追究

2018年10月12日

平田晃久展「Discovering New」愛知巡回展・講演会

平田晃久展「Discovering New」愛知巡回展・講演会

巡回展:2018年9月1日(土)~9月16日(日) 長久手キャンパス8号棟5階プレゼンテーションルーム
講演会:2018年9月9日(日)長久手キャンパス5号棟511教室

著名な建築家の展覧会を学生たちが再構築。
5か月間かけてつくり上げた展示空間が、高く評価されました。

 建築、インテリア、都市計画などを学ぶ創造表現学部 創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻では、身につけた知識を社会で活かせるように力を磨くため、実践の場が多く設けられています。そのひとつが「デザインワークショップ」です。この授業では、東京の「TOTOギャラリー・間」で開催された建築家の展覧会を、学生たちが愛知巡回展として再構築し、設計・施工から運営までおこないます。2000年からスタートした本学ならではの演習で、学生が主体となって一から空間づくりに取り組む、全国的にも珍しいプログラムです。今年度は、国内外で活躍し、数々の建築賞を受賞されている平田晃久氏の展覧会「Discovering New」愛知巡回展を、「デザインワークショップ」の受講生53名が約5カ月間かけてつくり上げました。会期は、2018年9月1日(土)から9月16日(日)の16日間。9月9日(日)には、平田氏本人が会場を訪れ、学生たちと交流した後、講演会で自身の建築の考え方や今回の展覧会への思いを語りました。

 展覧会場を構成するために、学生たちはまず作家研究に取り組み、平田氏の著作から建築に対する思いや考え方を学びました。さらに実際の建築を体感するため、東京と群馬にある平田氏の建築の見学を行いました。空間体験を経ることで、平田氏の思考や空間構成をより明確に理解することができました。その後、平田氏の建築を本学の展示スペースで表現するためにはどうすればいいのかアイデアを出し合いました。 プレゼンや意見交換を何度も繰り返した上で、展示空間を区切らずに、ひとつの空間から広がる平田氏の建築観を表現する案に決定。展示に使用するパイプの構成や模型の並べ方も工夫し、本展とは異なるオリジナルの展示空間をめざしました。夏休みの期間におこなわれた会場施工では、学生53名で分担して計画的に作業を進め、例年より早く展示空間が完成。約5カ月間かけてつくり上げた展示空間の出来栄えに、学生たちは大きな達成感を得ました。

平田晃久展「Discovering New」愛知巡回展・講演会

平田晃久展「Discovering New」愛知巡回展・講演会

平田晃久展「Discovering New」愛知巡回展・講演会

平田晃久展「Discovering New」愛知巡回展・講演会

 9月9日(日)、長久手キャンパスに平田氏をお迎えし、展覧会場内を学生たちが案内しました。平田氏が特に感心されていたのは、学生が制作した太田市美術館・図書館の建築模型や、模型越しに映像が見える展示構成。「愛知淑徳大学のみなさんは、建築の専門ではない方にもわかりやすいように展覧会を再構成してくれました」と高く評価し、学生たちの企画力や構成力を称えました。

平田晃久展「Discovering New」愛知巡回展・講演会

平田晃久展「Discovering New」愛知巡回展・講演会

 講演会では、平田氏がこれまで手掛けたプロジェクトを12のキーワードを軸に紹介。どのような思考やプロセスから氏の言う「からまりしろ」が生まれるのか、映像や写真とともに解説されました。建築を生態系の一部として捉え、生物や植物の構造を建築に応用する独自のスタイルについてご本人の言葉を通して理解し、学生たちは人と建築と都市の在り方について考えました。

平田晃久展「Discovering New」愛知巡回展・講演会

平田晃久展「Discovering New」愛知巡回展・講演会

 仲間と協力して展覧会をつくり上げ、平田氏や会場を訪れた方から評価していただいた経験は、学生たちの大きな自信へとつながりました。一連の活動を通して身につけた技術力や、作家研究や講演会で学んだ知識を活かして、今後の学修をより一層充実させていくことでしょう。

学生コメント

創造表現学部 創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻 3年
平井 木乃香さん、平野 哲也さん、卯月 真夜さん、橋本 佳穂さん、山田 理絵さん

平田晃久展「Discovering New」愛知巡回展・講演会

 展示空間をつくる上で心掛けていたことは、オリジナルの展示空間をカタチにすることです。平田氏の建築を私たちなりに表現するために、あえて「TOTOギャラリー・間」とは異なる設計も取り入れました。パイプを使った空間表現や約280個の建築模型の管理など初めてのことも多く、戸惑うこともありましたが仲間と協力しながら乗り越えることができました。また施工では、6月に学内でおこなった企画展「子どもと造形」に参加したメンバーが率先して、施工経験がない学生に工具の使い方を教えるなど、一人ひとりの力を発揮して、作業を進めることができました。平田氏の建築を深く研究し、皆で協力して展覧会をつくり上げた経験を、今後の研究課題やコンペにも活かしていきたいと考えています。