追究

2025年08月07日

ビジネス学部 中小企業を学ぶ①

2025年5月16日(金)、23日(金)星が丘キャンパス 55C教室

「働くとは」「自分らしく生きるとは」について考える貴重な機会となりました。

 ビジネス学部では、専門知識の習得にとどまらず、実際の現場で活かせる実践的なスキルを磨くための多様な授業を展開。その一つである「中小企業を学ぶ」では、愛知中小企業家同友会とタイアップし、実際に中小企業で活躍する経営者や従業員の方々を講師としてお招きし、企業のリアルな姿や学生一人ひとりが“自分にとって働くとは何か”を考える貴重な機会となっています。今回は、5月に開催した2つの講義の様子を紹介します。

5月16日 (金)
これから40年間「ときめき・ワクワクする」仕事と会社の選び方
有限会社ノエル代表取締役 近藤泰子様

 『これから40年間「ときめき・ワクワクする」仕事と会社の選び方』をテーマに、有限会社ノエル代表取締役の近藤泰子様が登壇しました。「自分が持っている資格を仕事でどのように活かすことができるか、そのビジョンを語れることが雇用のカギ」。そんな話から始まった今回の講義。資格やスキルは、ただ持っているだけでは評価されない時代が訪れるため、明確な目的と活かし方を自ら語れる人材が求められるというメッセージが伝えられました。

 また近藤様は、中小企業と大手企業の違いについても説明。中小企業では若手社員が意思決定に関わる機会が多く、時代の変化にも会社が柔軟に対応しやすいという利点がある一方で、大手企業には安定性があります。近藤様が強調したのは、「自分に合っているかどうか」を考えることの大切さ。給料や知名度といった“見える数字”に惑わされず、働き方の中身や価値観に目を向けて、見極めることの重要性が語られました。「私たちは、お金を稼ぐために生まれてきたのではない。人生を楽しむために生きている。仕事は、人生をワクワクさせるための一つの手段。もっと自由に、自分らしさを発揮できるように」というメッセージに、学生たちは働き方について深く考えさせられた様子でした。

 講義後半では、「80歳まで働く社会に備えて、現代の働き方をどう変えるべきか」をテーマに、グループディスカッションを実施。学生たちは「在宅ワークでAIを活用し、認知症があっても働き続けられる仕組みを作る」「カウンセラーを常駐させ、うつ病を防ぐ取り組みを行う」「企業がサプリメントを支給し、社員の健康を支援する」などのアイデアを発表しました。それらの発表に対して近藤様は、「もっと明るく、自由な発想で考えてみて」とアドバイス。AIの進化により、“楽しいと思える仕事”が今後残っていくだろうと話し、だからこそ自分のスキルや好きなことを発信し、柔軟な発想で生き抜く力が求められていくことを力説しました。

 最後に伝えたのは、「経験がすべて」ということ。「そのためには、自分自身が意思決定力を持って挑戦できる環境に飛び込んでほしい」。そんなエールとともに、「仕事はもっと自由で、楽しくていい」という考え方が学生たちの心に届いた時間となりました。

5月23日 (金)
変化の中のチャンスをつかむ!~社員を主人公にする企業経営~
株式会社トヨコン代表取締役 明石耕作様

 「変化の中のチャンスをつかむ!~社員を主人公にする企業経営~」をテーマに、株式会社トヨコンの代表取締役・明石耕作様と、同社の社員2名が登壇。明石様ご自身の経営経験をもとに、「変化を味方にする経営」や「社員一人ひとりが主役となる企業づくり」について語っていただきました。

 冒頭では、企業の99.7%を占める中小企業の実態について、資本金や従業員数のデータを交えながら解説。中小企業には、若手が早くから多様な業務に関わり、経験を積む機会が多くあること、また経営層との距離が近く、自分の意見を直接伝えられる環境があるといった魅力を紹介しました。一方で、大企業のように整備されたキャリアパスがない分、「自ら考え、動く力」が必要とされる厳しさもあるというリアルな一面についても率直に語っていただきました。さらに、社会に出る前に知っておいてほしいこととして、明石様は「強いものが生き残るのではなく、変化に対応できるものが生き残る」と語られ、変化に対する適応力の重要性を強調。トヨタ、ユニクロ、Netflixといった世界的企業を例に挙げ、それぞれが創業当時とはまったく異なる事業へと転換し、柔軟に成長を遂げてきた背景を紹介しました。「変わらないために、変わり続けることが大切」というメッセージは、学生たちの心にも強く響いたようでした。

 こうした事例を通して明石様が伝えたのは、企業の成長を支えるのは「社員一人ひとりの力」であり、経営者の役割はその力を引き出せる環境をつくることにあるという信念でした。「社員が主役になれる会社づくりこそが、時代の変化を乗り越える鍵になる」と力強く語られた言葉には、実際の経営を通して得た確信が込められていました。

 講義の締めくくりでは、学生たちに向けて「今ある“当たり前”が、明日も当たり前とは限らない。だからこそ、変化に柔軟に対応できる力を身につけてほしい」とエールを送りました。安定志向が強く、大企業への関心が高い学生も多い中で、中小企業の持つ可能性や、自分自身が主役になれるフィールドとしての魅力に目を向ける機会となりました。「変化は恐れるものではなく、チャンスである。」明石様のこの言葉は、これからの時代を生きる学生たちの胸に深く刻まれたはずです。