追究

2017年12月19日

堀部安嗣展「建築の居場所」愛知巡回展・講演会

堀部安嗣展「建築の居場所」愛知巡回展・講演会

巡回展:2017年9月2日(土)~9月17日(日)長久手キャンパス8号棟5階プレゼンテーションルーム
講演会:2017年9月9日(土)長久手キャンパス5号棟511教室

学生が主体となって展覧会づくりに力を注ぎ、
著名な建築家の展覧会を成功に導きました。

 建築やインテリア、都市計画などを学ぶ都市環境デザイン専修(現:創造表現学部 創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻)では、毎年「デザインワークショップⅠ」を受講する3年生の手によって、建築の専門ギャラリー「TOTOギャラリー・間」(東京・乃木坂)で開催された展覧会を愛知巡回展として再構築しています。18回目となる今年、コラボレーションしたのは、堀部安嗣展「建築の居場所」です。

堀部安嗣展「建築の居場所」愛知巡回展・講演会

堀部安嗣展「建築の居場所」愛知巡回展・講演会

 会場案を計画するために、まずは堀部氏のつくりあげた空間のひとつひとつを著書などから読み込み、作家研究を行います。5月には東京や鎌倉などにある堀部氏の作品を見学、読み取ったエッセンスを元に何度も意見交換を重ねて会場案の設計を繰返していき、最終的に「展示品の落ち着く居場所をつくる」というコンセプトの会場案を採用しました。そして採用した案を元に施工図を描き上げた後、43名全員で施工すること約1週間。人々が心地よく過ごす"居場所"を生み出す堀部氏の建築が体感できるよう、天井の高さ、壁の位置、模型やパネルの展示方法などをmm単位に至るまで考え抜いてきた展示空間が現れました。

堀部安嗣展「建築の居場所」愛知巡回展・講演会

堀部安嗣展「建築の居場所」愛知巡回展・講演会

堀部安嗣展「建築の居場所」愛知巡回展・講演会

堀部安嗣展「建築の居場所」愛知巡回展・講演会

堀部安嗣展「建築の居場所」愛知巡回展・講演会

堀部安嗣展「建築の居場所」愛知巡回展・講演会

堀部安嗣展「建築の居場所」愛知巡回展・講演会

堀部安嗣展「建築の居場所」愛知巡回展・講演会

 9月9日(土)には堀部氏が長久手キャンパスを訪れ、学生の案内のもと愛知巡回展をご覧いただきました。「私の建築作品と同じスケールで空間を設計したり、円形の書庫なども忠実に再現したり、『スゴイ!!』という言葉に尽きます。 約2週間で終わってしまうのがもったいない!」と堀部氏は愛知巡回展をつくり上げた学生のアイデアと努力に感激し、最大限の評価と労いのお言葉を頂きました。学生も緊張の糸が解け、大きな達成感と喜びを仲間と分かち合いました。

堀部安嗣展「建築の居場所」愛知巡回展・講演会

堀部安嗣展「建築の居場所」愛知巡回展・講演会

堀部安嗣展「建築の居場所」愛知巡回展・講演会

堀部安嗣展「建築の居場所」愛知巡回展・講演会

 この日は堀部氏の講演会もキャンパス内で開催され、学生だけでなく建築業界の方々も多数来場し、大教室は満席となるほど大盛況でした。堀部氏は、「何を大事にしてきたのか」「建築の役割とは何か」を、これまでに手掛けた建築作品を紹介しながら講演いただきました。「建築は、人の身体や生活、財産を守るという基本的な役割のほか、『人・文化・思想・風景・記憶・技術を継承する』という大きな役割も持っています」と語られ、学生たちは人々が大切にしてきた価値あるものを、次の世代にも伝えていく、そうした使命が建築にあることをあらためて学びました。

堀部安嗣展「建築の居場所」愛知巡回展・講演会

 今回の展覧会の会場づくりや堀部氏との交流や講演会は、学生にとって建築空間の設計について知識や考えの幅を広げる貴重な機会になりました。仲間と互いに切磋琢磨しながら学び、経験したことを活かして、今後の学修・研究を充実させていくことでしょう。

学生たちのコメント

全体計画班(10名)

堀部安嗣展「建築の居場所」愛知巡回展・講演会

 図面で計画したものをどう立体にし、会場をカタチにしていくか。私たち全体計画班は、会場構成や設置する家具などの設計に取り組みました。これまでに授業で設計や模型づくりをおこないましたが、1分の1スケールで制作するのは初めての挑戦です。完成に向かって一人ひとりが「自分のやるべきこと」を考えて積極的に動き、仲間と協力したからこそ、展覧会が実現できました。来場してくださった人々が「建築っていいな」と建築や空間づくりへの興味を高める、そんな場所になっていたら嬉しく思います。

施工班(7名)

堀部安嗣展「建築の居場所」愛知巡回展・講演会

 今回の会場づくりで学んだことは「チームワークの大切さ」です。施工班では壁の設置や家具の制作など大掛かりな作業を担い、設計図通りに仕上がるよう試行錯誤を積み重ねました。一人ではできないことも、仲間と力を合わせたからこそ、やり遂げることができました。自分の意見を相手に伝えること、仲間と話し合って課題を解決していくことを繰り返して実践し、これから社会で働く上でも必要な力を鍛えることができたと大きな手応えを感じました。

サイン班(6名)

堀部安嗣展「建築の居場所」愛知巡回展・講演会

 私たちサイン班は、キャンパス内に設置する案内看板やパネルなどを制作しました。心掛けたのは、展覧会の魅力を端的に伝えること、会場までの経路に迷わないようなわかりやすい案内をつくることです。ポスターのイメージに合わせて水彩のやさしい色でデザインし、文字を一つひとつカッターで切り出すなどの繊細な作業にも皆で全力を注ぎました。今回の活動を通して、展覧会をつくり、多くの人に来てもらう工夫をする奥深さやおもしろさを実感できました。