交流

2025年05月23日

建築学部* 宮本ゼミ ひと箱本棚づくりワークショップ

2025年2月22日(土)〜24日(月)東浦町・地域の縁側 グリーン・ラソ

ひと・はこ文庫で利用者たちの交流の場を。
宮本ゼミの学生たちが1年を通して地域交流施設のデザインと施工をおこない
ワークショップを開催しました。

 愛知淑徳大学の建築学部*(*創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻は2025年4月より建築学部となりました)では、歴史・文化・環境・経済などの建築のバックグラウンドにも注力しながら、住宅や建物の設計デザインの知識や技術を習得します。企業や自治体との関わりも深く、キャンパス外の建物に触れ、レイアウト設計に関わることもあり、実践的な学びが得られるのも魅力です。その一環として、宮本ゼミでは東浦町にある地域交流施設「地域の縁側 グリーン・ラソ」の地域交流のきっかけづくりとして本棚作りのワークショップを開催しました。

 今回のプロジェクトは1年を通して取り組みました。前期授業の4月に課題発表があり現地でリサーチをおこない中間発表を経て、9月には地域住民の皆さまと共に、デザイン決定のワークショップをおこないました。後期授業では、最終案を決定・施工図など作成し、年明けの2月には工房で材料の切出しワークショップをおこないました。

■中間発表の様子

■材料の切出しワークショップの様子

 今回は2月22日(土)~24日(月)の3日間に渡っておこなわれた施工ワークショップの様子をご紹介します。

 「地域の縁側 グリーン・ラソ」は認定NPO法人絆が運営する地域交流拠点で、普段はまかないランチやふれあいマーケット、歌声喫茶などさまざまな活動に利用されています。今回の課題「グリーン・ラソに訪れる人たちが繋がり、交流できるようなインテリアアイテムを作ってほしい」という要望に応えるために、宮本ゼミの学生たちが「ひと・はこ文庫」を企画しました。「ひと・はこ文庫」とは1つのボックスのオーナーになり、自分がお勧めする書籍を置いて、施設を訪れる人がその本を借りることで本を通じて交流を育もうという取り組みです。

 この企画では、4月の現地リサーチの時に目にしたグリーン・ラソに設置されている六角形をモチーフにした縁側のデザインを踏襲し、ボックスも六角形にデザインしました。ゼミの学生たちがそれぞれ設計デザインした中から、1作品を選び、それが設置されることになりました。
 2025年4月に新しく建築学部が創設され、キャンパスもリニューアルされる中で、学内にある古い設計デスクが破棄される予定でした。そこで、この廃材を利用して、本棚を設計し、設計をもとに事前にいくつかのパーツを準備しました。

 2025年2月22日(土)〜24日(月)の施工ワークショップでは、利用者の方たちと一緒に本棚を完成させました。

■完成した「ひと・はこ文庫」

 六⾓形の複雑な形状を根気強く図⾯化し、300ほどの全パーツの情報をCGも使いながら施⼯図に落とし込みました。

■本棚の番号も草木染と刺繍で制作

 またイベント当日は本棚だけでなく、学生たち各班に分かれて、草木染めのワークショップも同時開催しました。木工作業が難しい小さなお子さまも庭に咲く花や玉ねぎの皮を使って紙や布を染めていく様子を楽しんでいました。

 3日間の作業で無事に本棚が完成すると絆の方々や利用者の方々にも喜んでいただき、「はやくオーナーの本で埋まるといいね」「学生たちが使った机の廃材がいい味を出しているね」などと、新しい誕生した空間に想いを寄せていました。

 今回のワークショップイベントは学生たちにとって、地域の皆さまたちと交流しながら直に声を聞ける貴重な機会となりました。この経験を今後の学びに活かしてくれることを期待しています。

■宮本ゼミの当日の活動が中日新聞に掲載されました。
 2025年3月18日(火)中日新聞 知多版>

学生コメント

本棚設計・ワークショップ担当
中林啓次朗さん、森本紗羽さん

 本棚のデザインが採用され、そのまま設計を担当しました。デザインから図面を起こし、木材を切り出してパーツにしていくまで一連の流れを担当しましたが、パーツが多くてとても大変でした。また設置においては人の動線を考える必要があり、約60箱をどのように積み上げたらいいかとても苦労しました。これまでの課題は自分が創りたいものをデザインしていましたが、こうして実際に人が使うものを設計させていただいたことでデザイン以外の面も詳細に考える力が身につきました。

草木染め担当
池上知優さん、松本沙香さん

 グリーン・ラソではランチなど飲食の提供もあり、野菜の皮など廃棄物が多いことが課題になっていました。そこで廃棄する野菜を使って何ができないかと考えたのが玉ねぎ染めです。玉ねぎの皮を煮出した汁で紙や布を染めると黄色やオレンジに染まり、それらを案内チラシや施設内の暖簾に活用しました。玉ねぎだけだと色のバリエーションが少なかったので、庭の草木を使ってたたき染めもおこないました。小さなお子さまでも楽しめたのがよかったです。

パネル・掲示板・交流ポスト担当
島尻乙羽さん、中原唯菜さん

 本箱の六角形をモチーフにして施設内の小物づくりを担当しました。今回の本棚制作は「交流を生む」がテーマでしたので、本のオーナーと借り手を繋ぐ「交流ポスト」やイベント紹介する「A6サイズのチラシポスト」などを作成しました。また入り口のパネルや掲示板も六角形の蜂の巣をモチーフにして製作しました。製作物を通じて人との交流を図るというテーマはとても難しかったですが、使う人の視点に立ったものづくりはとても貴重な経験になりました。