追究

2019年09月03日

福祉貢献学部 公開講演会「教育的ドキュメンテーションを活用したスウェーデンの保育実践 空間の広がりを探究する子どもたち」

福祉貢献学部 公開講演会「教育的ドキュメンテーションを活用したスウェーデンの保育実践 広い空間を探究する子どもたち」

2019年7月17日(水) 長久手キャンパス 741教室

スウェーデンの先進的な保育を学ぶ講演会を実施。
子どもたちの心を深く解釈することの大切さを知りました。

 本学の福祉貢献学科 子ども福祉専攻は、保育者を養成し、未来の子どもたちを支える人材を育成している専攻です。実践的な学びを数多く用意し、学生たちの主体性や創造力を育んでいます。そんな特徴的な学びの一つに、3・4年生を対象にした「スウェーデン保育研修」があります。この研修は福祉先進国として知られるスウェーデンの保育施設を見学し、参加実習をおこなう10日間の研修です。2015年度から回を重ね、多くの学生の視座を広げてきました。こうやってスウェーデンの保育現場と深く関係を築き上げてきた背景から、毎年、スウェーデンの保育者を本学にお招きし、保育実践を中心とした講演会も実施しています。今年度は7月17日(水)に長久手キャンパスで開催。オルゴナ就学前学校の保育者 アンナ ヴァイデンさん、ソーレン就学前学校の保育者 アン ヘレン グラフネィさんをお迎えし、「教育的ドキュメンテーションを活用したスウェーデンの保育実践 空間の広がりを探究する子どもたち」という演題でご講演いただきました。

福祉貢献学部 公開講演会「教育的ドキュメンテーションを活用したスウェーデンの保育実践 広い空間を探究する子どもたち」

福祉貢献学部 公開講演会「教育的ドキュメンテーションを活用したスウェーデンの保育実践 広い空間を探究する子どもたち」

 スウェーデンの保育現場ではプロジェクトと呼ばれる活動を実施しており、子どもたちの興味関心に合わせて探究的な活動をおこなっています。例えば、子どもたちが興味を持った生き物を飼い、生態を観察して絵画や粘土で表現したり、その動きをまねして体で表現するなど、全身を使った体験的な学びを大切にしています。そして、その活動の様子を振り返り、成長のプロセスを可視化するために用いられるのがドキュメンテーション。写真や動画、メモ、子どもたちの絵や作品などがそれにあたり、子どもと保育者、保護者と保育者間のコミュニケーションツールとしても役立てています。今回の講演では、アンナさん、アンさんがともに2歳児を担当していることから、担当した2歳児の子どもたちがどのようにプロジェクトを発展させるのか、また、ドキュメンテーションはどのように保育に役立てていくのかをご説明いただきました。

福祉貢献学部 公開講演会「教育的ドキュメンテーションを活用したスウェーデンの保育実践 広い空間を探究する子どもたち」

福祉貢献学部 公開講演会「教育的ドキュメンテーションを活用したスウェーデンの保育実践 広い空間を探究する子どもたち」

 まずお二人は「子どもたちは素材に出会うことで遊びを広げ、活動を広げていくこと」を紹介。森では岩に乗ってその大きさを感じ取ったり、水では大小さまざまな容器に汲み入れることで重い・軽いという概念を学んだり、体験を通じて知識を広げていることを紹介されました。次にドキュメンテーションの活用方法について段階別にご紹介いただき「観察→文書化→ドキュメンテーションの開示→解釈→新しい課題の発見」の順番で、ドキュメンテーションを活用しながら保育を深めていく様子を示されました。さらにドキュメンテーションは、アプリケーションを使って保護者のスマートフォンに配信していることも紹介。講演会ではドキュメンテーションを閲覧した保護者からのフィードバックも提示しながら、保護者と保育者が相互に関わり合いながら保育に専念している様子をお伝えいただきました。最後は「ドキュメンテーションを活用するためには、高度な解釈が必要なので難しさもあります。しかし、子どもたちの興味を深く解釈しようとすることで、本心に触れ、彼らの探究に関わることができることは保育者としての大きなよろこびです」と、ドキュメンテーションを活用した保育の醍醐味を語られ、会の幕を閉じました。
 多くの写真がプロジェクターに投影され、スウェーデンの保育の現場をより具体的に理解することができた今回の講演会。学生たちにとって、保育について幅広い視野でとらえて考えるきっかけになったことでしょう。