成長

2024年07月25日

人間情報学部で学んだエンジニアリングの技術とコミュニケーションを活用し、日本IBMのプロジェクトマネージャーとして活躍

vol.70

人間情報学部 人間情報学科 OB[2017年度卒] 四元 秀さん 日本アイ・ビー・エム株式会社 コンサルティング事業本部 金融サービス事業部

エンジニアへのイメージが変わった、大学での学び

 私は小さいときからPCや情報分野に興味があり、小学生の頃から図書館で本を借りてプログラミングなどを独学で勉強していました。また、高校の文理選択では理系を選んだので、大学は工学部に行こうかなと漠然と考えていたのですが、愛知淑徳大学のオープンキャンパスに参加した際に、利用者の立場にたったものづくりといった人間工学の考え方や利用者の感情を数値化する心理統計学に魅力を感じたので、人間情報学部を選びました。
 入学当初に受講したC言語やJavaなどを学ぶ授業がとてもわかりやすく、元々ある程度プログラミング言語を学んでいた私にとっても、基礎の振り返りとして重宝しました。また、2年次以降はソフトウェア開発における考え方やニーズに対応したUI(ユーザーインタフェース)のつくり方などを学び、それらのスキルは現在の仕事でも存分に活用しています。
 大学に入る前は、プログラミングやエンジニアリングは一人で黙々と取り組むものだと思っていました。しかし、授業で先生から「システムエンジニアの仕事を一人で進めることはほとんどない」という話を聞いたことで、エンジニアに対するイメージが変わりました。実際に授業やゼミで情報や目的を仲間と共有し、役割を分担して課題に挑戦することがあり、メンバー間で連携することの重要性を学んだのですが、マネジメントを担当している現在、その重要性をいっそう実感しています。また、大学時代は活発的で個性が豊かな友人が多かったですが、自分にはない視点や価値観を持っていたので、考えの幅が広がりました。主体的にコミュニケーションを図ったことで、エンジニアとしての仕事を効率的に進めるだけでなく、自分の成長にもつながりました。

メンバーの能力を引き出すカギは、適材適所の環境づくり

 今の会社は3社目であり、新卒で入社した株式会社NTTデータ中国では銀行の情報系システムに関する仕事に取り組み、2社目である株式会社日立製作所では銀行の勘定系システムに関する仕事に取り組んでいました。その中でシステムエンジニアとしてシステム開発のベースとなる考え方を学び、同時に金融システムが社会や経済にもたらす影響の大きさを実感しました。プレッシャーのかかる業務ですが、プロジェクトをやり遂げた際は達成感に満たされ、やりがいのある仕事だと感じたため、「金融システムの開発」が私のキャリアにおける主軸となりました。
 私は現在、業務をスムーズに進められるようにお客様と打ち合わせを重ねたり、システムエンジニアのチームメンバーに役割を割り当てたりする、プロジェクトマネージャーとして働いています。プロジェクトの進行管理を担う役割であるため、意識しなければならないことは多々ありますが、チームをまとめる立場として「一人ひとりに向き合う」ことが最も大切だと考えています。プロジェクトに参加するメンバーは人によって能力や考え方はさまざまであり、適材適所の環境でなければ、パフォーマンスを最大限に発揮することは難しいでしょう。そのため、メンバーの気持ちや価値観などを尊重し、働きやすい雰囲気を作ることを意識してコミュニケーションを取るようにしています。これはチームメンバーに対してだけでなくお客様に対しても重要であり、論理性を重視しながらも相手の性格や理解度に合わせてコミュニケーションを取ることで、お客様の信頼を得やすくなります。

 マネジメントはプロジェクトの核を担う責任のある仕事であり、業務をこなすたびに改善点が見つかりますが、その分次回のプロジェクトの最適化、つまり私自身の成長につながります。今後はより大規模なプロジェクトに携わり、マネージャーとしての高みを目指したいと考えています。

エンジニアリングの仕事では、技術だけでなくコミュニケーション能力も不可欠

 金融システムの開発に携わるようになって感じるのは、システムエンジニアは技術だけでなくコミュニケーション能力が不可欠だということです。少々極端な話かもしれませんが、ここ数年、生成AI技術はめざましい成長を遂げており、プログラミング自体は人間が直接つくるのではなく生成AIでもできてしまうのです。では、なぜ人間が必要なのかというと、お客様の課題をお客様と共に考え解決するためです。システムを開発する仕事では、お客様から要望や悩みを聞いたり、プロジェクトの方針を決めてメンバーと共有したり、内容についてすり合わせをおこなったりと、人と人とのコミュニケーションがなければ成立しない要素が多くあります。これは金融業界に限った話ではないため、どのような業界においてもエンジニアの現場ではコミュニケーションが求められるでしょう。
 そのため、今の学生さんにはもっといろんな人と交流してほしいなと思っています。仕事内容にもよりますが、就職すると接する人の業界や考え方が偏ってしまうケースが多いです。しかし、大学ならいろいろな業界を志望する人が集まっていて、各分野のプロである先生方とも話ができます。さらに学生なら多少失敗しても取り返しがつきますし、私自身、学生時代の友人とは今でも悩み相談ができる良い関係性を築いています。積極的にさまざまな人と関わるようにして、コミュニケーション能力を磨いてもらうことを期待しています。