追究
2019年12月18日
令和元年度 心理学会講演会 広くて深い睡眠の世界
2019年11月11日(月) 長久手キャンパス 512
睡眠のメカニズムや人に与える影響について、
講演会を通じて、知見を広げました。
2019年11月11日(月)、長久手キャンパスにて心理学会の講演会が開催されました。登壇されたのは公益財団法人 神経研究所 研究員であり、来年度から本学で教鞭をとられる成澤元先生。心理学と関わりの深い「睡眠」をテーマに、その特徴と人間にもたらす影響について解説されました。
まず成澤先生は、睡眠の必要性についてレクチャー。先進国の中で、日本は最も睡眠時間が短く、寝ていない人が多いことに触れたうえで、1964年におこなわれた「断眠実験」を紹介。ランディ・ガードナーという少年が、約11日間寝ずに過ごし、震えや言語障害をはじめとするさまざまな支障があらわれたことを紹介し、睡眠は人の認知機能に大きな影響を与えているとまとめました。
さらに、睡眠が少ないと食欲を抑制するレプチンの分泌が抑制され、肥満に影響することや若いころに睡眠に問題があると後年うつ病を発症しやすいことなどを紹介し、睡眠の質や睡眠時間が人々の健康に大きくかかわっていることを伝えました。
講演会の後半は、睡眠のリズムがテーマ。「朝起きてすぐカーテンを開けないほうが良い?」「ベッドで携帯電話をいじるとよく眠れる?」「寝る前にぬるめのお風呂に入るとよく眠れる?」「休日は午後まで眠るのが良い?」とクイズ形式で学生たちに質問を投げかけ、睡眠の多様な側面について紹介していきました。まずは人が眠くなるメカニズムから解説がスタート。体内時計に働きかけるホルモンのメラトニンは朝日や強い光の刺激で分泌が止まることから、良い睡眠のためには夜は強い光を浴びないようにと注意を促しました。また、睡眠は体温の低下によって促されると紹介したうえで、夜勤の体温リズムを例に挙げながら、一度乱れた体内リズムは容易には直せないと解説しました。
講演会の最後には昼寝のプラス面とマイナス面、無理して眠ろうすると脳が興奮してしまいよくないこと、朝型生活になるためのポイントなど、睡眠について多様な角度から紹介した成澤先生。「睡眠はとても奥が深く、今日の講演では語り切れませんでした。また、まだまだ分からないことも多く、未知の世界が広がっているとも言えます。今日の講演を機会に、少しでも皆さんが睡眠について興味を持っていただいたらうれしいです」と語り、講演会の幕を閉じました。
授業ではなかなか聞くことができない睡眠について、その全体像と心理学との関連性を学ぶことができた今回の講演会。学生たちにとって心理学の領域の広さに驚くとともに、これから専門性を深めていく中で新たな視座を得られる貴重な機会になったことでしょう。