交流

2025年11月13日

第1回 高大観光交流会 観光を学ぶ高校生と大学生の交流会

2025年8月20日(水)星が丘キャンパス53A・ラウンジスペースStudy Hall

観光を学ぶ高校生と本学の学生が学びを共有し、
互いに刺激を受け合う有意義な交流の場となりました。

 本学の交流文化学部では、2026年4月より、現在の「国際交流・観光専攻」を「観光専攻」に名称変更し、フードビジネスやアニメツーリズムなど、新たな科目の開講を予定しています。さらに「学びのクロスオーバー制度」も同時に発足し、本学のビジネス学部と交流文化学部の科目が一体化。マーケティングや企業分析など、観光ビジネスに関連する知識も学べるようになります。

 2025年8月20日(水)には、「第1回 高大観光交流会」を開催しました。愛知で観光を学ぶ14校から高校生22名、大学生15名が参加し、その中から高校生3組と、本学の交流文化学部で学ぶ大学生8組が、観光や地域活性化に関するプレゼンテーションをおこないました。さらに、交流文化学部の学生によるポスター発表や、高校生と大学生の交流会も実施。本学で観光についてどんなことが学べるのかを、交流を通じて体験できる貴重な機会となりました。

■プレゼンテーション

①愛知県立足助高等学校 観光ビジネスコース
 「~『高校生トラベル』を活用した観光実践~」

 愛知県立足助高等学校には、足助のまち並みや豊かな自然などの中山間地域における魅力や課題を題材に、探究的な学習をする観光ビジネスコースがあります。香嵐渓や重要伝統的建造物群保存地区に指定された古い街並みが観光資源となる足助エリアをさらに盛り上げる取り組みについて、生徒5人が発表しました。地元・豊田市の小学生を対象にしたフィールドワークや、ジビエ料理カフェを営む地元の人との協業を通じて、商品化したジャーキーがふるさと納税の返礼品に指定されるなど、数々の成果があったことを報告。「今後も地域と連携した活動を行い、足助の人たちの暮らしや笑顔が続くように願っています」と語りました。

②愛知淑徳大学 交流文化学部 大堀ゼミ
 住山 夏海さん
 「人はなぜ"演じる"のか?-ゴフマンのドラマトゥルギー理論に基づく考察-」

 住山さんは、「ホテルやテーマパークなどの非日常空間は、建物や設備面だけでなく、従業員の『人の力』からも生み出されているのではないか?」という視点から、社会学者・ゴフマンのドラマトゥルギー理論を用いた分析によって理解を深めた卒業研究を進めており、その途中成果を発表しました。最後に高校生に向けて、「観光が好きで入学しましたが、この論文は観光とは直接関係がないかもしれません。しかし、これも自分の好きなことで、大学は好きを伸ばせる場所。学びたいことや取り組みたい気持ちを大切に、進路を選んでほしいと思います」とメッセージを伝えました。

③愛知県立東海樟風高等学校
 「課題研究『観光コーディネーター入門講座』による成果発表」

 東海樟風高等学校では、情報教育の一環として、生徒自らが課題を見つけて研究する「課題研究」の授業があります。授業のなかで、「観光コーディネーター入門講座」のコースを選択している生徒2人が登壇し、観光コーディネーターを目指す第一歩として、全国の高校生が地域課題の解決と観光開発のアイデアを競う「観光甲子園」に出場したエピソードや、企業と協業して観光プランを作成した取り組みについて発表しました。「旅行プランは人生のプランを考えることに似ている。誰とどのような経験をするかを選択することは、どちらにとっても重要なこと」と、気づきを語りました。

