追究

2019年12月18日

令和元年度 心理学会講演会 自閉症スペクトラム障害のコミュニケーションの問題

令和元年度 心理学会講演会 自閉症スペクトラム障害のコミュニケーションの問題

2019年11月8日(金) 長久手キャンパス 512教室

自閉症スペクトラム障害とは。彼らと接するには。
大切なのは、相手を理解しようとする姿勢を持ち続けること。

 2019年11月8日(金)、長久手キャンパスにて心理学科の特別講演会が開催されました。登壇したのは、愛知淑徳大学学生相談室の浜本真規子先生。来年度から心理学科で教鞭をとられることから、今回の登壇者として、ご自身の専門分野について学生たちにご講演いただきました。テーマは、自閉症スペクトラム障害のコミュニケーションについて。自閉症スペクトラム障害とは発達障害の一つで、社会的コミュニケーションの障害(日常的な会話のキャッチボールがうまくできず、相手の気持ちを察することが苦手)と限定された反復的な行動(特定のモノだけに強い愛着を示し、変化に対する抵抗感が強い)が見られます。しかし、障害の種類や程度は人それぞれ。一人ひとりの障害の境界線はあいまいとされています。この自閉症スペクトラム障害について、浜本先生は具体的な事例を多く挙げながら彼らに対する理解をどのような姿勢ですべきか話されました。

令和元年度 心理学会講演会 自閉症スペクトラム障害のコミュニケーションの問題

令和元年度 心理学会講演会 自閉症スペクトラム障害のコミュニケーションの問題

 まず、自身の心理臨床の原点である「Aちゃんとの出会い」について語った浜本先生。養護学校での教育実習で自閉症スペクトラム障害を持つAちゃんを担当することになり、彼女とどう関わっていけばよいかと模索する中で、Aちゃんの本当の困難さを理解することができたと紹介しました。「Aちゃんは排せつ自立ができておらず、指示理解も難しいと担当教諭から教わっていました。しかし、Aちゃんとどう関わっていいかわからないという不安に耐え、さらに、全神経を使ってAちゃんのことを感じようとすることで、Aちゃんの気持ちがなんとなく理解できるようになりました。それはまるで、母親が赤ちゃんの気持ちを汲み取ることができるようになる様子に似ていたように思います。そして、Aちゃんは排せつ自立や指示理解が難しいのではなく、”自分の思ったようなタイミングでコミュニケーション行動に移せない”という理解に至ることができました。

令和元年度 心理学会講演会 自閉症スペクトラム障害のコミュニケーションの問題

令和元年度 心理学会講演会 自閉症スペクトラム障害のコミュニケーションの問題

 Aちゃんのエピソードを語った後は、自閉症スペクトラム障害を理解するための理論や自閉症スペクトラム障害に対する理解の変遷について言及。そのうえで、自閉症スペクトラム障害は個別性が高く、障害は多様性に富んでおり、原因も症状も分かっていないことが多い障害であることを指摘しました。それでは、彼らのことを「分かっていない」という前提にある人たちが、どのように彼らと関わればよいのか。それは心理臨床におけるセラピストの基本姿勢にヒントがあると述べました。先生は、理論や知見を学んだ上で、いったんそれらを忘れ、分からない不安に耐えながら、彼らに全神経を傾けて理解しようとする姿勢を持ち続けることが大切であるとし、講演を締めくくられました。
 自閉症スペクトラム障害についてのリアルな側面を垣間見ることができた今回の講演会。学生たちにとって障害を持つ方への接し方をあらためて見つめなおす絶好の機会となったことでしょう。