追究

2020年02月12日

2019年度 第4回 文学部講演会 「翻訳がつなぐアートの世界 ―英文学を学ぶ楽しさー」

2019年度 第4回 文学部講演会 「翻訳がつなぐアートの世界 ―英文学を学ぶ楽しさー」

2019年11月20日(水) 長久手キャンパス 7B2教室

翻訳に携わる本学の名誉教授が、
英文学から広がる可能性について伝えました。

 本学の文学部は国文学科、総合英語学科、教育学科の3学科から構成され、「人間探求」をテーマに幅広い教育・研究をおこなっています。正規科目だけでなく学会活動も充実し、その一環として年に数回、各学科の学びに関連した文学部講演会を開催しています。11月20日(水)には、2019年度第4回となる文学部講演会を長久手キャンパスで開催。演題は「翻訳がつなぐアートの世界―英文学を学ぶ楽しさ―」、講師は本学の名誉教授 大野光子先生です。アイルランド文学・文化の研究に取り組むほか、翻訳の仕事にも携わってきたご経歴を交えて、翻訳のおもしろさ、英文学とアートの関係性についてご講演いただきました。会場には総合英語学科を中心に多くの学生が集まり、熱心に耳を傾けていました。

2019年度 第4回 文学部講演会 「翻訳がつなぐアートの世界 ―英文学を学ぶ楽しさー」

2019年度 第4回 文学部講演会 「翻訳がつなぐアートの世界 ―英文学を学ぶ楽しさー」

 講演会ではまず大野先生は自身が翻訳し、今年の春に刊行された「わたしはマリモ」という絵本を紹介。日本語特有の擬音表現を例に挙げて、日本語から英語に翻訳することの難しさについて語りました。続いて取り上げたのは、本学に在職していた外国人教員などと協働して英訳した2冊の詩集。詩の翻訳に必要とされる力は、英語と日本語の豊富な語彙力、詩に対する共感や理解、作品の背景にある文化に関する知識など多岐にわたると語り、英語と日本語のネイティブの翻訳者がコラボレーションすることの重要性について言及しました。

2019年度 第4回 文学部講演会 「翻訳がつなぐアートの世界 ―英文学を学ぶ楽しさー」

2019年度 第4回 文学部講演会 「翻訳がつなぐアートの世界 ―英文学を学ぶ楽しさー」

 さらに、アイルランド語の詩集を日本語訳したときのエピソードを紹介。翻訳した詩集に画家や演奏家の日本人アーティストが関心を寄せ、詩が音楽や美術など多彩なジャンルに広がったことを語りました。大野先生は「文学は音楽や美術などさまざまなアートとつながっています。英文学を学ぶということは、“アートを理解するための言語を獲得する”ということになります。また、言語や人種の違いを越えて、互いの心の持ち方や精神への理解が深まるでしょう。英文学は私たちの心や人生を豊かにしてくれます」と英文学を学ぶ魅力を伝えました。
 講演の最後には総合英語学科の1、2年生の学生たちに向けて「まずは子どもの頃に好きだった絵本を日本語から英語に翻訳してみてください。そして世界各国の友人をつくり、ぜひ協力して翻訳をしてください。翻訳することで作品を残すことができますし、仕事や趣味の活動の幅を広げることができますよ」とエールを送りました。
 翻訳の第一線で活躍する先生から、実体験をもとに英文学と翻訳の魅力を伺うことができた今回の講演会。学生たちは英文学から広がる多様な可能性を知り、これからの学修への意欲も向上したことでしょう。文学部では今後も講演会やイベントを通して学生たちの知的好奇心を刺激し、知見を広げていきます。