成長

2024年07月11日

患者さまへの還元をめざし、管理栄養士として研鑽を積み重ねる。

vol.69

健康医療科学部 健康栄養学科(現:食健康科学部 健康栄養学科)OG【2020年度卒業】 小川 麗さん 管理栄養士(名古屋大学医学部附属病院 栄養管理部) 愛知淑徳大学大学院健康栄養科学研究科 健康栄養科学専攻 修士課程1年

調理学を中心に学び、地域貢献や学会発表にも挑戦。

 高校時代から管理栄養士を志望していた私は、健康栄養学科で充実した4年間を過ごしました。進学先として愛知淑徳大学を選んだのは、学内にクリニックが併設され、実習施設も整備された環境のよさや、1年次から病院などでの見学実習に参加できることに、他大学にはない魅力を感じたからです。
 入学当時、健康栄養学科は新設されたばかりで、私たちの代が一期生。皆で学科のこれからを創るんだと意識を高くして、毎日の授業や実習に臨みました。2年次には、愛知淑徳大学健康相談室と連携して「親子食育教室」を実施。先生方のサポートのもと、小学生対象の調理実習や食育レクリエーションを学生主体でおこない、チームで目標を達成する力が鍛えられたと感じています。

 3年次からは、ゼミで調理学を専攻しました。2年次の専門科目「調理学実験」がきっかけで、調理のメカニズムへの関心が高まったのです。私が取り組んだ研究テーマは「小麦粉の揚げ調理」でした。小麦澱粉に焦点を当て、油脂中での焼成による構造変化について実験をおこない、その成果を論文にまとめました。そしてゼミの指導教員・菅野先生からアドバイスをいただき、日本食品科学工学会中部支部会で発表。学部生のうちから社会人の若手研究者や大学院生と同じ舞台に立つだけでなく、優秀賞という栄えある賞もいただくことができて、向学心や向上心が大いに刺激されました。

管理栄養士の専門性を活かし、医療の道へ。

 大学で修得した知識・技術を役立てて、健やかな食に貢献したいという思いから、卒業後、病院の管理栄養士の道へ。愛知医科大学病院で給食管理業務を中心に携わった後、名古屋大学医学部附属病院に就職し、3年目を迎えました。外来・入院患者さまへの栄養指導や栄養管理、栄養リスクの高い患者さまへの栄養介入をおこなうなど、日々の業務に励んでいます。さらに、管理栄養士が主体となって進める栄養カンファレンスや、チーム医療への参画の機会も増えています。昨年は褥瘡対策チームで多職種連携に取り組み、今年からはNST(Nutrition Support Team栄養サポートチーム)での活動にも力を注いでいきます。

 管理栄養士として医療の現場で働く中で、徐々に強くなっていったのが、臨床栄養学の専門性を深めたいという思いです。そんなとき、愛知淑徳大学大学院に健康栄養科学研究科が開設されると知り、在学中お世話になった先生方に相談しました。仕事と学修・研究の両立ができるよう柔軟にサポートしてくださると聞き、さらに職場の理解や応援もあって、進学を決意。地域医療の現場である愛知淑徳大学クリニックとの連携が図りやすい環境も、急性期病院で働く私にとってプラスになると考えました。

臨床の現場で働きながら、広い視野で学修・研究に尽力。

 これから健康栄養科学研究科では、職場で集約したデータを分析し、腹膜透析の患者さまに対する栄養介入の意義について研究したいと考えています。また、疾患に関する専門知識も積極的に身につけて、診療ガイドラインを鵜呑みにせず、批判的吟味ができる力を鍛えたいと思います。多様な業務を経験してきた管理栄養士としての気づきや疑問などを踏まえ、広い視野や知的好奇心、探究心を持って学修・研究に励みます。
 今後、研究科での経験を、栄養指導をはじめ日々の業務に活かし、栄養の専門職として頼られる存在になれたらと思っています。そして何より、研鑽の成果を患者さまに還元していくことが、一番の目標です。患者さま一人ひとりの生活の質を維持・向上することに、よりしっかりと貢献したいと考えています。