成長

2024年04月16日

管理栄養士として向上し続け、健康や笑顔を支えたい。

vol.68

健康医療科学部 健康栄養学科(現:食健康科学部 健康栄養学科)OB【2021年度卒業】 榊原 慎也さん 管理栄養士(名古屋大学医学部附属病院 栄養管理部)

食と健康について専門性を深めた4年間。

 管理栄養士の国家資格を取得し、名古屋大学医学部附属病院 栄養管理部で働く自分にとって、原点といえるのが、愛知淑徳大学での4年間です。将来を見据えて専門的な知識を身につけたいと健康栄養学科に入学し、日々の講義や実習に積極的に取り組みました。食と健康について学ぶうちに、「食を通じて人々の健康の手助けをおこないたい」という志が芽生え、学業に一層力を注いでいきました。
 特に印象に残っている授業は「栄養教育論実習Ⅰ」です。食育のグループワークとして、小学1年生を対象とした指導案や媒体・教材を作成し、模擬授業を実施しました。仲間と考案したテーマは「このやさいってどこをたべるの?」です。健康的な食事に関する正論を伝えるだけでは、子どもたちには響きません。そこで、劇やクイズなどを取り入れ、食に興味を持ってもらうための工夫を凝らしました。この授業を通して、伝えることの難しさや、対象者目線の栄養教育・栄養指導について考える大切さを学ぶことができました。

 こうした学びを積み重ねて、適応力が養われたと感じます。健康栄養学科の講義や実習では、さまざまな年代の人を対象とした食育や栄養指導を考案したり、献立を作成したり、実践の機会が数多くありました。年齢や疾患などに応じて適したエネルギーや栄養素量を考慮し、考え方や伝え方などを柔軟に変えていく力は、現在の仕事にも活かされていると実感しています。

充実した実習やゼミ活動で、進みたい道が明確に。

 医療分野に進むきっかけになったのは、1年次の「早期体験学習」でした。愛知淑徳大学クリニックを見学した際、多職種連携の現場や、患者さまの生活に寄り添った食事指導をおこなう管理栄養士の姿を目の当たりにして、心が動かされました。「さまざまな疾患に対応し、医療を通じて人を支える管理栄養士になりたい」と、自分のめざす管理栄養士像が明確になったのです。
 さらに、3年次にその目標がより具体的になりました。「臨地実習」では、2か所の総合病院へ。栄養指導や回診などを見学させていただき、患者さま一人ひとりの言葉に耳を傾けて信頼関係を築き、個々の課題や解決策を見出すことの重要性を学びました。
 また、所属していた榎ゼミでは、名古屋大学医学部附属病院との連携プロジェクトにチャレンジ。糖尿病の予防・改善をめざしたヘルシーメニューの提案に取り組みました。疾患について学び直すとともに、栄養管理部の管理栄養士の方々や院内レストランの調理師の方々からアドバイスをいただきながら、栄養価や塩分量はもちろん美味しさや彩りにもこだわって、患者さまに喜んでいただけるメニューを追求しました。  こうした経験を経て、臨床栄養への興味が高まり、「疾患と栄養を結びつけて患者さまそれぞれに合ったサポートができる管理栄養士」を志すようになりました。

■榊原さんが学生時代におこなった名古屋大学医学部附属病院との連携プロジェクト
健康栄養学科 榎ゼミ×名古屋大学医学部附属病院「世界糖尿病デー」メニュー考案 >

臨床栄養を学び続けて、医療に貢献していきたい。

 就職した名古屋大学医学部附属病院は、特にさまざまな疾患や幅広い年代層の患者さまが来院・入院され、食と栄養の専門職としてより高度な知識やスキルが求められていると感じます。
 名古屋大学医学部附属病院の管理栄養士として現在は、入院・外来の患者さまの栄養指導、病棟での栄養管理などをおこなっています。食と健康に関する悩みを解決へと導く存在でありたいと願い、患者さまの思いを尊重した栄養指導を大切にしています。最近では、外来化学療法室にてがんの患者さまを対象にした栄養指導にも携わるなど、担当する業務の幅が広がり、何事にも積極的な姿勢で取り組もうと決意を新たにしています。
 仕事のやりがいや喜びを感じるのは、患者さまが日々の食事に前向きになる姿が見られる瞬間です。「相談に来てよかった」「栄養や食事の改善は難しいと思っていたけど、これなら私にもできそう」といった言葉をかけてくださったとき、継続して栄養指導に来られた患者さまの検査結果や食事内容が改善されたとき、よりよい食生活を送る力に少しでもなれたのではと嬉しく感じています。

 今後、さまざまな学会や協会の認定資格を取得し、臨床栄養についてさらに深い知識を修得して、多くの患者さまの食事や栄養管理を支えていきたいと考えています。愛知淑徳大学で学ぶ後輩の皆さんも、何事にも全力で取り組み、学びや気づきの一つひとつを糧にしてください。