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2016年10月28日

2016年度 高校生のための心理学講座シリーズ 「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

2016年度 高校生のための心理学講座シリーズ 「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

2016年8月27日(土) 星が丘12A教室

高校生を対象にした心理学の5つの講座を開講。
心理学の奥深さ、楽しさを伝えました。

 心理学は「心」のしくみを明らかにし、人や社会に役立てることを目的とした学問です。目には見えない「心」をデータから読み解き、「見える化」することで理解を深めていきます。このような背景から「心の科学」とも呼ばれる心理学。その魅力を伝え、高校生の進路選びの一助となることを目的として、日本心理学会が毎年「高校生のための心理学講座シリーズ 心理学と社会―こころの不思議を解き明かす―」を開催しています。8月から12月にかけて全国の大学でおこなわれ、本学も実施校の一つとして参加しています。8月27日(土)、心理学部の5人の教員がそれぞれの心理学の専門領域に関する特別講座を開講。今回はその様子をダイジェストで紹介します。

2016年度 高校生のための心理学講座シリーズ 「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

2016年度 高校生のための心理学講座シリーズ 「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

1限目「心理学とは」
担当者:斎藤和志 教授

 「心理学とは」というタイトルで、心理学とはどのような学問なのか、心理学ではどのように研究をすすめるのか、どのような学問領域があるのかなどを解説しました。その中で斎藤先生は、「心理学では物事に対して"なぜ?"という視点を持つことが大切です」と解説。その「なぜ」という疑問に対して、自分なりの仮説を立て、その仮説が正しいかを検証していくことで、科学的な思考力や論理的思考力が鍛えられると語り、心理学の学びを通じて得られる力やその学問の奥深さを高校生や保護者の方々に発信しました。

2016年度 高校生のための心理学講座シリーズ 「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

2016年度 高校生のための心理学講座シリーズ 「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

2限目「認知心理学」
担当者:吉崎一人 教授

 認知心理学のテーマは「人の記憶」。高校生や保護者の方々は、吉崎先生の指導のもと、簡易的な実験に参加。モニターに映し出された単語を記憶し、その後配布されたシートにあらかじめ書かれている単語が、モニターに映し出されていたか否かを判断するという実験を行いました。「モニターに映し出されていない単語にもかかわらず、映し出された」と勘違いして覚えていることが多く、受講者の皆さんは、人の記憶の曖昧さを体感。記憶の不思議を研究対象のひとつとする認知心理学を学び、心理学の学問領域の広さを知ることができました。

2016年度 高校生のための心理学講座シリーズ 「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

2016年度 高校生のための心理学講座シリーズ 「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

3限目「発達心理学」
担当者:蒲谷槙介 講師

 発達心理学とは、人の成長に着目し、心の発達に関するなぞを解き明かそうとする学問領域です。蒲谷先生は、乳児の様子をうつしたビデオを上映しながら、言葉がわからない乳児でも、表情の変化で意志の疎通を図っていることなどを紹介しました。「赤ちゃんだった私たちはいつの間にかいろんなことができるようになっていきます。その過程に目を向けることで、子どもの成長に必要なものがみえてくるはずです」と蒲谷先生。子育てや子どもの教育にも欠かせない発達心理学の可能性と奥深さを伝えました。

2016年度 高校生のための心理学講座シリーズ 「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

2016年度 高校生のための心理学講座シリーズ 「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

4限目「臨床心理学」
担当者:清瀧裕子 准教授

 心理的な悩みや苦しみを持つ人々に専門的な知識を活用してどのように支援をするのか考え、アプローチしていく、「臨床心理学」が4限目の授業。担当した清瀧先生は、カウンセリングの具体例を挙げたり、心理療法のひとつである「遊戯療法」を紹介したり、心理検査の方法を解説したりしながら、患者さんへのさまざまなアプローチを紹介し、無意識の心の変化に目を向けることの大切さを説きました。最後に、患者さんを支援する実践活動に役立てるためには、臨床心理学だけではなく、他の心理学領域もしっかりと学ぶことが必要と力強く語り、心理学の醍醐味を参加者に伝えました。

2016年度 高校生のための心理学講座シリーズ 「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

2016年度 高校生のための心理学講座シリーズ 「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

5限目「社会心理学」
担当者:小川一美 教授

 社会心理学の授業を担当した小川先生は、まず、参加者に自分の性格を紙に書き出してもらうことから授業をスタート。その上で受講者に自分の性格をどのように判断したのか問いかけ、「人は他者と関わり合い、集団に属しながら暮らす社会的な生き物である」と解説。さらに社会心理学の有名な事例「キティ・ジェノヴィーズ事件」を紹介。キティが襲われて助けを求めたにも関わらず、38人もの人が何もせず、傍観していた実際の事件を紹介し、集団における人の心の有り様と行動の深い関連性や不思議を伝えました。

2016年度 高校生のための心理学講座シリーズ 「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

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