成長

2013年03月20日

人の役に立ちたい。その一心で、社会貢献の仕事に全力を注いでいます。

vol.19

医療福祉学部 福祉貢献学科 OB

相手の心に寄り添って、共に困難を乗り越える

 生活に困っている市民の方々に対して必要な保護をおこない、健やかな生活の保障や自立の手助けをする。それが、社会福祉士として福祉保健部 生活福祉課で働く私の仕事です。主な仕事内容は、生活保護を受けているご家庭への訪問。毎月30~40軒ほどのお宅に伺い、暮らしの様子を実際に目で確認しながら、困っていることや不安に思っていることなど現在の状況をじっくりとお聞きします。その中で生活が困窮する原因を知り、各ご家庭が可能な限り自分たちの力で解決していけるよう、アドバイスや役立つ情報の提供などをおこないます。さらに毎朝、課内で会議を開いて各ご家庭の課題を共有し、改善策を話し合って、自立して暮らしていける道筋を職員が一丸となって探っていきます。
生活保護を必要としている方々の相談に応じるときに大切なのは、相手の心に寄り添うこと。たとえば職を失ってしまった方には求人情報を提供し、その求人に応募する意志や希望をご自身がしっかり持てるよう親身に話します。それぞれのご家庭が置かれている状況やご家族の思い、価値観はもちろん異なりますから、「こうすればいい」という明確な答えはなく、何が最善の方法なのか、深く思い悩むこともあります。
こうした仕事の中で原動力となるのが、担当するご家族の方々からいただく「ありがとう」の言葉です。前に進もうとする皆さんの笑顔や、辛い状況から逃げず自立を果たす姿を見るたびに、大きな喜びやこの仕事の意義を感じ、少しでも力になりたい!と気持ちがより奮い立ちます。


社会福祉士としての自分を支える、大学での学び


 もうひとつ、仕事の底力になっているのが、「市役所で働く社会福祉士になり、多くの人の支えになりたい」という大学時代に抱いた初志です。在学中、特別養護老人ホームや福祉事務所での学外実習、集団心理学に関するゼミでの研究などに力を注ぎ、「社会貢献」を仕事にしたいと考えるようになりました。そして進路を具体的に考えたとき、ゼミの西和久先生やキャリアセンターの方々がアドバイスをくださったおかげで、自分の可能性を狭めずに就職先を決めることができたと思います。
また、在学中に身につけた福祉の専門知識やスキルの中で特に仕事に役立っているのが、対人援助技術です。「相手に共感、肯定しながら話を聞く」「"こうしなさい"という命令ではなく、"こうするとこんな有益がありますよ"と相手に納得してもらう話し方を心がける」など、人の心に寄り添うためのコミュニケーションスキルをゼミや学外実習で実践的に学びました。生活保護を必要とする方の思いを受け止める上で欠かすことのできないスキルだと実感しています。
入庁して4年目を迎え、より多くの市民の方々の力になれるよう、さまざまな力を身につけたいとさらに強く感じるようになりました。最近は、ブラジルなど外国の方々が多く暮らす豊田市の職員として、ポルトガル語を習得しようと同僚たちと勉強会を開いています。通訳の方を介さずに思いを直接理解することができたら、よりよい支援につながるでしょう。
積み重ねた努力が、誰かの力になる。そう考えるからこそ、日々、仕事に打ち込むことができます。今後も、市民の方々の笑顔のために!という目標に向かって、全力を尽くしたいと思います。

2012年1月 取材