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2018年08月03日

第6期連続講座「2020年東京オリンピックに向けて! ―ジェンダーの視点で見るスポーツ」 第2回「マスメディアを理解する~スポーツ報道を考えるために」

第6期連続講座「2020年東京オリンピックに向けて! ―ジェンダーの視点で見るスポーツ」 第2回「マスメディアを理解する~スポーツ報道を考えるために」

2018年6月22日(金) 長久手キャンパス8号棟824教室

マスメディアへの理解を深め、
スポーツ報道におけるジェンダーについて学びました。

 本学のジェンダー・女性学研究所では、今年の6月から7月にかけて第6期連続講座「2020年東京オリンピックに向けて!―ジェンダーの視点で見るスポーツ」を開催。6月22日(金)に開催した、第2回講演では、東京大学大学院情報学環教授 林香里先生にご登壇いただきました。ロイター通信の記者としてご活躍された後、現在は研究者としてメディア研究に従事されている林先生は「マスメディアを理解する~スポーツ報道を考えるために」と題し、「スポーツ報道におけるジェンダー」について、放送局や新聞社などニュースをつくる現場の実態を紐解きながら解説していきました。

第6期連続講座「2020年東京オリンピックに向けて! ―ジェンダーの視点で見るスポーツ」 第2回「マスメディアを理解する~スポーツ報道を考えるために」

第6期連続講座「2020年東京オリンピックに向けて! ―ジェンダーの視点で見るスポーツ」 第2回「マスメディアを理解する~スポーツ報道を考えるために」

 まず林先生は、放送局や新聞社などマスコミ業界で働く人々のジェンダーについて、歴史とともに解説。1964年の東京オリンピックまでは女性の新聞記者がいなかったことを取り上げ、女性が報道現場でマイノリティな存在であったことを語りました。さらに、放送局や番組制作会社で働く社員の男女比、賃金差をグラフで示し、現在も男性優位な状況が続いていると語りました。また、私たちが普段目にしているニュースにおけるジェンダーについても言及。最近のスポーツ報道を例に、女性アスリートより男性アスリートの記事量の方が多いことを紹介しました。このような現状に対して、林先生は「ニュースは作り手の価値観に影響されると思いがちですが、実は受け手である視聴者の思考も大きく関係しています。なぜなら、ニュースは視聴者の好みを意識して作られているからです。テレビや新聞は社会の写し鏡。報道における問題は社会全体の問題であると理解した上で、一人ひとりが向き合ってください」と、ニュースを主体的に考え、意見を発信することの重要性を語りました。

第6期連続講座「2020年東京オリンピックに向けて! ―ジェンダーの視点で見るスポーツ」 第2回「マスメディアを理解する~スポーツ報道を考えるために」

第6期連続講座「2020年東京オリンピックに向けて! ―ジェンダーの視点で見るスポーツ」 第2回「マスメディアを理解する~スポーツ報道を考えるために」

 講演後は、コメンテーターとして参加した本学の非常勤講師・藤井誠二先生との対談形式で進められました。どのメディアも同じニュースばかり報道している現状について疑問を呈し、視聴者がいかにメディアリテラシーを養っていくか語り合いました。また、会場から寄せられた「放送局に私たちが意見を伝えたところで、何も変わらないのでは?」という問いかけに対し、林先生は「視聴者が意見を発しないと、メディアは変わりません。まずは関心がある報道について考え、話し合うことが大切です」と力強く語りました。私たちの身の回りのニュースと社会意識の関係性について学んだ今回の講演会。報道内容を見極め、自ら考える力は、今後学生たちの研究活動にも大いに活かされていくことでしょう。