追究

2018年01月09日

「常滑フィールド・トリップ2017」写真展・作品展

「常滑フィールド・トリップ2017」写真展・作品展

2017年10月7日(土)~15日(日) 愛知県常滑市 常滑やきもの散歩道周辺

空き地・空き家を活用した地域のアートイベントで、
学生たちがメディアコミュニケーションを模索しました。

 焼き物のまちとして知られる愛知県常滑市では、毎年10月に「常滑フィールド・トリップ」がおこなわれます。焼き物の工房や古民家をリノベーションしたギャラリー、カフェ・雑貨店などが並ぶ観光エリア「常滑やきもの散歩道」を拠点に、そこに点在する空き地・空き家を活用したアート展が開かれ、地域の歴史風土や新たな文化を訪れる人々に伝えています。このイベントに継続して参加しているのが、本学でメディアコミュニケーションを学ぶ学生たち。第10回を迎えた2017年は10月7日(土)から15日(日)に開催され、メディアプロデュース学部 メディアプロデュース学科 メディアコミュニケーション専修(現・創造表現学部 創造表現学科 メディアプロデュース専攻)の坂倉ゼミと荻原ゼミがそれぞれメディア作品を展示しました。ここでは、その活動についてダイジェストでレポートします。

写真展 坂倉ゼミ「写真とエピソード」/「とこなめ物語」

「物語」を大切にした写真展を開催し、常滑の人々の人生を描き出す。

「常滑フィールド・トリップ2017」写真展・作品展

「常滑フィールド・トリップ2017」写真展・作品展

 写真や言葉などのメディア表現を用いた作品制作・企画制作に取り組む坂倉ゼミ。常滑フィールド・トリップには2012年から参加し、今年は3年生が「写真とエピソード」、4年生が「とこなめ物語」というタイトルで写真展を開催しました。被写体は、元・市役所職員、和菓子職人、団子店の店主など、常滑で生まれ育ち、人生を重ねてきた方々です。学生たちは、一人ひとりにていねいな取材をし、家族、仕事、ふるさと、自分自身への思いをお聞きしました。その上で、その人らしい表情をとらえた写真を撮影しました。展示会場の設営に向けては、坂倉先生のアイデアで扉付の額を手づくり。扉を開くとポートレイトが現れて、「一人ひとりと出会う」という仕掛けにしました。また、作品の傍らには、被写体となった方々の昔の写真一枚と、当時のことを語った一文も展示。その断片的な写真と言葉の背景に広がる「人生の物語」をイメージさせる、見る人の心にやさしく語りかける写真展となりました。

「常滑フィールド・トリップ2017」写真展・作品展

「常滑フィールド・トリップ2017」写真展・作品展

 ただ写真を撮るだけでなく、地域の方々と交流を深めた学生たちは、常滑の歴史やまちの特性、そこで暮らす人々が歩んできた日々、そんなまちの財産、人々の宝物と向き合いました。貴重な出会いと経験が、より豊かな表現力や発信力につながり、メディア表現の幅も広げていくことでしょう。

作品展 萩原ゼミ「うつろうつろい」

「光」を活用した映像作品や空間作品で、「時間のうつろい」を表現。

「常滑フィールド・トリップ2017」写真展・作品展

「常滑フィールド・トリップ2017」写真展・作品展

 アニメーション、3DCG、実写など、映像表現を追究する萩原ゼミの学生たちは、「うつろうつろい」をテーマに3作品を制作しました。それぞれ「時間の流れ」「空間のゆらぎ」「モノの移ろい」を表現しながら、異なる個性を持つ作品に仕上がっていました。
 一つ目は、光のゆらぎを活かした作品でした。蚊帳を幾重にも重ねたスクリーンに動物や花などを投影すると、一枚一枚の蚊帳のゆらめきによってカタチが変化し、不思議な空間を演出していました。  二つ目は、25~30個の風船をスクリーンにした映像作品。映し出されたのは、常滑のまちなみの映像でした。ドライブレコーダーを搭載したバイクで常滑市内の道路を走り、撮影したものです。風船に風を送ることで映像がゆがみ、まちなみに動きが生まれていました。

「常滑フィールド・トリップ2017」写真展・作品展

「常滑フィールド・トリップ2017」写真展・作品展

 三つ目は、水をたたえた容器、照明、和紙を使った、なごみの空間作品。水面を動かして陰影をつくり、それがゆらぎのある光となって、空間全体をあたたかく照らしていました。
 訪れた地域の人や観光者の人々は「発想がおもしろい!」と目を輝かせ、幻想的な映像や空間に惹きこまれていました。そんな作品をチームで創り上げた学生たちは、将来、社会のさまざまな分野でメディア表現の力を発揮していくことでしょう。