④愛知淑徳大学交流文化学部 大堀ゼミ
 小笠原もこさん 小池七海さん 神谷七海さん
「超高齢社会におけるタクシーの再定義 -高齢者の移動支援とサービス革新-」

 小笠原さん、小池さん、神谷さんの3人は、超高齢社会における高齢者の移動支援やサービス革新について研究するなかで、タクシーの利用を再定義した研究内容を発表しました。タクシー業界の持続可能性への懸念があるなかでも、移動手段としての需要や可能性を見出し、研究テーマとして設定。発展させていくには、タクシーの利用料金の高さをクリアすることや、時間表型の運行システムなど、利便性も必要であることを挙げました。「タクシーを再定義し、新たな価値を持たせることでタクシー業界の持続的な発展につながると考えています」とまとめました。

⑤聖マリア女学院高等学校
 「ぎふ長良川の鵜飼 -観覧船乗船率をあげるには-」

 「ぎふ長良川の鵜飼」は、岐阜県岐阜市の長良川で1300年以上にわたり受け継がれてきた、鵜という水鳥を使って鮎を捕る伝統的な漁法です。観光資源として、遊覧船からその様子を間近で観覧できる取り組みも行われていますが、近年は観覧船の乗船率が伸び悩んでいるとのことです。
 この課題の解決に向けて、地元の聖マリア女学院高等学校の生徒がプレゼンテーションをおこないました。外国人観光客に向けて多言語で解説を聞ける仕組みや、予約までの導線の整備、観光時の食事選択肢の拡充などを、課題解決策として提案しました。
 発表の最後には、「課題に取り組む中で、自分自身も乗船してみたくなり、鵜飼の魅力に気づくことができました」とまとめられました。

⑥愛知淑徳大学交流文化学部 前島ゼミ
 棚橋 穂乃里さん
 「『川』を資源とするまちづくり」

 棚橋さんは、地域に眠る観光資源のなかでも「川」に着目し、三重県南部の大紀町を流れる大内山川についての研究内容を発表しました。「川が汚染されると住民の生活に影響を及ぼすだけでなく、大紀町の名産である伊勢茶の栽培や七保牛の飼育などの産業、海に流れると自然環境にも影響が広がっていく」と棚橋さんは話します。そこで、川の環境を守るため、川に住む鮎を活用した「河川管理循環システム」に注目。鮎を接点とした取り組みとしてさまざまな案を提案するなかで、実際に学童へ鮎の放流について講師として話す機会を得た成果についても発表しました。「川という資源は魅力的なまちづくりの土台となりうる」と力説しました。

⑦愛知淑徳大学交流文化学部 林大策ゼミナール
 栗本 凜花さん 林 諒さん
 「まちが消えるってどういうこと? ~『消滅可能性自治体』という現実~」

 林さんと栗本さんは、将来的に人口減少によって存続が危ぶまれる「消滅可能性自治体」について、人口減少が進行するとどのような問題が生じるのかを調査・研究し、その内容を発表しました。人口流出によって消滅してしまう伝統文化や産業を取り上げるほか、自治体に対しておこなわれている支援などについても紹介。一方で、出生率が比較的高い地方であっても、出生率が1人未満の東京など大都市圏へ人口が流出しやすい状況により、結果的に地方の人口減少につながっている現状にも言及。地域だけの課題ではなく、国全体が直面する問題であることを示唆し、「これからの日本の課題を、大学で一緒に学んでいきましょう」と呼びかけました。

ポスター発表・交流会

 プレゼンテーション終了後、ラウンジスペース「Stady Hall」にて、交流文化学部の学生によるポスター発表と、交流の場が設けられました。高校生たちは、気になるポスター発表の内容を自由に見学したり、プレゼンテーションで興味を持った大学生に直接話を聞きに行ったりする姿が見られ、活発な交流がおこなわれました。
 大学生からは、「高校生が高度な内容を学んでいることを知り、刺激を受けました。他の大学生の発表からも多くの学びがあり、自分の研究に活かしたいと思います」との声がありました。一方、高校生からは、「研究内容がとても奥深く、発表の仕方もわかりやすかったです。大学に進学したら、自分も興味を持って取り組んでみたいと思えるテーマを見つけることができました」との感想が寄せられ、互いに良い刺激を受け合う場となりました。