追究
2019年01月28日
平成30年度 心理学会講演会 色の心理効果の可能性と限界
2018年11月14日(水) 長久手キャンパス 512教室
色には心理効果があるのか否か、
その真意に迫る講演会が開かれました。
2018年11月14日(水)、本学の心理学会が主催する講演会「色の心理効果の可能性と限界」を開催しました。お招きしたのは東海学園大学 心理学部の教授で日本色彩学会の会長でもある髙橋 晋也先生。一般的に心理効果があると言われている色の効果について、その効果は果たして本物か、科学的根拠に基づくものなのか、さまざまな心理実験の結果を示しながら、学生たちに伝えていきました。
まず髙橋先生が伝えたのは、「色の心理効果は、科学的には立証されていないものも多い」ということ。それにも関わらず、「青は集中力が高まる」「緑はリラックス効果がある」などの色の効果が社会に浸透している矛盾を指摘。そのうえで、「研究者ができることは、“色の効果は得られなかった”というネガティブな結果も含め、信頼性の高いデータを蓄積することです。その繰り返しのなかで、色に対する考え方や効果が徐々に見えてくることでしょう」と髙橋先生。自らが実施した実験を取り上げ、実験方法や分析方法、そこから得られる結果や考察などを一つひとつていねいに紹介しながら、最後に色の効果が出やすい傾向を発表し、研究を積み重ねていくことの大切さを訴えました。さらに、今後の研究のヒントとして「プレザントネス(積極的快適性)」という言葉を紹介。髙橋先生は意外性の中に楽しさがあり、意外性があるときに色の心理的効果が発揮されるのではないかという考えを示唆。たとえば、数年前は赤と黒の2色が主だったランドセルを例に挙げ、今ではカラフルなランドセルが主流なったことで選ぶ楽しさが生まれ、何かしら心理的効果をもたらしているのではないかと提言して、講演会の幕を閉じました。
そもそも科学的根拠とは何かという研究の根源から疑問を呈し、研究者の存在意義やこれからの研究の在り方まで多岐にわたる話題が盛り込まれた今回の講演会。色の力を知るだけでなく、心理学を学ぶ学生にとって「謎に迫り、未知のものを追究する楽しさ」をあらためて実感するきっかけとなったことでしょう。本学ではこれからも学生たちの視野を広げるさまざまな講演会を実施し、学生たちの成長の場を提供していきます。