追究

2025年08月07日

ビジネス学部 チャレンジプログラムB(高瀬金型)

2025年5月23日(金)星が丘キャンパス55教室

差別化に成功している中小製造企業の特徴を調査・分析し、その結果を発表しました。

 本学のビジネス学部は経営学、マーケティング、会計などについて、理論と実践の両面から学んでいます。今年度も3、4年生を対象に、企業と連携し、現実の課題に対する企画の考案に取り組む授業「チャレンジプログラム」を展開。「ものづくり」「まちづくり」「プロモーション」「ホスピタリティ」の4ジャンルの中、今回紹介するのは「ものづくり」です。

 この授業では、「ものづくり」に関わる企業の方から出される課題にチームで取り組みます。高瀬金型様からの課題は、「日本の製造業が抱える課題を踏まえ、日本の製造業が生き残っていく鍵は何か」でした。全15回の授業を通して、事例からパターンを見つける「帰納的思考」、得られた情報から仮説を立てる「仮説思考」、法則から推論を立て結論を導き出す「演繹的思考」の3つを身に着けることを目標とし、課題に取り組んでいます。2025年5月23日(金)の授業では、その実践として「差別化で成功している中小製造業の特徴」をテーマに事例を集め、プレゼンテーションしました。今回は、4チームの発表内容を紹介します。

●Aチーム

 Aチームは、差別化で成功している中小企業の特徴について「資源獲得のプロセスに関係なく、他社と区別できる経営資源を持ち、外部環境の脅威や機会に対応し続けている」と発表しました。事例を集めるにあたり、『経済産業省 2020年版グローバルニッチトップ企業100選』を参照し、26社に着目。差別化と成功について定義づけ、日本分析工業、旭サナック、ソノテック、松浦製作所の4社に絞り込みました。続けて、企業の外部環境を分析するPEST分析、各社の4つの経営資源を分析し、「独自の技術」「グローバルな拠点」「海外での取引」「高度な専門技術をもつ技術者」が共通する経営資源だと考察。その経営資源は全て自社で獲得していると分析し、差別化して成功することの定義を、「他社と区別できる技術やノウハウで、継続的・持続的にシェア、価値を生み出す」ことだと発表しました。

●Bチーム

 Bチームは、始めに差別化と成功について定義づけ、複数の事例の中から差別化成功の共通点が「DX化」「独自の技術」「人材育成」にあると説明しました。それから愛知県を拠点とする中小製造業で、旭鉄工、三共電機、協和工業、ウチダ製作所の4社を選定し、各社の事業内容を紹介。さらに、PEST分析を用いて各社が置かれている外部環境を分析し、それぞれの経営資源についても調査。経営資源はすべて自社や共同によって獲得・活用できているという考察をおこないました。最後に外部環境と内部資源の分析結果をもとに、改めて各社に共通する差別化成功の特徴を提示しました。

●Cチーム

 Cチームは、差別化で成功している中小製造業の特徴について、「他社が真似できない経営資源を持つこと」「経営資源の獲得・活用体制」「外部環境を生かす柔軟性」だと発表。差別化とは、特定の市場ニーズに的を絞った戦略、関係性や体験価値を重視した顧客へのサービス、独自の生産体制の3種類だと定義づけ、企業を分類。さらに差別化の源泉となる経営資源は、技術力、対応力、独自の生産体制が含まれると考察しました。大手企業と取引をしている企業が経営資源を持ち合わせていると判断し、アステム、由紀精密、サンユー技研、浜野製作所の4社を取り上げ、各社の外部環境、経営資源の分析結果を発表しました。経営資源の獲得プロセスについては、サンユー技研と浜野製作所の2社が「自社開発」「外部支援」によって実現していると述べ、最後にそれらの考察を踏まえて改めて差別化の特徴を強調しました。

●Dチーム

 Dチームは、始めに『中小企業白書』の記事を取り上げ、「ニッチ市場に特化し、技術力を高めること」が差別化成功の特徴だと発表しました。『元気なモノづくり300(2010年)』からBtoB、製造業の企業を22社取り上げ、ニッチ市場で技術力のある企業として、竹内真空被膜、宮本製作所、高橋型精の3社を挙げました。各社の事業や、技術力、差別化について述べ、PEST分析、SWOT分析の結果や、差別化の源泉となる経営資源、獲得プロセスについて説明。宮本製作所のみ、「自社開発」「外部支援」によって獲得していると考察しました。事例と分析結果をもとに、改めて差別化に成功している中小製造業には「ニッチ市場で自社の強みを生かした戦略」「自社開発による独自の技術力の高さ」が共通する特徴だと発表しました。

 各チームが発表を終えるごとに、高瀬金型の髙瀬様から講評いただきました。分析にあたっての着眼点だけでなく、調査対象の絞り込み方、プレゼンテーション資料の構成、発表の仕方にも触れ、それぞれのチームを評価していただきました。今後は高瀬金型様の保有する経営資源の特徴について調査を深めていきます。