交流

2021年06月11日

ジェンダー・女性学研究所×岡崎西高等学校 意見交換会

ジェンダー・女性学研究所×岡崎西高等学校 意見交換会

2021年5月11日(火)ジェンダー・女性学研究所よりオンライン開催

本学のジェンダー・女性学研究所のメンバーが、高校生たちの疑問に回答。
意見を交換し合う中で、物事を多角的に見つめることの大切さを伝えました。

 2021年5月11日(火)、愛知淑徳大学のジェンダー・女性学研究所と岡崎西高等学校の放送部の生徒との意見交換会が開催されました。岡崎西高等学校では、2020年12月から女子の制服として、スカートに加えスラックスを新たに導入。女子生徒はスカートかスラックスか、どちらか選んで着用できるようになりました。この「制服改革」を機に、岡崎西高等学校の放送部がジェンダーをテーマにした動画の制作に着手。今回はその動画制作のヒントを得るために、愛知淑徳大学のジェンダー・女性学研究所と意見交換会を実施する運びとなりました。
 意見交換会はオンライン上で開催され、ジェンダー・女性学研究所からは、学生運営委員「ステレオリムーブ課」メンバーの前畑朱里さん(創造表現学部4年)、立松里菜さん(創造表現学部4年)、羽生勇太さん(人間情報学部2年)の3名と、所長の坂田陽子先生、心理学部の久保南海子先生が参加し、岡崎西高等学校からは放送部の顧問の先生と4名の生徒が参加しました。意見交換会は岡崎西高等学校の生徒がジェンダー・女性学研究所のメンバーに質問を投げかける形で進行。性別による差別はどうして発生してしまうのか、核心を突くするどい意見が飛び交い、お互いに考えを深め、新たな視点を得る貴重な機会となりました。

ジェンダー・女性学研究所×岡崎西高等学校 意見交換会

ジェンダー・女性学研究所×岡崎西高等学校 意見交換会

ジェンダー・女性学研究所×岡崎西高等学校 意見交換会

ジェンダー・女性学研究所×岡崎西高等学校 意見交換会

 岡崎西高等学校の放送部が主体となって実施したアンケートの結果をもとに、「女子がスラックスを履いていると違和感を持つ人が30%ほどいたことに対してどう思うか」と生徒が問いかけると、「性別に関する概念は特に変わりにくいと言われています。そのことを踏まえると、30%という数字は多いのか少ないのか。今一度、検討すると面白いのではないのでしょうか」と久保先生が回答。さらに「今までは"男子の制服・女子の制服"という2つに1つの選択しかない世界だったので、それがいきなり変わってしまったことに違和感を持ってしまうことは自然なことかもしれません。時間が経つにつれて馴染んでいくということもあるでしょう」と学生が言葉を引き継ぐと、それを受けて坂田先生が「ジェンダーフリーをめざそうとしたときに、男女の枠組みを取り払う、つまり"制服をやめよう"という選択肢はなかったのですか?」と高校生たちに逆質問。「制服は中学生・高校生ならではのものだから残したいと思った」「おしゃれに疎くて、制服の方が"ラク"でいいと思うから残したかった」「今までの伝統が崩れるのは嫌だったので」と次々に答える高校生に対し、坂田先生は「みなさんの答えを聞いていると、ジェンダーという枠組みがあると、"ラク"という感覚的なものが無意識に根付いているようにも思えますよね。これこそ、性別に関する概念を変えにくくしている理由の一つといえるかもしれません。まずは、枠にとらわれることなく、物事を柔軟に捉えることが、最初の一歩かもしれませんね」と、ジェンダーをテーマに活動する際の心構えについて、ヒントを示しました。

ジェンダー・女性学研究所×岡崎西高等学校 意見交換会

ジェンダー・女性学研究所×岡崎西高等学校 意見交換会

 さらに「男子はこう、女子はこうという固定概念を変えるにはどうしたらよいか」という質問に対しては、学生が「いろんな人と関わり、さまざまな考えがあることを知ること」「多様な人と付き合ってみようという行動の原動力となる"好奇心"を持ち続けること」と回答。「自由な校風のこの大学に入学して、固定概念が取り払われた」と自身の経験談を交えつつ、「大学生になると趣味のサークルに所属したり、多くの人が自分の興味を突き詰めるようになるので、多様な価値観を自由に表現できるようになりますよ」と語り、「世界がぐっと広がるので、楽しみにしていてください」と高校生たちにエールを贈りました。
 ジェンダーについて語り合うことで、多様な価値観に気づき、物事を多角的にとらえることに大切さに気づくことができた今回の意見交流会。これからも、本学では今回の意見交換会のように積極的に社会と関わる機会を設け、大学が持つ知見を発信することで、社会に貢献していきたいと思います。