成長

2015年04月13日

アジアの子どもたちのチャレンジを、全力で応援し続けたい。

vol.36

文学部 英文学科 OG[1999年度卒]

チャレンジを重ね、自分の世界を広げた4年間。

 高校生の頃から、国際公務員など世界で働くことに興味を持っていました。海外に一度も行ったことがなかったからこそ、広い世界に飛び出したい!という思いが募っていったのです。
 英文学科に進学後、言語文化に興味を持ち、英語教員を志望。2年次の夏には約1カ月間、イギリスへ留学しました。初めての海外で過ごす日々は、刺激に満ちていました。現地の語学学校に通い、仲良くなったのはスペインやトルコなどさまざまな国の留学生たち。英語を使って思いを伝え合うことの楽しさを実感するとともに、習慣や価値観などの多様性を肌で感じ、視野が一気に広がりました。

 さらに3年次には、国際交流センターの制度を活用し、アメリカのインターンシッププログラムに参加しました。インターン先だったワシントンD.C.のChildren’s Defense Fundは、子どもの権利擁護に関する活動をおこなっていたNPO事務所。ハーバード大学、コロンビア大学、ジョージタウン大学など全米の大学からインターン生が集まっていました。その中で、拙い英語しか話せなかった私はファイル整理などの事務仕事しかできず、挫折感や焦りを感じていました。そんな私の支えになったのは、ホストファミリー。メリーランド州立学校の英語教育の現場を見学する機会をつくってくださるなど、新たな一歩を踏み出す後押しをしてくださいました。「自分が行動しなくては、何も始まらない」。そう考え、向上心がいっそう高まったアメリカでの約1カ月間は、人生の大きな転機にもなったと思います。

国内外で教員として働き、アメリカの大学院へ。

 愛知淑徳大学での4年間を振り返ると、とても濃密な毎日でした。海外留学などの他にも、入学当初からチアリーディング部の立ち上げに仲間と共に燃え、さらに、ゼミでの比較文化の研究、長野オリンピックのボランティア活動に励むなど、何事にも全力を注ぎました。一つひとつの経験で培ったチャレンジ精神は、今も私を動かし続けています。
 大学卒業後、ゼミの松本青也先生からチャンスをいただき、約1年間は愛知淑徳中学校・高等学校の姉妹校であるオーストラリアのセントキャサリンズ校へ。日本語教師として働きました。帰国後は英語教員の道に進もうと考え、愛知県の教員採用試験に挑戦。合格を掴み、教壇に立ってからはいろんな個性を持つ生徒たちと向き合い、彼らの成長を支えようと努めました。そんな毎日の中で私自身もより成長したいと意欲が高まり、英語教員となって3年後、アメリカの大学院への進学を決意。再び、ワシントンD.C.での暮らしが始まりました。大学院では国際教育や英語科教授法を学び、紛争後の国でどんな教育をおこなえばいいかなどを仲間とディスカッション。グローバルな視点から「教育」を深めていきました。

タイで障がい児の教育支援に取り組み、現地リーダーとして挑み続ける。

 そして大学院修了が近づく2007年春、新たなチャンスをいただきました。在学中にお世話になった榎田勝利先生が、アジア車いす交流センター(WAFCA)のタイ事務局・WAFCAT(Wheelchairs and Friendship Center of Asia Thailand)で働く現地スタッフを探していたのです。WAFCAは、車いすや奨学金の寄付を通じて、アジアに暮らす障がい児の自立を支える団体。その活動に、私がこれまでに学び、経験したことのすべてを役立てていきたいと考え、修了とともにアメリカからタイへと飛び立ちました。
 WAFCAはもともと、株式会社デンソーの創立50周年記念事業として設立されたNPO法人です。デンソーが初めて海外生産拠点を設けたタイを起点に、車いすの普及を中心とした障がい児の自立を支援し、ASEAN諸国でバリアフリー社会を実現できるよう活動を草の根的に広げています。

 私が最初に取り組んだのは、障がい児教育支援プログラムのコーディネーター。奨学金のマッチング、バリアフリートイレの建設に際した現地調査などに奔走しました。2009年からはWAFCATの事務局長となり、タイ人のスタッフ、WAFCAのスタッフ、デンソーの方々、さまざまな人と力を合わせ、一人でも多くの子どもたちをサポートできるよう全力を注いでいます。
 自由に移動できることは、自立の第一歩。そこでまず、肢体不自由の子どもたちに必要なのが、車いすなのです。車いすは消耗品ですし、フィットする形状には個人差があるため、提供できる車いすの数はまだまだニーズに追いついていません。友達と一緒に学校に通い、知識やスキルを身につけて、社会での自立の道を拓く。そうした子どもたち一人ひとりの可能性、未来を広げたいと願い、アジア各国にもWAFCAの活動を広げていけるよう挑み続けます。