成長

2013年03月20日

「学びの喜び」を、生徒たちへ伝えたい。

vol.06

文学部 英文学科 OG

中学教諭を目指し、愛知淑徳大学へ編入学

愛知淑徳大学の中では、いわゆる「編入組」だった私。一度は教員資格二種を取得して愛知県内の短大を卒業したものの、どうしても英語教員になりたくて、教員採用試験に有利な一種免許を取るために愛知淑徳大学の3年次へ編入学しました。編入学にあたって一番不安だったのは、友人ができるかどうか。しかし、いざ入学してみると思っていたよりもずっと多くの人たちが一種免許の取得を目指しており、2年間という短い間でも同じ目標に向かう仲間同士で支えあうことができました。

そうまでして私を「英語教員」という夢に駆り立てていたのは、中学時代の恩師の影響です。中学2年、3年で教わった英語の先生は、信州大学を卒業したばかりの新卒の女性教員。長い髪をいつもおさげにした、まるで生徒のような見かけのおもしろくて真面目な方でした。「授業を楽しくするために、いろいろな工夫をしてくださっているんだなあ」と、当時14~15歳だったわたしにも感じられたほど、熱意と創意にあふれた授業をなさられ、自然とこちらも「頑張ろう」という気分にさせられました。女子バレーの部活動では副顧問というお立場でもお世話になりましたが、未経験のバレーボールに精一杯取り組まれておられ、毎朝生徒と一緒になって練習をしてくださっていたことが今でも思い出されます。

「あの方のように生きたい!」という強い想いが実り、故郷の長野で教職に就いてはや7年。現在は、英語の授業をより楽しいものにし、より確かな学力をつけるためにどうしたらいいかを日々の実践の中で考えているところです。教員という職業は日々が分刻みで慌ただしい仕事。朝早くに出勤し、職員朝会、朝の学活、給食指導、ノートや日記のチェック、テスト作成、部活指導、下校指導、残務整理......と、6時限の授業以外にもやるべきことが山積みです。それでもこの仕事をすばらしいと感じられるのは、人が心も体も大きく成長する時期に関わることができるから。わたしの生き方を決めてくれた中学時代の恩師のように、わたしも何らかの形で生徒の成長に関わることができるのなら、とても幸せです。

教員という職業の難しさ、すばらしさ。

教員という仕事のすばらしさは、同時に、難しさでもあるように思います。教員の発する言葉ひとつ、行動ひとつが、いつどのような場面で子どもたちに影響するのか分かりません。こちらが思ってもみないところで子どもたちは敏感にそれをキャッチし、色々な意味で良くも悪くも「学習」をしていきます。

だからこそわたしは、子どもたちよりも「先に生まれた者」という自覚を持って、人として何をどのように考え、人にどう接していくのかを、責任を持って考え、行動していかねばならないのだと思います。今の自分が確実にそれを行えているのかというと、なかなか難しいところなのですけれど(苦笑)。そして学校には、本当にいろいろな子どもがいます。集団としてだけではなく、一人の人間として彼らの成長にどう関わっていくか。これもまた、教員という仕事のすばらしい部分であり、難しいところです。

つらい・辞めたい、と思ったことは、本当に何度もありました。それでも続けてこられたのは、すぐに結果は出なくても『先生でよかった』とか、『高校でも先生の授業を受けたいよ』などと言ってくれるほんの一言が、本当に嬉しく感じられたからです。短い中学生活の中で、少しでも多くの生徒が"よかった""楽しかった"と思える瞬間を作れれば、それでいい。これはもちろん、厳しい指導の結果の中にもあるものだと思っています。

英語教育の計画立案に、大学時代の経験を生かす。

 中川中学校が位置する中川村は、長野県の飯田市と伊那市にはさまれた農村地帯。人口約5000人、中央アルプスと南アルプスの見える自然豊かなところです。中川中学校の生徒は全校230人あまり。小さな学校ですが部活動がとても活発で、何事も精一杯取り組む今どき珍しいくらいのまじめで元気のいい生徒ばかりです。

 英語教育にも特色があり、1年生は日本人教師2人体制で基礎をしっかりとフォロー。2・3年生になると3コースに分かれ、少人数での学習を行っています。どのクラス・コースにも週1~2回はネイティブの外国人教員が入り、生の英語をききながら学習します。英語教員は総勢3名ですが、その中でわたしは英語科の主任として、主にコース編成を担当したり年間計画を立てるなど、責任ある仕事を任されています。

 こうしたプログラムの作成には、大学在学中に教職課程で学んだことがたくさん生きています。例えば、松本青也先生の英語科教授法の授業は、肝心な部分を的確に押さえながらもユーモアのある授業展開で、授業計画の立案に大変役立ちました。松本先生以外にも、ゼミの樗木(おてき)先生や教職の先生方はどなたも熱心な方ばかり。ご自身の経験を通して、実際の教育現場に役立つ生の情報をたくさん教えていただきました。

愛知淑徳大学のすばらしい教授陣と施設の中で学べることは、無限大だと思います。自分自身が本当に願い、学びたいことややりたいことをはっきりさせていれば、それを支えてくれる環境は抜群。後輩の皆さんもどうか、たくさんの夢や希望を持ち、学ぶ楽しさを存分に味わっていただきたいと思います。

2006年3月 取材