってもらえるよう、自らの仕事に誇りを持って、安全運転に努めたいと思います。