追究

2018年04月19日

平成29年度 初年次教育部門 教育実践・研究発表会

平成29年度 初年次教育部門 教育実践・研究発表会

2018年3月6日(火) 長久手キャンパス 研究棟2階 K1会議室

今、現場で求められている教育指導とは?
初年次教育部門の課題を共有し、教員が意見を交わし合いました。

 愛知淑徳大学では、全学部の新入生を対象とした初年次教育に力を注いでいます。その軸が、基幹科目である「違いを共に生きる・ライフデザイン」と「日本語表現T1」。学生は、大学理念「違いを共に生きる」への理解を深め、多様な人々と共生することや、自分自身と向き合うことの大切さを学びます。さらに、自らの思考をことばにして論理的に説明する表現力をはじめ、「次代を生き抜く力」となる多くの力を養っていきます。
 3月6日(火)、初年次教育部門と各学科・専攻が連携し、さらなる教育の充実を図るため「初年次教育部門 教育実践・研究発表会」が開催されました。初年次教育部門の教員が授業やライティングサポートデスクでの取り組みや課題を発表し、各学科の教員との活発な意見交換もおこなわれました。全学で共有された今回の報告を活かし、学生の個性や可能性を伸ばす教育をより充実させていくことでしょう。

「違いを共に生きる」の具現化に向けた取り組み
―大学理念教育の実践と課題―
初年次教育部門助教 下岡 邦子先生

平成29年度 初年次教育部門 教育実践・研究発表会

 基幹科目「違いを共に生きる・ライフデザイン」では、現代社会が抱える課題として6テーマを設定し、学生は、各テーマの専門家による講義を受け、グループワークに取り組みます。この授業について報告した下岡先生は、学期末に実施した科目独自のアンケートを分析。「今年度は前年度に比べて学生の成長実感が高くなり、授業の目的である“多様な価値観の認識”に関するコメントも見受けられました」と、一定の成果が感じられたことを語りました。
 さらに下岡先生は、この授業はまだ発展途上であると課題にも言及。解決策として、講義内容の振り返りや、グループワークシートの添削を充実させ、また、コミュニティ・コラボレーションセンターなどの学内の教育センター・施設との連携を強化していきたいと力強く語りました。

学生の文章作成における「つまづき」の傾向
―ライティングサポートデスク個別相談の現場から―
初年次教育部門教授 外山 敦子先生

平成29年度 初年次教育部門 教育実践・研究発表会

 日本語表現科目を担当する外山先生は、学生が文章を書くプロセスのどこで“つまづき”を覚えているのか、ライティングサポートデスクの相談記録をもとに分析しました。明らかになったのは、課題の意図を理解することや、文章の構成を組み立てることなど、執筆前の段階を苦手としている学生が多いこと。
 「アイデアを導き出すブレインストーミングやアウトライン作成の必要性を授業の早い段階で指導していますが、学生たちに定着していません。実践知の応用力を養うための取り組みも重要だと考えています」と外山先生は語りました。さらに、ライティングサポートデスクに訪れていない学生も支援を必要としている可能性があることも指摘。学生一人ひとりの力を着実に伸ばすための指導方法について出席者と意見を交わしました。

ライティングサポートデスクにおけるチューター研修の実践報告
―他者との対話と共有による意識の変化に注目して―
初年次教育部門助教 増地 ひとみ先生

平成29年度 初年次教育部門 教育実践・研究発表会

 増地先生はライティングサポートデスクの活動として、2017年前期末に実施したチューターの全体研修を紹介。「他のチューターと意見交換をして、自身の課題について考える機会を設けました。そのグループワーク前後のチューターの意識を比較すると、技術不足や知識不足の認識が見られるようになったことや、相談者を尊重する内容が目立つようになったことが分かりました」と増地先生は報告しました。チューター自身が他者との対話によって、新たな課題や視点に気づくことができた体験は、今後の相談者への対応に活かされるのではないかと期待を寄せました。
 最後に、卒業したチューターのコメントを紹介。ライティングサポートデスクの活動を通して、学生チューターは書く力、聞く力、伝える力など、社会で役立つさまざまな力を身につけていると増地先生は語り、部門や学科をこえた教員同士で学生の成長を共有しました。