成長

2013年03月20日

お客様に信頼される、金融のプロをめざして。

vol.09

現代社会学部 現代社会学科 国際社会コース OG

お客さまの人生設計に役立つ情報を提供するやりがいある仕事。

高校生のみなさんは、銀行で働くと聞いてどんなことをイメージしますか?おそらく、お金をお預かりしたり、計算したりといったことではないでしょうか。もちろんそれも大切な業務ですが、銀行の仕事は、実際にはもっと幅広いものです。カウンターでお客さまに応対するおなじみの窓口業務をはじめ、投資信託や住宅ローンなどの運用相談業務、企業を相手にする法人業務など、数えあげたらきりがないほどいろいろな仕事があります。そのため、働きはじめてから自分に向いていないなとか、新しいことにチャレンジしたいなと思ったら、銀行の中で配置転換することもできると思います。銀行はひとつの仕事にとらわれることなく自分をどんどんステップアップさせられる、とても魅力的なステージなんですよ。

わたしはそんな幅広い銀行業務の中で、資産運用に関する相談業務を担当しています。この業務は、お客さまからいろいろなお話をお聞きし、お客さまの資産づくりに役立つ情報を提供する仕事です。つまり、お客さまのライフプランに応じたマネープランを考えることが主な業務です。その手段はみなさんにとってもお馴染みの円預金から、外貨預金、債券、投資信託、個人年金保険など実にさまざまで、お客さまのニーズも一人ひとり違いますから、毎回オーダーメイドで洋服を作るようなものです。しかも、すべてのお客さまが要望をはっきり持っていらっしゃるわけではなく、「どうしたら良いのだろう」という漠然とした思いを抱きながら、相談に来られるケースも少なくありません。言葉にならない真意を汲み取るのはすごく難しいことですし、お客さまの大切なお金を扱うため責任も重大ですが、だからこそやりがいも大きいのでしょうね。

石の上にかじりついて3年。仕事が面白くなったのはそのころから。

 お金の専門家としてお客さまのニーズに応えていくためには、高度な専門知識が不可欠です。そのため銀行では、知識や能力を養うための研修や試験もたくさんあります。特に1年目は、ビジネスマナーや接遇に関する新人教育に加えて、損害保険募集人資格、生命保険一般資格、証券外務員資格などの銀行業務に必要な資格試験が目白押し。学生のときよりも机に向かっていたんじゃないかと思うくらい、勉強漬けで大変でした(苦笑)。そのころは、現場の実務においても失敗ばかり。お客さまから「何をもたもたしているの!」とこっぴどく叱られたことも一度や二度ではなかったですね。でも、それと同時に、"がんばろう"と思うことができたのも、お客さまの存在があったからでした。「ありがとう」「お世話になりました」というさりげない言葉に支えられてきました。

また、わたしは、大学時代に結婚式場でのアルバイトを4年間通して続け、式場以外にもコーヒーショップやお菓子店などいろいろなところでアルバイトをしました。その経験から、継続することの大切さを知ったことも、厳しさを乗り越える原動力になりましたね。接客のアルバイトを通して、"人と触れ合う仕事が好き"な自分に気づかされたことも大きかったです。銀行でもそうした自分らしさを出していきたいと思っていたので、辛いことや苦しいことがあるたびに、その初心を思い返して奮起しました。お客さまに喜んでいただけるサービスが提供できるようになるまで、中途半端なところで諦めたくないという気持ちが強かったですね。仕事の面白みがわかってきたのは、3年目を過ぎたあたりから。石の上にも3年とはよく言ったもので、ようやくこのころから銀行業務全体の流れが見えるようになり、お金の専門家としての知識も付いてきました。ファイナンシャルプランナーの資格を取ったのもこのころです。自分から積極的にスキルアップにチャレンジしたことで、仕事の幅も楽しさも一段と広がりましたね。

人と人、国と国とのつながりの大切さを知ったことが自分の核に。

 普段から心掛けていることは、興味のアンテナをできるだけ高く広くすることです。テレビや新聞のニュースはもとより、電車の中で乗客の方々が話されていることも、家族との会話も、旅先で見たもの聞いたものも、すべてが自分の大切な成長源になるからです。それに、世の中で起きているさまざまな出来事って、一見関係ないように見えても、実は密接にリンクしていたり、強く影響しあっていたりしますよね。広い視野でいろいろな情報を吸収することで、それまで自分の中で点と点だった事柄が線でつながっていくのが面白くて仕方ないですね。

 こうした視線の置き方は、学生時代に教わったことです。現代社会学部の国際社会コースに在籍していたわたしは、西尾先生のゼミで中国・韓国・台湾など近隣諸国との外交問題について学びました。台湾の大学を訪問し、現地の学生たちと交流を深めるなど、さまざまな学びを通して実感したのは、経済にしろ、歴史にしろ、日本だけで成り立っているものは何ひとつなく、他の国があってこその日本だということ。人と人、地域と地域、国と国とのつながりの大切さを知ったことは、社会に出てからも揺るぎない自分の核になっています。今後の目標は、もっと人の役に立てる人になること。仕事ではもちろんのこと、どんなにささやかなことでもいいので、広く社会や地域に貢献していきたいですね。あとはやっぱり、銀行の仕事をこれからも続けていきたいです。仕事を続けることが自分らしさを作っていくことだと思っているので、お客さまに育てられながら、自分自身をさらに成長させていきたいですね。

2007年9月 取材