交流

2025年07月30日

ちょこっとボランティア講座 FAIR TRADE風''s(ふ~ず)

2025年5月13日(火)星が丘CCCアクティブラーニング

「ちょこっとボランティア講座リレー」を開催。
フェアトレードが生まれた背景や課題について理解を深めました。

 本学のコミュニティ・コラボレーションセンター(以下、CCC)は、学生にボランティア活動を紹介し、学生と地域社会をつなぐ架け橋としての役割を担っています。CCCでは、「ちょこっとボランティア講座リレー」と題して、ボランティアや社会貢献について理解が深まるように、各方面で活躍されている方を講師としてお呼びし、講演会を開催しています。

 2025年5月13日(火)、名古屋市の「顔のみえる店〜FAIR TRADE風''s」の六鹿 晶子(むしか あきこ)様を講師に招き、フェアトレードに関する講演会がおこなわれました。同店は、中部地方初のフェアトレード専門店から派生した「手仕事+フェアトレード」のお店です。代表の六鹿様は、国内外で作られた商品から持続可能な仕事づくりについて発信しています。
 始めに六鹿様はカカオの生産量が多い国とチョコレートの消費量が多い国を紹介し、歴史的な背景から南半球に生産国、北半球に消費国が偏る「グローバルサウス問題」を指摘。北半球を中心とする先進国の豊かな生活は、南半球の新興国・途上国の児童を含む労働力と自然資源の搾取によって成り立っていると説明されました。

 続けて、フェアトレードに出会ったいきさつを紹介。ベトナムでは戦争により散布された枯葉剤によって不毛の地となった場所にマングローブの植樹・育成がおこなわれていましたが、大学生の時にベトナムのマングローブの育成のメンテナンスとして、ヤシの刈り取り作業へ行ったことがきっかけだと語られました。現地では汚染され放棄された養殖場の跡地を目の当たりにし、博物館で枯葉剤によって破壊された様子などを見聞きする中で、「多くの人を犠牲にした枯葉剤はホームセンターなどの身近な場所で手に入れることができ、私たちの生活の一部となっている。しかしその裏側には、誰かが犠牲になっているかもしれない」という気付きからフェアトレードに出会ったと振り返ります。平和学者ヨハン・ガルトゥが提唱した「3つの暴力」を引用し、貧困や差別への無関心が「文化的暴力」に含まれると強調され、新興国・途上国には、児童労働を生み出してしまう負のサイクルがあり、フェアトレードはそれを断ち切るための一つの手段であるそうです。六鹿様は「適正な価格で公正・公平に取引し、子どもに労働をさせないための親の仕事づくりを」と述べられ、経済的基準、社会的基準、環境的基準を満たして初めて「フェアトレードラベル」が商品や企業に付与されることも紹介されました。

 最後に六鹿様はフェアトレードタウンについて紹介。行政や市民団体、企業などがフェアトレードを推進する都市であり、「名古屋市は日本で2番目に認定され、街としても積極的に取り組んでいます」と伝えました。講演後には商品展示コーナーが設けられ、実際にフェアトレード商品に触れ、話を聞くこともできました。

 学生たちはフェアトレードが生まれた背景や現在も抱えている問題について話を聞くことで、その理解を深めることができたでしょう。そして、今回の講演をきっかけに興味を深め、課題解決に向けて一歩を踏み出してくれることを期待しています。今後もCCCは、興味・関心を持った学生たちが自ら行動を起こせるよう、その一歩を後押ししていきます。


顔のみえる店〜FAIR TRADE風''s
六鹿 晶子様

 フェアトレードに興味があっても、なかなか実際の購買など行動に移すのは難しいと感じている人も多いかもしれません。学生の皆さんには、社会に出て「良いものを食べさせたい」「良いものを着せたい」と思った時に、フェアトレードという選択肢が心に残っていてくれたら嬉しいです。